107-5 戦端開く、瞑目せし女神の御前で
ルク軍の召喚・支配を維持するため、微動だにせず念じつづけるルク。となりに立って彼を支えるセレナ。
その前には執事ヴァルが立ち、アカシが大きく吠え声を上げる。
大きく距離を置き、四人に対峙するのはエルカさんとソラ、ミツル、そしてアオバ。
二組六人の間、キロ単位の隔たりすらあるのではないかとすら思われるその場所で、ついに最後の戦いは始まった。
月色のクレイの上、ボーンホワイトの流星がはしる。
スケさんだ。まっすぐ、イツカだけを見て。
歴戦のスケルトンロードの本能が告げたのだろう、自らが対するべきは、この男だと。
彼にむけ、イツカも地を蹴った。
あっという間もなく、剣が交わる。まるで、互いに吸い寄せあうように。
幾多の剣撃をくりだしながら、イツカはよく通る声で、スケさんに呼びかける。
「スケさん! わかんねえんだよな、俺のこと!
だいじょぶ。絶対、思い出すから! こうして、剣を交わせば、絶対!!」
スケさんを追うようにして走りきたスケルトン兵軍団は、なにも言われずとも左右に分かれてふたりをよけていく。
かれらをはばむのは聖騎士・プリーストたち……と思いきや、そんな素直にいくわけもない。
白の中、混ぜ込むように現れる、多数の『影の獣人』。
召喚主であるマリオンはゴーちゃんの肩の上、これまで見せたことのない冷たい笑いを浮かべている。
「あー。これあとで動画みてのたうち回るやつじゃなー。
ともあれまかせよ、こういうのならワシのでばんじゃ☆彡」
幼女の姿でありなから、妙に悟ったことをのたまうオウリュウ。それでも「ふんぬっ!」と黄金の龍に姿を変えて念じれば、スケルトン軍団は右へ、影獣人軍団は左へと、白黒きれいに分かれだす。
「すごーい! ありがとうオウリュウさん!」
「助かります! やろうミライ!」
「「『ぴょこりんグリーティング』――!!」」
ミライとミズキのチカラで、ひかりのこいぬとうさぎがあそぶ、聖なる草原が現れた。
その効果は絶大。スケルトン軍団はわれさきにと飛び込んでは、浄化されていく。
そのあとにキラキラと残るのは、かれらの感謝のあかし、ぶっちゃけいうとTPだ。
これはもちろんミライたちのチカラになるので、もはや使うほどにTPが増えまくるという、まるでバグか裏技のような状態が爆誕した。
「お、おおう……まさしくアンデッドホイホイ……」
「ならば、影どもは俺たちが片付けるとするか。
なに、一度は片付けた奴らだ。十年前の百倍のスピードで食らいつくす!」
ノゾミお兄さんが『青嵐公』の顔で鯉口を切る。
見据えるのは、波濤のように押し寄せる影の魔獣たち。
「なーるほどなるほどー。これは『おれたちに』ケンカを売ってるとみなしてかまわなそーだね?
『龍の呪いとエンジェルティア』のラスバト再現とか、や~いいシュミしてるわ~」
アスカも一見上機嫌な笑顔で反応した。理由は、彼の言う通り。
『龍の呪いとエンジェルティア』。体制にあだなすだけのチカラを持つと目されたバディに仕掛けられる、トラップクエストだ。
これのせいで、大きな回り道をさせられた――ノゾミお兄さんとミソラさん、そしてミライは。
アスカとハヤトはきりぬけクリアを果たしたが、けして楽しい記憶ではない。
それでも。
「みんな。BP調整とか、いっさい考えないでいいよ。
むしろ鬼神堕ち上等くらいのイキオイでぶっかまそう。
そのぶんのTPは、わたしが、わたしたちが歌うから!!
さあっ! たのしいたのしいアイドルバトル!! はじまりだよ――!!」
ミソラさんは、キラキラ輝く瞳でちょっぴり不敵に笑い、竪琴をかき鳴らす。
ノリノリの歌声でバトルを彩ることで、ショーとして純粋に楽しむ人たちからは投げ銭やコメントを。それ以上に心を寄せてくれる人たちからは、祈りのチカラを集めるつもりなのだ。
さすがはおれたちをアイトルバトラーにした策士。エンターテインメントのチカラをだれよりもわかっている。
もちろんそのとなりには、クエレブレから託されたシャナさん。
シロフクロウと龍の妖精、異色タッグの声は、見事にかみあい、その効果を飛躍的に高めた。
ミライとミズキが『ぴょこグリ』を使いつつ、シオンとソーヤは管制としてウォッチを続けつつも、微笑んでそれに唱和する。
リンカさんとサクラさんが、曲に合わせるかのように『変身』。
バトルヒロインまっしぐらの可憐な衣装は、さらに華やかさを増している。つぎなる段階の覚醒によるものだとすぐに分かった。
おなじ変化が起きたのは、彼女たちだけじゃない。
フユキとコトハさん、レンとチアキ。トラオとサリイさん、ハルオミとハルキくん、そして、アキトとセナといった、二人そろいの覚醒衣装をもつバディが、次々グレードアップ済みのそれに姿を変えていく。
さらにこれまで衣装がワンラインでなかったチナツとクレハ、ナナさんとユキさんの衣装もリニューアルチェンジ。
なんとアオバも、ミツル・ソラと同じラインの装いに代わる。
心憎いのは、ナナさんとユキさんの衣装だ。現行の『ナナユキ!』で組んでも、それぞれクレハ・ハルオミと組んでも、ばっちりバディ感が出るようになっている。
世紀の歌姫のホンキは、そこにとどまらない。
世界じゅうから集まる『キラキラ』に、彼女の輝きを重ね合わせ、何倍にも何倍にも増幅して、おれたちに注ぎ込んでくれるのだ。
もちろんこれを止めようと、深緑の巨龍が飛んでくる。
背中に張った結界の中に龍の巫女を乗せ、その支援でますます巨大化しているが、怖さは全く感じない。
なぜって、おれのとなりにも、愛するひとがいて力をくれるから。
「お助けしますわ。あなたの隣で!」そう言ってくれたライムを包むように、おれの『ブロッサムオブスワン』は二人乗り仕様に姿を変えた。
もとエクセリオンのS級プリーストがそばでフォローしてくれるなんて、心強い以外の何物でもない。
さらにいうなら、ソラも後衛たちの盾として体を張りつつ、水の鳥による攻撃を飛ばしてくれている。
ある意味で一番こわい『さっきー』の魔弾攻撃も、新技を引っさげてきたアオバなら打ち返せる。
だから、おれも安心して、飛べる。
白リボンのおれたちと、ルカとルナが『プロミスオブフィル』でゴーちゃんに向かっていく。
まずは、この四人のみちゆきのフォローを。
四人の女神たちが龍変化、アカシはさらに巨大化し、六龍&うさねこの連合チームはそれぞれに対してフォーメーションを組んでいる。
その上空でおれは大きく突出し、積極的にフォルドに仕掛けていった。
これ何人いるんだ……?((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
次回、VSシャスタ&エアリエイル戦にスポットが当たります!
どうぞ、お楽しみに!




