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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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109-9 祈りつなげて! 真の究極覚醒、そしてはじまるトゥルーエンド!! ~イツカの場合~

2023.03.31

二文ばかりぬけておりました……m(__)m

 カナタたちが進み出て、ウサプリらしく丁重に一礼。

 そうして、ハヤトを――そのなかに宿っている、アスカを示した。


 スケさんと俺は、一対一で勝負になった。

 けれどルクとは、俺と俺でタッグを組んでやっと互角だ。

 カナタたち、ミライたち、みんなみんなのチカラをもらって、全力以上の全力出して。

 でも、それでいい。

 ルクもいま、120パーだ。

 やつがアースガルドの、月萌のためにとった施策は、やっぱり、看過できるもんじゃない。

 その苦悩や、背景を知ってもなお。

 それでも、やつらが、真剣だったことは本当なのだ。

 そいつに立ち向かうなら、俺たちも全力出すまで!


 重い斬りおろしに続く、すくいあげるような斬撃に、添わせるようにイツカブレードを滑らせ、腕の内側の位置に入り込む。

 俺が一人なら、もう一本の剣にバッサリやられてしまうが、いま俺はもう一人いる。

 やつがぴょんと飛び込んで、連撃の応酬を開始。

 俺はやつがこちら側の剣で斬られることないよう、しっかりとらえるつばぜり合いを。


 視界の外をかすめるようにふっと飛んできたローキック、スピードが乗る前に踏み込んで膝をぶつけて勢いを殺す。ヤバい音とともに、スケさんがくれたほねほねレギンスが割れた。

 しかしそこはアンデッドのチカラを宿す特製防具。みるみる復元、続く足払いはしっかりと食い止めてくれた。

 助走なしで「『0-G+』!!」、ぐっと押し込むようにぶつかった。

 もう一人の俺はというと、やっぱり同時に「『0-G+』!!」、こちらはすこし助走距離がある分威力も上がる。

 ルクのバランスが崩れ、すこしだけ距離が開いたところで、思い切って地を蹴った。

 するとちょうどいい場所、ベストのタイミングで宙に展開する、斥力の錬成魔法陣。

 さすがはカナタ。いつだって、俺のしたいことをわかってくれる。


「がんばれ四人とも! がんばって――!

 おれたちがついてるから!! ぜんぶぜんぶで、応援するから――!!!」


 そこにひときわ響く、ミライの声。

 ミズキに護ってもらいながらも、みんなの一番前に立って、一生懸命に応援してくれている。

 ミライから湧き上がるパワーは無尽蔵。みんなの祈りをまるっと包んで、おれたちに優しく流れ込んで……

 俺たちをもっと、もっと強くしてくれる!


 いつものようにくるっと体を回し、灰白色に輝く陣を、下から蹴り上げた。

 アクティブとなった陣からあふれる斥力を、そして重力加速度を受け、俺たちは加速する。

「「『0-G、エクストラッ!!』」」慣性力と、空気抵抗をすりぬけて。

 オンライン、オフラインにあふれる『がんばれ』をめいっぱい集めて。

 つっこむ、俺たちの、最大のワザで!!


