Bonus Track_13_2 とあるメイドのひとりごと
なんて、タイミングなのでしょう。
あのひとは、先輩でありライバルであり、女友達でもある方に、決闘を申し込みました。
お気持ちはよく、わかります。
自分の相棒、家族ともいえる存在を、気持ちよく『使われて』しまって、心安らかでいることなんて――わたしだって、とてもむりです。
それでも、あのひとはどこまでも紳士的で、そして優しかった。
壁に立てかけたふたつの画面、その中はどちらも熱狂しています。
荷造りをしながらも、何度も何度も手が止まりました。
そして勝負の決した今、わたしの胸も大きく大きく高鳴っています。
ああ、やっぱりわたしは、あのひとが。
凛々しい顔も、優しい顔も、そしてかわいらしくきょとんとした顔も、なにもかもが胸をきゅうっと締め付ける。
こんな気持ちで、国守の役など続けられるわけもありません。
だからわたしはお暇をいただきました。
そして今日は、荷づくりのためにここに戻ってきたのです。
はじめてこの町に来た時には、荷物などほとんどありませんでした。
けれどいまは、トランク三つに入りきらぬほど、大切な想い出があふれています。
期せず、涙がこぼれました。
わたしはここを、こんなにも愛していた。
この町に暮らす人たちはわたしの家族。この町はわたしの第二の故郷です。
けれど、いまはすこしだけ、さようなら。
わたしはきょう、あのひとの町へ参ります。
ただひとり、いとしいひとにお仕えするために。
あとすこし、お待ちになっていてくださいませ。
いま、そちらに参ります。
あわわわ……ブクマいただきました! やっほう!
そろそろシャンパンコールならぬブクマコールを考えるべきかもしれない!
ありがとうございます♪
次回はようやくラブコメ本格突入です。おたのしみに!




