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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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106-4 空龍はなかよくしたい! 平和をまねく優しき祈り! 〜ジズの場合〜

 ボクは、二番目だ。


 最高の生物は、お兄ちゃん。

 最強の生物は、お姉ちゃん。

 ボクがいちばんになれることなんて、なにひとつない。


 でも、それでもいいと思ってる。

 ボクはお兄ちゃんとお姉ちゃんがだいすきだ。

 ふたりの役に立てれば、それだけでいいから。


 だからボクは「いってくるな」「まっててね」と進み出るお兄ちゃんお姉ちゃんのうしろに下がった。


 ここからボクは、お兄ちゃんお姉ちゃんのために祈る。

 ふと、おなじようにうしろに控えてる子たちと目があった。

 優しそうなうさみみの子と、かわいらしいいぬみみの子。ミズキくんと、ミライくんだ。

 ふたりはニコッと笑ってくれて、ボクはうれしくなってしまう。


 つよくって、やさしい、すてきな子たち。

 こんな出会い方じゃなかったら、ともだちになれてたかもしれない。


 でも、いまのボクたちは敵どうし。ボクたちは、お役目を果たさなきゃいけない。

 ベストをつくして、勝ちを目指さなきゃならない。


 ごめんね。ふりきるようにボクは、祈りはじめた。

 世界一たいせつな、家族のために。



 ベヒお兄ちゃんが戦うのは、赤リボンのイツカとカナタ。

 気さくなお兄ちゃんとイツカカナタは、まるでもう友達どうしのようにあいさつしてる。ちょっとうらやましい。


 いっぽうレヴィお姉ちゃんは、ミツルとソラを挑発せんばかり。

 ごめんね、ほんとは優しいお姉ちゃんなんだ。どうか、悪く思わないであげて。

 視線に目いっぱい『ごめんね』をのせて見つめると、ぱたぱたと羽根で返事してくれた。


 ボクたちが、命じられたお役目を果たせたら。

 この子たちは、つかまってしまう。

 そして、まえよりつらい境遇に置かれてしまう。

 そうしたら、世界のみんなが悲しむ。

 それは、いやだ。

 いやだけど、天地をつかさどる神の使徒であるボクたち三兄弟には、課せられたたたかいを勝手に投げ出す選択肢なんかない。


 もしも、やさしいハッピーエンドがあるとしたら。

 この子たちがボクたちをころさず勝って、ボクたちをゆるして仲間にしてくれるって場合だけ、だろう。

 そんなキセキをいのれる神様は、ボクたちにはいないから。

 ボクは祈った。せめて、ベストの結末を、と。


 清らかな風となった祈りが、お兄ちゃんお姉ちゃんに力を与える。

 ベヒお兄ちゃんは、カナタが生やすハーブの森を食べながら、前足としっぽでイツカの剣とやりあってる。

 レヴィお姉ちゃんは、渦巻く激流でたたかってる。

 けれど、ソラには永久機関コンボがあるし、ミツルの魔法で強化した蹴りも強くって、いまは互角だけど心配になる。


 どうしよう、はらはらしてると、ベヒお兄ちゃんがウインクをとばしてきた。

 俺はだいじょぶだからレヴィを、と言ってくれてるのだ。

 うん、とうなずきをかえして、ボクはレヴィお姉ちゃんのほうに向きなおった。


 そのおかげか、レヴィお姉ちゃんのいきおいが少し盛り返す。

 ほっとするの半分、はらはらするの半分で、ボクは祈り続ける。


 一進一退が、どれほど続いた時か。

 ふいに、お兄ちゃんの声が聞こえてきた。


『ふあ――!! もうアカーン!!

 カナタさん!! 結婚してくださいッ!!』

『はっ?!』


 たぶん、ベヒお兄ちゃん以外全員フリーズしてたと思う。

 だって、いきなりひとがたになってひざまずいて、こんなこと言い出すんだから。


『いや無理は承知です! ですがせめて毎日、無理でも毎週一回でいい、このフレッシュうまうまのハーブを食べさして下さいプリーズ!!』

「それって、おれの仲間になってくれる、てことですか?」

『お望みでしたら舎弟でもっ!!』

「でしたらどうぞ、お立ちになってください。

 ぜひ、対等の仲間に。いっしょに平和で幸せな世界をめざしましょう。

 でも、いいのですか? ご兄弟のみなさまとも一度、話し合われては……」


 うわあ、うわあ!

 ボクはドキドキしてしまう。あれがカナタのうさプリスマイル。生で見ちゃった、どうしよう。

 だってとっても、カッコイイんだもの。

 優しくって、気品があって、りんとしてて、それでて包み込むようで。

 お兄ちゃんはまず胃袋をつかまれちゃったみたいだけど、ボクはハートをつかまれちゃったかも知れない。

 それは、お姉ちゃんものようで。

 でも、お姉ちゃんは真面目で、ちょっと意地っぱりだから、ボクが言うことにした。


『レヴィお姉ちゃん。ボク、きょうだいで戦うのいやだよ。

 ね、もうやめよう。ボクたちどうしでたたかったら、きっと世界が壊れちゃうもの!』

『うぐっ……

 そうね、世界を壊すのは絶対にダメね。

 しかたないわね! 兄は召喚奪取されたみたいだし、停戦に応じてあげる!

 あ、あくまで兄弟たちのためなんだからね! そこんとこ、誤解するんじゃないわよっ!!』


 レヴィお姉ちゃんは顔を赤くしながらいっしょうけんめい。

 ベヒお兄ちゃんが笑ってフォローしてあげる。


『おー、レヴィもおっけーみたいだな!

 そんじゃあこれからは親しみを込めてレヴィアたんと』

『まーたそのネタ!! 呼ばないでいいからっ! たんじゃないんだからねー!!』


 そういえばさっきのたたかいで、ミズキとミライは、ずっと一つの魔法だけ使い続けてた――『聖域展開』。

 味方を助けて、敵を弱くする魔法。

 その効果の中には『召喚奪取』があった。

 ステータス画面を確認すると、ボクの支配権はもう、ルクのものではなくなっていた――いやむしろ、その欄は空白になっている。

 つまりいまのボクは、だれかの命令で戦わなくてもいい。

 すきになった子になかよくしようと言いにいってもいい、自由な龍なのだ!


 ほっとしたら、目の前がうるうるかすんできて。

 ボクははじめて、きょうだい以外のひとのまえで、泣いてしまったのだった。


レヴィアたんとかセバスちゃんとかポセイどんとかいうネタ大好きです(力説)


次回、サプライズエリアへ。

待ち受ける悪意と、ほくそえむ者たち。

どうぞ、お楽しみに!

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