「「からのっ!『0-G、エクストラーダ』――!!!」」


 確かな手ごたえ。剣一本分離れ、残心をとる。ルクがひざをついた。


「ヴァル。セレナを頼んだぞ」


 やつは首飾りを足元にたたきつけ、小麦粉スモークで身をつつむ。

 竜頭双剣をクロスさせ、毒と炎をぶちまけた。

 閃光が発生する。やつをかばった。背中にとんでもない衝撃と熱とを感じた。

 ダメージゼロなんてうそだろと、いいたくなるほどのやつを。


 俺たちの勝利条件は、全員無事での勝利。

 敵も、味方も、生きての決着。

 それを達成するために、地球のみんなも動いてくれる。

 わかってた。知ってた。仲間たちがやってくれると。

『セント・フローラ・ガーデン』をはじめとして、いくつものスキルが、俺たちもルクたちも全員守ると。


 それでも、それでも体が、心が飛んでった。

 すべて自分でかぶって自爆して、愛する女性を守ろうとする男のもとへ。

 それはもしかして、セレネが悲しむから、かもしれなかったけれど。


 ともあれほっとけなかったのはカナタたちものようで、おれたちをさらに『玉兎抱翼』で守ってくれていた。

 もふもふのうさみみにつつまれて、頭のわっかを通じてセレネの安堵のためいきを聞いたら、ああ、やったんだ。そんな達成感が湧き上がる。


 半泣きですっ飛んできたセレナたちに場所をゆずって。

 めっちゃ叱られつつ告られたルクが煮え切らないんで、ちょっとお節介して。

 セレネが女神権限でサクサク復活させたアカシたちがとまどってるんで、まあいいじゃんといってやって。


『Our game was over.――おわりだ』


 そこで、GM(グランドマザー)が立ちあがった。


上位世界(アースガルド)の人類、その最小存続可能個体数は1000。

 これを下回るまでの予測時間が、残り五分を切った。

『ティアズ・アンド・ブラッズ』第三次試行を、三分後に終了する。

 ここまで必死にあがいてきた皆だ、無念もあろう。

 われはそれを受け止めよう、すべて』


 大きく、両手を広げて。

 どこか、哀しい目をして。


「つまりお前も、自爆しようって?」

「何言ってやがる!」

「「三分あれば充分だ!!」」


 俺ともう一人の俺は、笑って声を合わせた。

 GM(グランドマザー)はいぶかしげな顔になる。


『………………なにがいいたい?』

「それは、おれから。

 この第三次試行に発生した問題は、すでに予測され、対処法が考えられていました。

 とある超天才の頭の中で、ですけれど」

「それはだれか。アスカです。

 プロジェクトに関係するものたちのなかで、最高の頭脳を持つ超天才うさぎです!」


 カナタたちが進み出て、ウサプリらしく丁重に一礼。

 そうして、ハヤトを――そのなかに宿っている、アスカを示した。

 アスカはババンと紹介されると、照れ笑いをしながらにゅるり。

 ハヤトの肩から、オッドアイの小さな白うさぎのすがたで生えてきた。


「やーご紹介ありがとねー。

 いまちょっと縮んじゃってるけど、とりあえずハナシだけねー。

 そもそも論として、足りないのはグラっちの演算パワーだよね?

 もっともっとそいつがあれば、なんとかできた。

 ミッドガルド人が強くなりすぎ、3Sによる歯止めが利かなくなっても。

 つかそもそも、ウォーゲームなんかしなくてよかった。

 だったらここはもう、チカラ借り倒そうぜベイベーってなことよ!

 イツカナたちが試行からオミットされたときに、『大規模分散処理』への協力を要請してきてもらった。

 アースガルドにいるAI、人間たち、ならびに『エヴァグレ』にいるプロジェクト参加者および有志に。

 これで演算速度はちょーマッハ!

 みーんなこの世界でのんびり平和に輪廻して、それでも充分、人口回復間に合うよ!

 具体的には、アースガルド時間でだいたい40秒も稼働すれば、参加者全員が『エインヘリアル』となる計算だ。

 さ、こっちの支度は済んでるよ。

 あとはグランドマザー、君が、手を差し出してくれるだけだ」


 そしてやつは、ちっさなうさぎの前足をふりふり説明をしてくれた。

 最後はハヤトの差し出した手の上で、ちょんと両手を差し出す。


『……わかった』


大女神(グランドマザー)』は、玉座を降りてハヤトの前へ。

 そして、ちいさなうさぎの手を取った。


「おしゃー! イツカナーず、音頭をたのむまっす!!」


 アスカはいつものようにちょっとおどけて、おれたちに振ってきた。

 もちろん、準備は万端だ。

 カナタと一緒に、両手を広げ、声を張った。


「っしゃ――!! みんなー、頼むー!!」

「みなさんの力を貸してください!

 祈ってください。優しい時が来ることを!」

「だれも、戦いを強いられることなく。愛するものたちとともにしあわせな時を過ごしながら、ゆっくりと成長していけるだけの、悠久の時の流れが得られることを!!」


 俺たちは繰り返した。

 ミッドガルドに帰ってきて、天空神殿をバックに立って、世界じゅうに発した言葉を。

 すると、たくさん、たくさんの祈りがいっせいに集まってきた。


 月と、地球。それをとりまく宇宙空間。

 それらを抱く『エヴァーグレイスガーデン』、アースガルド。

 そして、それら全部の過去と未来から。

 もちろんここにいる、みんなからもだ。


 よし、今こそやろう。

 祈りの全部をつなげるために。

 俺たちとカナタたち、さらにミライで手を結び、『大女神(グランドマザー)』をぐるっとかこむ。

 そして、発動した。



「『0-G(ゼログリーフ)・サンクチュアリ』!!」




 誰も悲しませない優しいセカイ。

 そんな名前をもった、俺たちの真の究極覚醒を。







 発動の瞬間、すべてが暖かな光にとけあった。

 俺の心に、響いてくる声がひとつ。


 それはやさしくて、あったかくて、ちょっと湿ってて、すごくすごく、いとしくて。

 俺のこころは、ひたすらしあわせでいっぱいになったのだった。


次回、GMセレストのつぶやき、そして告げる言葉。


次の話でこの章はおしまい。

新章は最終章、エンディングとなります。

ゆるゆるお楽しみいただければ幸いです!

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