108-3 相性、サイアク? とんでもない、最高です! 見えた、勝利の方程式! ~セナの場合~
ルーレアさまは増えていた。
『なあ、俺の目がおかしいのか……?』
「いや、確かに四つある」
『……動かせんのそれ』
『ルーならやれる……あいつは天才だ』
「まえ地下闘技場新イベ見越して三つやってみたときも全部バラバラに動かしてたしな」
『うそだろぉぉ?! 俺第五覚醒だけど三つ首すんげーめんどくせーんだぞー!!』
なにがって、首が。
俺が知ってた限りでは女神フォーム→ドラゴンフォーム→双頭龍フォームの三段階だったんだが、更なる変身がお目見えだ。
アキトは目をこすってるし、ズメイは二度見三度見四度見くらいかましてる。
イズニノレイジのイーパラ関係者は三つ首姿を見ているからと割と冷静だ。
ティアブラには多頭龍は少ない。理由は今ならわかる、満足に操作できる『職人』が少ないからだ。
それ考えるとマリオさんはどうなってるんだって話だが、そのことは今はおいておく。
『はあああ、もーマルディザだけで終わらせてえええ!!』
「とりあえず打ってみればどうだ? ワンチャン効くかもしれない」
めんどくせーといいつつ三つの頭を抱え込んだズメイが、必殺だけでケリつけたいといいだした。
イズミがとりあえず懐疑的なGOを出すと、サクサクと『マルチ・ディザスター』を発動。
ルーレアさまは基本あんまり動かないからその辺は楽だが、はたして毒の沼地と嵐の複合攻撃の効果は薄かった。
具体的には、まさかの三桁ダメージ、即消し飛ばされた。
『だめかあああ!!』
『ルーの炎は溶岩だし、清めのチカラも当然あるからな。
相性は最悪ってわけだ』
びみょーにドヤるルーレアさま、がくっと頭を大地に落とすズメイ。
ついでにレイジもちょっとドヤり感漂ってる。
「そーそーおかげで俺の狐の火花もイズミのヒプステもてんっで効かねえんだよなー!」
ニノはむしろ愉快そうにHAHAHAと笑い出した。ズメイが叫ぶ。
『なんだってンな相性悪いんだよこのチームー!!』
「いやいや? むしろサイコーだぜ?」
だが、ニノはにやりと笑い返した。
「おれたちには知識がある。ルーレアさまの戦い方をよく知ってる」
「さらに、すべてを圧するスピードがあるし」
イズミと俺がクールに言えば……
「だいじなとこでしっかりトドメられるだけの物理がある!」
アキトは明るく笑って、ぽんっとズメイの首をたたいた。
そう、この戦いを制するにはまず、ズメイの巨体とパワー、そして三つの首が重要なのだ。
ズメイはなるほどわかったぞと首を上げてきた。
『つまり、お前らがかく乱して、俺が一つずつ首を仕留めりゃいーってことだな?』
「ああ。
ざっくり俺とセナ、イズミとニノ、レイジでそれぞれ一つ引き付ける。
まあ、カウンターで行ける時があれば狙ってくけど。
で、首が一つになったら話も聞けるだろうし、そこから説得に入るってことで!」
『了解だ!』
アキトに明るく説明されると、なぜか不思議とやる気が出る。
それはめんどくさがりの三つ首龍にしても同じだったようで、しゃきんと三つの頭を持ち上げた。
異論はない。俺たちは、なんどもルーレア様に胸を借りてきたから、このあたりの作戦はパッと共有できる。
それは、レイジもで。
『はじめようぜ。長くかかるとルーへの負荷が大きくなるはずだ!』
いつになくシリアスな調子で、真っ先に抜刀して飛び出してった。
仕掛けるのはソラゆずりの蹴り技ではなく、剣でだ。
その瞬間、レイジの描いた『勝利』の道筋が、はっきりと見てとれたのだった。
どうやっても二話にしないと書ききらない……orz
腹を据えて次回! つづき!
動きのあるバトルシーンを書きたいところです。
どうぞ、お楽しみに!




