13-7 レモン・ソレイユ乱入、そしてルカの再挑戦!
「あのえっと……確認していい?
ライムは、実はただのシティメイドじゃなくて、エクセリオンで……
でも、それも何もかもすてて、おれのためだけに仕えてくれる、ていう事だよね?
理由はその、……」
おれのことを、すっかり好きになったから。
それはさすがに口に出せなかった。
けれどライムは、まぶしい笑顔でうなずいてくれた。
「はい、まさしくその通りにございますわ!
カナタさんさえよろしければ、この部屋に住み込み、ミライさんをお手伝いして……
カナタさん、そしてイツカさんのために、専属のメイドとして働かせていただきたく存じます」
「ちょ……え……ええええっ……」
「はっはわわわ……!!」
ルカとミライが真っ赤になってうろたえる。おれの顔もいま、きっと同じくらいに真っ赤だろう。
しかしイツカのやつは満面の笑みでおれの隣に座り、ばんばんと肩を叩いてきた。
「俺はいーぜー。よーし、さっそくノゾミ兄ちゃんにお願いして寝室別のタイプに部屋変えてもらうか! なんだったらまるっと別の部屋でもいーぜ、そこんとこはなんとかすっから!」
「ちょ、な、なにいってんのおまえっ?!」
「なにって、いくら俺でもそんな無粋じゃねーぞ? せっかくのしんこぶふぉっ?!」
みなまで聞く前におれは、やつめの顔面にクッションをぶっつけていた。
「おれたちは結婚してないから。」
「わ、わりっ。じゃあしんきょばふっ?!」
「わー、カナタおちついてー! イツカも悪気はきっとないからー!!」
「ミライがそう言うなら……」
おれとしては悪意しか感じないのだが、ミライを泣かせてはいけない。
いったん矛を収め、懲りないやつめをクッションの下から解放した。
「は、はあ、はあ……ガチで殺されっかと思ったぁ……」
「だいじょぶ、意識が飛ばない範囲は把握してるから」
「にゃああああ!!」
イツカはみずからクッションかぶって沈黙してくれた。よしよし。
「まったくもうこのイツカは。
なんとかするって、こんな理由で二人別々の部屋なんて純粋に部屋代二倍だからねっ? 寝室別のタイプだって……」
「そのことでしたら大丈夫ですわ。
学園のほど近く、ソレイユの別宅に姉がおりますの。
姉はエクセリオンですので、特例という事でそちらに……」
「へっ?」
「あね?」
「エクセリオン??」
また事件性のあるワードが飛び出してきた。
エクセリオンで、姉。つまり、ソレイユ。
と、いったら一人しかいない。
「はあーい呼んだー?
呼ばれて飛び出てにゃにゃにゃにゃーん。レモンでーす!」
「れれれレモン・ソレイユ――?!」
「うそ、生?!」
「ホンモノ――?!」
「ホンモノホンモノー。いぇい!」
おりしもその人物は、サラッと部屋に入ってきてニコニコとおれたちに手を振ってきた。
さらにはホンモノ?! という叫びに対し、気さくにポーズをとってみせる。
そのスタイル、ポージング。
髪と服とにまとった、ぱっと明るいサンフラワーイエロー。
ふわりとカールさせたセミロングの間から、ぴょこんとのぞく白のくまみみ。
なにより、ぱっと明るく親しみやすい笑顔と、ほがらかでよく通る魅力的な声。
服装こそ、わりとふつうにミニ丈のワンピースだが、どうみても彼女はレモン・ソレイユ。
当世きっての人気アイドルにして、現役エクセリオンである女性だった。
「え、あ、どど、どうも……
ってどうやって入ってきたんですかあのやじうまどもを突破して!!」
「えへへー。だってあたしS級ハンターだし。縮地なんてお手の物だよー。
さーさそういうわけでイツカくーん。きみは今日からうちのこねー。
いいんだよー、ライムの伴侶の相棒だったら大歓迎! なんだったら」
「ちょ……ちょっとまったあっ!!」
レモンさんは、イツカを後ろからホールドし、その頭をよしよしよしと撫でる。
豊かな胸に抱えられて、イツカの顔はもう真っ赤だ。
もちろん、『伴侶』なんて断言されてしまったライムとおれも。
そこへ割って入ったものがいた。ルカだ。
彼女も顔が真っ赤だが、おれたちとは違う意味でということは一目瞭然。
怒ったような様子、でもいつもより早口で、うわずった声で、こう叫ぶ。
「カナタはっ、……カナタはいま、大事な時期でしょ! それにイツカもっ!
あ、あんたたちがシャキッとしててくれなかったら、うちだってグダグダになるんだからねっ!
どうしてもっていうなら、イツカ、カナタ。
あんたたち二人で、あたしとルナを倒してみせなさいっ!
もしあんたたちが勝てたなら、もうあたしたちが口出しするような次元にない、そう認める。ライムとレモンと、結婚でも交際でも、すきにすればいいわ。
でも、そうじゃないなら……そうじゃないならっ……」
1.5秒の黙考の末、飛び出してきたのはとんでもないご託宣だった。
「……そうよ!
あんたたちで結婚しなさい! αになるまでのあいだでもっ!!」
「ちょっとまてえええっ!!」
そのとき、おれたちの携帯用端末に優先度最高の着信。ノゾミ先生からだ。
これはすぐに見ないわけにいかない。ごめんとことわり、画面の表示を見てぶっ飛んだ。
『件名:受けろ』
「ええええええええええええええっ?!」
うそだろう。視線をさまよわせれば、やじうまどもの後ろに先生は立っていた。
至極、真面目な顔をして。
な、長かった……ついにブクマ31の壁を突破できたようです。わーいわーい!
どうもありがとうございます♪
次回、新章突入! 運命をかけた決闘……を見据えての掲示板回でスタートです。
お楽しみに♪




