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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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108-9 僕/わたしの結論~エルカの場合〜

 スラムでの、出会いのこと。

 ともに力を合わせ、走り回ったこと。

 最初は、弱いわれわれ、子供たちの暮らしのために。

 横暴にふるまう大人と対決し。その原因が、戦争にあることを知り。

 そこから、世界の平和をめざしたこと。


 戦場全体に目を配りつつ、ひたすらに。

 ルクたちにむけ、呼びかけ語り掛け続けた。

 返事は、やはり、なかったけれど。


 影の魔獣とスケルトンの軍団が一掃され、『うっかり蹴散してしまう味方』がいなくなると同時に、巨大獣と化したアカシが飛び出してきた。

 アカシは姿を現した時より、なお一層巨大化していた――四女神全員、そしてダンサーズのほとんどが正気に戻り、力を注ぐ対象が減ったためだろう。


『任せろ!』


 対して、ベヒモスが飛び出す。

 こちらもまた獣を思わせる風貌だが、不思議な安心感がある。

 頼もしいひと声をのこし風となった陸竜は、アカシにがっぷり組みついた。

 おどろくべきことに、というべきか、アカシは『最高の生物』の二つ名を持つ古竜と互角に押し合っている。

 彼のなか、彼の背後にも、それなりの強さ大きさの想いがあるのだ。


 だが、それはわれらも同じ。

 われらうさねこ後衛は、ただ見守っているだけではない。

 ミツルは『ホワイト・ミグレーション・プラス』でずっと『大神意』に対抗し続けている。

 ソラは水の巨鳥として身を挺しつつ、ミツルにリンク。祈りのチカラにブーストをかけている。

 そしてその体制を、アオバががっちり守っている。


 シオンは管制として、戦場に飛び交う大量のデータを総括し、情報面からサポートを。

 ソーヤはソラ同様、巨大もふうさロボとしてシオンを守りつつ、リソースを提供。


 ミソラとシャナは、すっかり息のあった様子で、呪歌による全体サポート。

 つめかけるスケルトン軍団をすべて『送った』ミライとミズキは、あふれるTPをフル活用して、戦い終えた仲間たちに『ハッピー・ハッピー・スプリング』で全回復を行っている。


 わたしももちろん働いている。

 かつての友としてルクに全力で語り掛ける、それがいま、わたしにできることだ。


 というのは、ミツルとソラは第二次試行の『ボス戦』メンバー。『なあ、考えようぜ』などというには、『距離』が近すぎる。

 その点、彼らのサポート役であった『仔狐』ならば。

 しかも『仔狐』は、ルクの判断ミスの『被害者』でもある。

 それが糾弾を行わず、ただ語り掛けるのであれば、まだ聞く耳も出てくるというもの。


 そのことはライカネットを通じ、ほかのチームメンバーにも了解を得た。 

 そのうえでわたしは語り掛けに集中する。


 いましも、天使のわっかのイツカ君と、スケさんの戦いが終わった。

 イツカ君は回復を待つことなく走り出す。スケさんはそれについていく。

 その背中に、カナタ君からのミックスポーション弾が、ミライ君からの回復魔法が、あやまたずに飛んだ。


「ミライ。俺たちもいこう」

「うんっ!」


 ミズキ君がミライ君をいざなう。

 この程度の距離ならば、ミライ君はわざわざ危険を冒して近づく必要はない。 

 それでも、追いかけたい。その気持ちを、ミズキ君はわかっている。

 すかさず神聖防壁ホーリーシェルをかけなおし、二人してイツカ君を追いかけ走り出す。

 そんな二人にむけ、赤リボンのカナタ君とライムの乗る『ブロッサムオブスワン』がぐっと高度を落とした。


「乗る?」

「うんっ!」


 ぴょんぴょんっと飛び乗るふたりをコックピットに迎え入れ、『ブロッサムオブスワン』が加速する。

 戦場の半ばほどで着地していた『プロミスオブフィル』のうえに、白い翼のイツカ君がぴょんととびのり、こぶしを突き上げた。


「っしゃああ!

 いけるやつはいっしょに!! 疲れたやつは、そこで応援しててくれ!!

 いっくぞ――!!」

「お――うっ!!」


 うさねこメンバーズ、伝説の六竜、ミッドガルド四女神、3Sたち、ダンサーズ。

 そして地球からこの様子を見守る者たちが、一斉に声を上げるのが、ここちよく腹に響く。

 白リボンのイツカ君がぴょんと飛び降り走り出し、ルカとルナが自分の翼で飛び立ち、ゴーちゃんとマリオさんがふたたび、モンスターとしての姿をまとって駆け出す。

 フォルドと『さっきー』、『プロミスオブフィル』にのった白のカナタ君も、大きな羽風と共にテイクオフ。


 まっしろなうさぎオーラをまとったハヤト君、もろ肌脱ぎにサラシ姿のノゾミが走る。すいとミソラが追いついていく。

 その後ろから、竜たちと女神が、神獣たちが妖精が、3Sがこどもたちが駆け出し、また飛び立った。



 そのとき、ルクが目を開いた。

 そして、ことばを返してきた。


「エルカ。それで、お前の結論は」

「君を止めたい。

『スラムの仔狐』として、その記憶を蘇らせたものとして。

 ほんとうに、手遅れとなる前に!」


 そうして、僕/わたしは、走り出した。

 ミツルと、ソラと、ふたりをささえるアオバとともに。


「……わかった」


 ルクは一つ大きく息を吸うと、声を張った。


「もどれ、アカシ!

 ――われと一つに!!」

『ハハアッ!!』


 歓喜の咆哮が、空を地をゆさぶる。

 一瞬にして、全身バラバラの光の玉となったアカシは、すいと宙を舞い、ルクの体を包み込んだ。

 はじけた光のそのあとには、さきのアカシよりもなお巨大にして、なお力強いいきものがいた。


ついに、ルクとの直接の、そして最後の闘いが始まりました!!

次回、新章突入。

『ラスボス』となったルクの姿が明らかになります。

最終章まで、あと一歩。

どうぞ、お楽しみに!!

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