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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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106-3 すべてを食らい食らわれる?『白兎銀狼』、捨て身の一手! ~ハヤトの場合~

 オウリュウ。まったく、無茶苦茶な相手だ。

 四方をつかさどる龍は、みずからの周囲の位置をも自由にできた。

 おかげで俺たちの攻撃はすべてあさっての方向へ。奴の攻撃は、どこへよけてもこちらに当たる。

 それでも、それを知ってなおこいつを相手に選んだということは、アスカにはすでに勝ち筋が見えているということだ。

 前回の『謁見』での投降後、地下施設でアスカはこう語った。


『ズメイとベヒモスはね、ぶっちゃけイツカとカナタ対策だ。

 けど逆に、イツカとカナタたちじゃなきゃ、あの二頭には勝てない。

 おれがあのとき秒で投降をきめたのはそれもあるんだ』


 それ『も』。つまり、この機会を利用してルク派のふところに入り込み、掌握するところまで考えていたのだ。

 まったくもって、すさまじい頭脳だ。

 だがそれは、弱いアスカの体に負荷を強いる諸刃の剣。

 そこは、俺がフォローする。

 そう、子供のころに決めた。



「アスカ! 第一覚醒で俺の中に入れ!

 このままだと危ない!」


 アスカは鉄壁の防御魔法で俺を守り、的確に回復を続けてくれているが、それでもオウリュウの攻撃は熾烈。

 俺はアスカに、俺に憑依するよう言った。


「りょかっ!『精兎降臨(おれさまさんじょう)』っ!!」


 アスカも同じ気持ちだったのだろう。瞬時に光のうさぎに姿を変え、俺のうちにやどる。

 そして、俺(と、ライカ)以外には聞こえない声で、語り掛けてきた。


『っしゃ、これでいける。

 ハヤト、『スベテヲ食ラウ』でオウリュウの攻撃、かたっぱしから食いまくって!』


 それを聞いた瞬間、俺にもアスカの描いた勝利の道筋が、クッキリと見えた。

 俺は第一覚醒『全テヲ喰ライ全テヲ守ル』を発動。降り注ぐ攻撃の中に仁王立ちした。


 この技は攻撃・防御すべてを吸収し、俺のチカラにかえる技だ。

 もちろん限界はあるが、その限界は、俺に宿ったアスカ、俺の腕で補佐をしてくれるライカが引き上げてくれる。


『ぐぬぬう……どうなってるのじゃ!

 かくなる上はっ……』


 粘ること数分。オウリュウはしびれを切らし、俺に突撃してきた。

 俺はライカを構え、至近距離から最大の一発を放つ。


「『グランドスラム・トライアド』!!」

『ふん、その程度予測しておったわ。

 まったく、浅知恵ちゃんよのう!』


 しかしそれはどこかへそらされ、俺はオウリュウの口の中へ。

 だが、俺をかみ砕こうとしたことで、オウリュウにクリティカルヒットが入る。

『スベテヲ食ラウ』の効果だ。


 よし。俺はそのまま、オウリュウの喉奥へと走ってゆく。

 俺の意志のもと、踏み出す足の一歩一歩が、オウリュウに内側からのダメージを与えていく。

 一分もしないうち、俺は虚空に放り出された。

 そこにはチカラを使い果たし、チビの姿になったオウリュウがいた。


「はっは、負けた負けたわ!!

 いやー、ワシはオヌシらを甘く見ておったようじゃの。

 じつにダイタンな戦いぶりじゃった。

 認めよう、オヌシらの勝ちじゃ。

 遠慮なく先へ進むがよい☆」


 白字に、金の縁取りのゆったりとした……というよりぶっちゃけダブダブの(ほう)をまとった金の髪と目のチビっ子は、上機嫌にその場にぶっ転げる。

 そしてそのままくつろぎ始めた。

 どっからか取り出した、枕ほどもある大袋のポテトチップスを食いながら。


「…………マジか」


 毎度毎度思うのだが、このセカイでチビになるやつらは、どいつもこいつもフリーダムすぎだ。


「ん? オヌシらも食うか? コンソメサワークリーム味サイコーじゃぞ?」

「えーいいの? っじゃもらう〜」


 それはさっくりその誘いに乗るアスカもだ。

 パンケーキとかアイスあるけど食べる〜わーい食べる食べる〜とやつらはさっそく意気投合。

 まったく、かないそうにない。


 だが、ただぶった切って終わりというよりは、こっちのほうがまったくいい。

 俺は一つ息を吐くと、おーいハーちゃんもおいでよ〜なんぞと笑ってる相棒のもとへと歩き出した。


 すっかりくつろいだやつらのむこうでは、いましも二つの勝負が終わろうとしていた。


次回、もふもふ弟キャラのジズ視点で描く、六龍戦のシメです!

ベヒモス、レヴィアタンとの戦いの決着は?

どうぞ、お楽しみに!

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