<Stage_106 駆け抜けろ! 次元回廊の戦い!!>Bonus Track_106-1 かがみのなかにみた<未来> ~???の場合~
彼らを覚えている人はいるのでしょうか?(マイクラのロードまちメッセージ風)
2023.03.02 章タイトルを入れさせていただきました。
第一エリアにつづき、第二エリアからの扉もふっとんだ。
待ち受ける古龍六体のもとへと進むやつらに、恐れはみえない。
ズメイに向かうのは、白のイツカナ。
毒々しさを強調した黒の多頭龍と、清冽な白の星樹鎧のコントラストがあざとい。
天を荒らし、作物を枯らす憎しみの龍はぶっちゃけカナタ対策だ。
とうのカナタどもが直前で別のチカラを手に入れたので有利は減じたが、なるべく削っておいてほしいものだ。
クエレブレに対峙するのは『イーブンズ』ニノとイズミ。
木陰の流れを思わせる青緑の龍の背には、パートナーで伴侶である金髪の妖精が乗っている。やつらは味方サイドだが、ぜひ爆発してほしいものである。
どんととぐろを巻いた、黄金の巨体も仰々しいオウリュウのもとには『白兎銀狼』がゆく。
四方と中心をつかさどる龍を相手取るならば時空系の『イーブンズ』ではないかと思ったが、それでもこいつらは勝ちそうだ。要警戒である。
アースカラーの皮革とふさ毛に覆われた、巨大な獣を思わせる陸龍――ベヒモスの前に進むのは、赤のイツカナ。
ルクのやつめは手を叩いて喜んでいそうだ。なぜって、こいつはまんまイツカナ対策のチョイスだったからだ。
赤のカナタはツリーアーマーに桜の花を咲かせるようになったが、大食い相手には誤差に過ぎない。さっくりと食い尽くしてくれることだろう。
長い長い、蒼の体の海龍レヴィアタンを相手取るのは、ミツルとソラ。
先ほどロマン砲的な攻撃でジャイアントドラゴンを破ったソラだが、その突破力でレヴィアタンもというわけだろう。勝敗は五分、といったところか。
白いモフモフの羽毛に包まれた、鳥を思わせる空龍ジズは、なぜかベヒモスとレヴィアタンの後ろに控え、やつらの支援を行うかまえ。
イツカナパーティーの後衛、ミライとミズキの真似事でもするつもりなのか。ぶっちゃけやつなら、まめしばとうさぎどもくらい一蹴できようものなのに――後方で戦場を見張り続ける『うさもふロボ』すら、おもちゃにしか見えないレべルのデカさなのだから。
雲つくばかりの巨竜どもの前に、二人ずつ進み出る姿は、狂っているのではないかとさえ思えた。
それほどに、恐れる様子をやつらはみせない。
ああ、そうだろう。
お前たちは、強い。
お前たちは、機会に恵まれた。
『悪』と、大義名分と、抵抗の体制。それらが整ったあとにぽこんと生まれてきた『勇者』たち。
華々しく支援を集めて、脚光を浴びて。
その一方でおれたちは追いやられていく。
まるで鏡写しのように。
犠牲を重ね、苦闘を重ねてきた末に。
どのみち戦場のゴミになる運命と思い定めてきた。
全部他人事と思い切ってきた。
そうして、消えていけたはずだった。
あの日、鏡の中に見なければ。
けれど、見てしまったからには手を伸ばしたい。
この手がたとえ折れるとしても。実ることない可能性を、自分たちごとつぶすだけとわかっていても。
ただ、ひとつだけ胸を刺すことは。
おれたちが、ルクの招集に応じることを決めた時。
こんどこそ、ホンモノになるんだと告げたとき。
もしもおれたちが勝ったなら、あなたへの恩赦をとルクに願う。
負けたなら、ただの脱走野郎と切り捨ててくださいと言ったとき。
あのとき、あのひとは、泣きそうな顔をしていた。
でも、もう戻れない。
おれたちは、ここまできてしまったのだから。
鏡の中に見てしまった、まばゆい虚像を追いかけて。
次回、ズメイVS白のイツカナ!
事前予想では相性最悪のはずのこのカード、どう出るか?
どうぞ、お楽しみに!




