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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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Bonus Track_108-3 迷い断ち切る! しあわせの『0-Gにゃんにゃんゴーラウンド』!! ~スケさんの場合~

2023.03.19

誤記修正いたしました!

エクストラ→エクストラーダ

 人間には「まぐれ」というものがある。

 それを「まぐれ」でなくしようと思ってしまった愚か者が、もともとの僕である。


 人間を捨てる前の僕は、剣道少年。

 ある日の手合わせで、勝てるはずのない相手に勝ってしまった。

 AIの頭脳と、AIによりデザインされた理想の肉体をもつ剣士<シルヴァン>。


 もちろん、二度目はなかった。

 でも僕は、そのキセキを、たしかな現実にしたくて。

 鍛えに鍛えた。僕の快挙と熱意はニュースにもなり、ついにはリアリティ番組がサポートチームをつけてくれた。


 おかげで僕はどんどん強くなっていった。けれど、勝てるのはあくまで人間相手であり、シルヴァンには勝てないまま時間がすぎて。

 接戦で競り負けた試合を最後に、プロジェクトは幕引きとなった。


 たくさんの賞賛が、僕をなぐさめてくれた。

 軟着陸の手立てもあった――スポーツ推薦の話がいくつも舞い込んだのだ。

 僕は聞き分けよく、笑顔をつくってありがとうを言い、志望校を選び、それなりに勉強をして。


 けれど、僕の本心はまだ、夢から覚めることを拒んでいた。

 365日休みなしの猛特訓を手放して、趣味だった料理をして、それでも空いてしまった時間に僕は、『エヴァグレ』をやるようになった。

 優しい楽園は、僕の夢をうけとめてくれた。

 僕は幻想の世界をさまよい、剣豪たちとの手合わせに明け暮れた。


 見果てぬ夢におぼれた僕のまえに、ある日現れたのは、なんとシルヴァン。

 全力の手合わせの末、ようよう勝ちを収めた僕に、彼は言った。


 リアルで君を待ってる人がいる。

 ご家族と友人。そして、君と剣を合わせたくて、訪ねてきた人たちが。

 彼が見せてくれたビデオメッセージのなかには、僕を心配する声があふれていた。

 なかでも強く印象に残ったのは、ひとりのかわいらしい少年。

 僕の特集を見て剣をはじめ、僕に会うために初めて遠出をし、何度もお見舞いに来てくれているという。


 戻らなければ。そう思った僕だけれど、自分の姿を改めてみてハッとした。

 余計な何もかもを脱ぎ捨てた僕は、骸骨の剣士となっていた。


 これじゃあの子は――そうじゃなくとも、あの子といっしょにいた姉妹は――きっとこわがってしまう。

 いつのまにか魂まで骸骨剣士となり果てていた僕は、魂のカタチを人間にもどし、もとの肉体に戻るため『ティアズ・アンド・ブラッズ』をはじめたのだった。



 その間の住まいは、シルヴァンが提供してくれた。

 彼は何かとよくしてくれて、料理もふるまってくれたのだけれど……

 申し訳ないながら、その腕はかなりビミョーで。

 それでもがんばる彼に、僕が料理を教えた。

 つきっきりで見てやって、初めて納得のいく出来となったプリンは、シルヴァンの得意料理兼、大好物に。

 毎日作ってはご近所さんにふるまい、はては『ティアズ・アンド・ブラッズ』のなかでもお菓子屋さんをはじめ、おいしいねといわれては喜び、自分で食べてはまた喜ぶ姿には、僕もいっぱい喜びをもらった。


「君がこんなに笑ってくれるなら、いっそリアルでドウセイしてしまうんでしたね」

「どっ?!」


 もっとも彼は用語の選択もイマイチなことが判明したので、そこも教えることになったのだけれど。



 その影響だろう、第一次試行ではお菓子屋さんをやっていたシルヴァンは、第二次試行ではそのかたわら、スラムの子供たちに勉強を教えはじめた。

 僕はというと、まだまだ危なっかしいシルヴァンをほっとけず、近くで道場をやったり、用心棒のようなこともしていた。

 そのかたわら、もしかしてあの子も『ティアズ・アンド・ブラッズ』をやっているのではと思い探してみた。


 まるで黒猫のような、かわいらしいその子は、すぐに見つかった。

 けれど、剣を交える前に第一次試行は戦火に消えて、第二次試行はリセット。

 半ば無理を言って残ったのが、この第三次試行。


 そう、イツにゃんの言う通り、僕は思い出していた。

 イツにゃんと剣を交わすことで。なんでここにいるのか、まるっとまとめて。


 イツにゃん、やっと会えたんだ。僕たちは、やっとちゃんと剣をかわせたんだ。

 そのことがうれしくて僕は手を止められない。

 いま、大変な時なのに。すぐにでも戦いをやめ、イツにゃんをルクのもとにいかせなきゃいけないのに。

 ごめんねと伝えたくても、今の僕は声が出ない。

 超剣技『白蓮華』。絶剣技『風蓮華』。

 君を思い磨き上げた剣技なのに、今はその裏に申し訳なさがへばりつく。


 けれど、イツにゃんは笑ってくれた。


「だいじょぶ。俺は勝つ。

 ルクにも、いまのスケさんにも!!

 みてくれ、新技!!

 絶剣技っ!!『0-G・ゴーランド』!!」


 そして僕にくれたのは、なんともかわいらしい新技だった。

 位置づけとしては、『0-Gエクストラーダ』応用。闘気の形成と制御をフルに活かし、ぐるぐるまわる闘気が剣撃とともに多重ヒットしてくるようにした技なのだが……

 なんと闘気が、猫ちゃんの形をしている。

 アカネさんの『にゃんにゃん・スタンピード』にインスパイアされた技だとすぐにわかった。


 まったく、イツにゃんは。まったく、イツにゃんは。

 どこまでも強くって、どこまでも可愛い。

 完全敗北を喫した僕は納刀。イツにゃんのまえに膝をつく。

 イツにゃんは納刀して、僕を助け起こしてくれた。


「行こうぜ、スケさん!

 まだ、戦いは残ってる!」

「はい! ……あっ」


 夢中で返事をして驚いた。声が出たのだ。

 えっと自分の姿を見下ろすと、ほねほね装備を身に着けた、人間の剣士の姿にかわってた。

 視点変更してみれば、なんと黒いねこみみ尻尾もついている。

 うれしはずかしの僕だったが、イツにゃんはもう飛び出してる。

 あわててあとをついて駆け出した。


 目指す方向には、山のごとき巨獣となったアカシととっくみあう、陸竜ベヒモス。

 そして冷たい目でこちらをじっと見据える、ルク・タカシロがいた。 

次回、エルカさん視点でこの章シメ。いよいよ、ルクの待つ本陣に王手がかかります。

どうぞ、お楽しみに!!

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