Bonus Track_106-2 いつからお前は~????の場合~
見ようによっては怖い回です……?
イツカらとカナタらの真偽を見分け、その瞬間に現場へたどりつくだけの位置におり、語る言葉が説得力もって十分な人間を納得させられる。
そんな人間は念入りに排除していた。
そう、前回の作戦は完璧だったはず。
失敗の要因は、予想外の連続だ。
離島に発ったはずの『しろくろウィングス』は、月萌港にいた。突如起こった、チャーター船のエンジントラブルで。
さらには、ライム・ソレイユが第三覚醒をなしとげた。
だが、二度目はない。
なぜなら、彼女らは『そこにいる』からだ。
第三エリアをクリアしたアタックチームは、バディ単位でばらばらの場所に飛ばされ、はぐれてしまう。
さまよううちに、彼女らが現れる。
すなわち、白のイツカナのまえにしろくろ。赤のイツカナの前にライム・ソレイユ。
それだけでは疑念を持つ輩がいそうなので、視聴者がどちらをホンモノか確信できるよう、ここに『2×4』『Snowy Blue』を加える。
まずシオンとソーヤのもとに『青嵐公』『銀河姫』を合流させる。
つづいて、しろくろライムと合流を果たした赤白イツカナとも合流。
このときシオンが、全員を『疑わない』。
究極級の看破スキル『フルムーン・ファインダー』を持つシオンが疑いをみせないことは、すなわちかれらがホンモノであることの裏書となる。
まあ、こいつらはそもそも全員こちらの用意したニセモノなのだから、疑うわけもないのだが。
にせイツカナはあの作戦で出演したアンドロイド・エージェントで、それ以外はただのCG。
ホンモノのしろくろライムと『Snowy Blue』は、あらかじめ『協力』を申し出たこちら側のハッカーによって、人知れずニセの回廊を進んでいる。
ティアブラ運営本社ビル内の人間は、いまや全員我らの手のもの。
止める者はだれもいない。
ここまでの行動で忠誠を認められた者以外は全員闇に紛れて拘束し、地下に押し込んだ。
そうして姿を変えた我らのエージェントとすり替えて、いまこのイベントを動かしている。
よって、この配信を行っているカメラもネットワークも、我々のコントロール下。
疑いをさしはさむ情報が流れることなどない。
幾重にも、幾重にも仕掛けを重ねた。
真実を作るために。
さあ、我らの作りあげた『ホンモノ』パーティーが、第四エリアの扉を開けた。
雁首揃えて待っていたのは、こ憎たらしいうさねこども。
これからニセモノとして刈り取られる定めの反逆者どもだ。
ウォッチを続けていた、大手掲示板の書き込みも沸騰し始めた。
名無しの観戦者: おお、きたね
名無しの観戦者: キタキタ!!
名無しの観戦者: まさかのニセモノ戦再びとか
名無しの観戦者: 熱い
名無しの観戦者: 熱いな
名無しの観戦者: まさしくラスボス一歩前
名無しの観戦者: 今回はしろくろライムにスノブルまでおるとかどんだけ豪華布陣なのwww
名無しの観戦者: 予算どんだけかかっとるんやこのイベントwww
ここで少しだけひっかかった。
あちらがわに、しろくろライムと『Snowy Blue』がいる。
かれらははまだニセの回廊を進んでいる最中のはず。
というかそもそも、ここに飛ばされるのは赤白イツカナどもだけで、ほかのやつらは別の地点にとばされているはずなのだが……
どこかで設計をミスったか。
まあそれでも、結果はすでに決まっている。
我らが『ホンモノ』は、御大のお力をいただき無敵の力を得ている。相手がイツカナだろうがなんだろうが、ブッ倒して先へ進むのだ。
名無しの観戦者: しかしそっくり、こりゃ見分けつかないわ
名無しの観戦者: ほんそれ
名無しの観戦者: 目に見えるものだけを信じるなってね
名無しの観戦者: Σ(゜□゜;)まさか、このカキコミも……
名無しの観戦者: ククク……われらなど氷山の一角……
名無しの観戦者: いつからこの掲示板が、ホンモノだと思い込んでいた?
名無しの観戦者: いつからこの掲示板が、ホンモノだと思い込んでいた?
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名無しの観戦者: いつからこの掲示板が、ホンモノだと思い込んでいた?
名無しの観戦者: いつからこの掲示板が、ホンモノだと思い込んでいた?
名無しの観戦者: いつからこの掲示板が、ホンモノだと思い込んでいた?
名無しの観戦者: いつからこの掲示板が、ホンモノだと思い込んでいた?
名無しの観戦者: いつからお前の見ているモニター映像が、世に流れている『ホンモノ』だと思い込んでいた?
ライカ: なあ、
いつからお前の周りにいる者たちが、『ホンモノ』だと思い込んでいた?
どの掲示板も、どの掲示板も、すべてがおなじ文言で埋まる。
ぞくりとして立ち上がれば、そこにはいつかみた絶望が広がっていた。
たとえるならばそう、『湖の乙女と七つの魔神』第一話第三幕『たくらみの王女とあやしい瞳』の終わり際とよく似たそれが。
『ほーるずあっぷ?』
にこやかにたのしげに問いかけてくる、フロア一杯のライカ分体たちに対し、我らは圧倒的に劣勢。
ただ、黙って両手を上げるよりほかにはないのであった。
いつから……はもっとどわーっと出そうかと思いましたが、しつこいのもアレなのでこのくらいにしました。
せつめいむずかしい!! いやしてねこちゃん!!
次回、この話をアスカ視点で。
仕込みはOK、さあはじめよう。の回です。
どうぞ、お楽しみに!!




