<Stage_109 Our game was over! 終わる戦いと真の究極覚醒!!> Bonus Track_109-1 この胸を焦がす愛しさに~セレナの場合~
2023.04.05
サブタイに章タイトルを入れました!
アカシたちを身にまとい、『大女神』に臍帯をつなぎ。
一瞬、ほんの一瞬だけすまなげな顔をして、あのひとは姿を変えた。
究極の、戦神へと。
この世界で繰り返された、三回の人生。
あのひとはどのときも全速力で、わたしを『枷』から解き放ってくれた。
そして、これは自分がしたくてしたことなのだ、セレナはどうか、自由に生きなさいと言ってくれたものだ。
だから、わたしは自分の意志で、ついていった。
だれよりも大切な、あのひとに、そのゆくみちに。
だからすべては、わたしの選んだことだ。
戦いのうちに死したことも、地球のリセットに加担してしまったことも、世の闇に与しこの手を罪に染めたことも。
あのひとをみるたびに思った。
天使なのではないのかと。
どこかはかなげで光に透けてしまいそうなのに、ニッコリ笑えばおひさまみたいにまばゆく輝く。
高貴な色の瞳は、いつもやさしく私を包んでくれる。
そしてその美しい手は、どんな戦いのあとでも、わたしをあたたかく抱きしめてくれた。
繰り返された、三回の人生。
その間一度も変わらなかったあのひとの姿は、いま大きく大きく変わっていた。
光輪いただく頭部は三つの顔を持ち。
両肩からは、それぞれひとつ竜の首が生え。
すらり伸びた背中には、とりどりの四対の翼。四対の腕には、一対を除いてそれぞれ巨大な武器が握られ。
背のなかほどからしっぽまでずらりと生えた背びれは地竜のもの。ただ、太いしっぽそのものは、クジラの仲間の海棲獣のものだ。
力強く地を踏みしめる両の脚には、地からその身をもたげし植物と岩が、戦闘用のロングブーツのように絡みつく。
全身を覆う、ほとんど色のないオーラは、その一部分が臍帯のように長く伸び、いまだ動かざる『大女神』をその裡に包み込んでいた。
頭部の顔のうち、正面を向くひとつはあのひと本来のもの。斜め後ろをむくもう二つは、どこかあのひととわたしに似ているが、表情も血色もない。
デスマスクのようなそれらは、ひたすらに神聖言語による聖歌を口ずさみつづける。
肩から生えた竜の首の口元からは、ちろちろと不吉な色合いがのぞく。
右の竜からは炎の舌が。左の竜からは、毒々しい霧が。
四対の翼はそれぞれ色が違った。
炎をおもわせるひかりの色。ちらちらと星をちりばめた夜闇のブルー。
スカンとぬけた、快晴のそらの青。そして、雲のような白をすかす、風のような無色。
四対の腕のうち、一対が宝戟と角剣を。一対がボーガンと銃を。一対が『スペルカード』と錫杖を持っている。
残る一対は徒手だけれど、一方の手のひらには蜘蛛の絵が入り、もう一方には獅子の絵が入っている。
見上げたわたしは、圧倒されていた。
人を超えた、完全に超えてしまった、戦いの神の姿に。
それでも。
『すまないね、セレナ。驚かせてしまって』
「……いえ」
わたしに謝る、いつもの穏やかな口調は、やはり、どうしても、いとしくて。
そうでありながらもその姿は、あやしいほどに――
「美しいです、とても。
お供いたします、最後まで」
わたしは杖を構えなおした。
この、うつくしいひとのため。
わたしのためにと身を挺してくれる天使のため。
ますます強くこの胸を焦がす愛しさに、殉じるために。
ルク「やっぱ、肩にドラゴンつけたい」
日向「わかる~」
イツカ「わかるかも!」
カナタ「おれにはわかんないよ^^;」
明け方にかけて胃腸の調子が崩れてあまり寝てません。くそう。
おかしいところ、見つけ次第直します……orz
次回、始まるはいぱールクの攻撃と、さらに集まる仲間たち。
この章で、戦いは終わります。
どうぞ、お楽しみに!




