Bonus Track_110-2 そっくりなふたり! メールのまえの、ちいさなパタパタ! ~ソナタの場合~
トラップのドアを見分けて、ワナだらけの回廊をふっとばし、たくさんの魔物を倒して。
伝説の六竜に勝って、味方にして。
にせものさんたちとも仲良くなって、一緒に歌って。
記憶を封じられてた、四女神さまとダンサーズのみんなを取り戻して。
仲間をとりこんで戦神に変身したルク・タカシロにも、そこまでの戦いでれヘルアップしたルクにも勝って。
『大女神』に『もうあきらめて』っていわれてもあきらめず、彼女を説得して、みんなの祈りとつなげた。
今日のお兄ちゃんたちは、ひとことでいって、すっごくすごく、すごかったのです。
『0-G・サンクチュアリ』が発動すると、どこからかふわっと、あったかなもふもふが――お兄ちゃんたちのチカラでできたのがやってきて、歌にのっけたわたしたちの祈りと、しっかりひとつにつながりました。
まどの外の空を見上げれば、ひかりのもふもふがそらいっぱい。
まるでおひさまの光のように、たなびく雲のように、やさしく世界を包んでるのがわかりました。
掲示板では、いったいどうやってるんだこれ、エフェクトすごい、新機能か? っておおさわぎだったけど、わたしたちは知ってます。
これは、ゲームのなかの架空世界からでてきた『エフェクト』なんかじゃない。
実際に、現実におきてることなんだ、と。
もっとも、どうやらこのセカイじたい、そもそもゲームだ、といわれてます。
そうならば『エフェクト』がリアルなのも、当然のことなのですけれど。
ともあれ、まずはお兄ちゃんたちです。
すぐに通話をかけて、いえ、できるならばあの月にも飛んでって、おめでとうを言いたいのはやまやまだったけど、お兄ちゃんたちはいろいろとお話をしています。
ルク・タカシロとセレナ・タカシロにお師匠様になってもらったり、ふたりの仲間だった人を月まで送ってってあげることにしてたり、受験勉強もしなくちゃいけないということで、わたしたちはみんなでメールをしたためることにしました。
すると、ライカ分体ちゃんがそうだといいだしました。
『もう、世界は平和になった。
てことは、高天原の機密レベルも下がっていくよ。
βでも高天原にいけるようになるし、メールとかも……
って、いまセレネちゃんやってくれたわ!
メール、ティアブラネット回線でふつーに送れるってさ! イツカナちゃんたちへの!!』
「えええええ!!」
それをきいたわたしは携帯用端末を手に、ぱっと玄関をとびだしてました。
「どこいくのソナタ?」
「カコさんち! おしえてあげなきゃ!!
すぐもどるから!!」
「ちょ、ちょっとまってよソナタってば――!」
すると、シュナちゃんがあわてた様子でおっかけてきます。
「ねーそれさー、メールとかコールのほうがはやくないー?」
「あっそっか!」
ヒトミちゃんはこういうとこ、ほんとにクレバーです。
玄関のとこからぴょっとお顔をだして、手をメガホンにして、教えてくれます。
「メールを書き終えたら、おうちまで会いに行きましょう。
お顔を見て話すのは、やっぱりうれしいものですもの」
ヒトミちゃんのとなりでコユキちゃんが、優しくそう言ってくれました。
そのときでした。
「あ! ソナタちゃんシュナちゃん、みんなー!」
曲がり角のとこ、携帯用端末をにぎりしめたカコさんが、手を振ってます。
サンダルばきのカコさんは、ぱたぱたとかけつけて、こういってくれました。
「あのね、いま、セレネちゃんさんからお知らせいただいたの!
高天原にもメールやコールがふつうにできるようになりますって!」
するとだれかがくすっと笑います。
「もー。ソナタとカコさんてば、まるでほんとの親子みたい!」
「ほんとにね!」
みんなとミユキ母さんもでてきて、あははと笑います。
するとそこに、ご近所のみなさんも集まってきて、いつしか星降園のまえには、にぎやかな笑いの輪ができていたのでした。
次回はめっちゃ召喚頑張ってたマールさん視点の予定です!
どうぞ、お楽しみに!!




