105-7 熾烈な抵抗! 突破せよ、次元回廊!!(2)~シオンの場合~
2023.02.14
やってしもうた。修正いたします。
うっそりと→のっそりと
この空間そのものの安定性など、ハッカーがやれる部分は、アスカがみてくれる。
オレは、今目の前に展開している、そして近い未来に現れる脅威をみるのが担当だ。
そのオレには、もちろんあらかじめわかってた。
扉の向こうにスタンバイしているのは、ぜんぶ姿だけおんなじの(カラーリングがつよそうになってる)特殊な上位種だと。
まず(こっちから見て)右翼最前線にアルテマ・メタル・ワスプの一群。
その後方、右方まんなかくらいで待ち構えているのが、グリム・スパイダーマンティスの群れ。
一方、左前方にスタンバイしてるのはアニヒレート・アント軍団。
左方中翼にはコキュードス・アンデッドウルフの群れが睥睨してる。
中空には、まるで浮島みたいなミレニアム・ダンジョンジェリーとヘルランド・レイ。その隙間から、天井にぎっしり止まったドラクール・バットがこちらを見ている。
中央中翼には吠えたけるヴェルテックス・ベア。
それらすべての向こうには、砦かと思うレベルのギガンテッド・ドラゴンがゆうゆうと寝そべっている。
第二エリアにはもう、ワナも幻術もないけれど、ある程度撃破を進めると後ろからワイトキング&ボーンエグゼキューターのアンデッド軍団、フォートレスゴーレム軍団が召喚されてくることになってるのも、いまのオレならわかる。
オレとリンクしたソーやんが、そのリソースを全開放してくれているからだ。
いつもオレをまもって、いっぱいいっぱいお世話をしてくれるソーやん。
その献身にオレも、全力でこたえなきゃ!
オレはサーチした情報を全力で整理。みんなに送った。
第二エリアへの扉が壁ごとふっとぶとすぐ、雲のようなワスプの群れが重い、金属的な羽音をうならせつっこんできた。
それを上回る勢いで突っ込む、赤リボンのイツカ。
闘技場でのハーちゃんとの初試合のときみたく、自分がターゲットになって、ワスプをまとめるつもりなのだ。
「ハヤト!」
「おうっ! ――『グランドスラム・トライアド』!!」
イツカに群がるおとなより大きいワスプ、だけど月の光輪をいただいた黒猫天使にダメージは通らない。
ハーちゃんも不安なくチャージを終えて、特大の攻撃をかっ飛ばす。
下段からたたき上げる、おうちより大きい白銀の衝撃。
ライカのチカラとあーちゃんのチカラもまとめてのっけた一撃が、ワスプの黒雲を吹き散らした。
かろうじて残った数体も、ハーちゃんの咆哮で地に落ちた。
狼王のあだ名をもつハーちゃん。その吠え声はすごいパワーを発揮した。
バットは混乱してバタバタ。レイもアントもびっくりしてウロウロ。
ベアはあきらかにビクッとしてるし、ウルフの群れにいたっては「ははーっ」とおじぎしてしまってる。
こうなっちゃったらもうダメと判断されたのだろう、ウルフたちの姿はかき消える。バットたちも混乱の酷いものは召喚解除で姿を消した。
さらにアントにおいうちをかけたのが、ニノの投げた特製パルファムボム。
「そぉーれっ!『クイーンのおきにめすまま』ー!!」
これは、クイーン・アンナがおれたちのためにとプレゼントしてくれたドロップアイテムから作られたものだ。
ずばり、アント系の戦意をまるっとそいでしまうのだ。
さかさかとかえっていくかれらも、召喚解除できえていく。
そうやってできたみちを、白い羽をもったイツカとカナタ、ソラとミツルをのっけた水の鳥がとんでいく。めざすは最奥部のドラゴンだ。
イツカはジェリーがちょっとにがてだけれど、そこはカナタがフォローしてあげる。
空中に斥力の陣を描いて、ジェリーをよけたのだ。
その巨体におされてレイやバットも押されだすと、ジェリーも召喚解除となった。
その下では、赤のカナタの支援を受けて、赤イツカがスパマン軍団を一掃してた。
問題がおきたのはそのあとだ。ジェリーがいなくなって、レイとバットの注意が向いたのは、なんとオレたち。
うん、そりゃ、でっかいものね。
白のイツカナとソラミツルはもう向こうに行っちゃってるし、赤のイツカナももうベアの方に行ってるし。
でも、ごめんね、じゃま。
「ソーやん! なぎはらうよ!!」
「アイサー!! いきます!! 口からメギドフレア――!!」
練習通り、口の部分に『パステル・パレット』で『メギドフレア』の陣を書いて、発動。
放たれた極太レーザーとその余波が、みごとにレイとバットをドロップお肉に変えてくれた。
ソーやんはずしんずしんと前進して、ドロップお肉をぱっくんぱっくんと回収。
その瞬間、なんでかわかんないけど、荒ぶってたベアがくるっと回れ右して逃げてった。
「あははは! あははは! なにそれサイコー!!」
ともあれ、あーちゃんはバカウケしてくれた。よっしゃ~である。
「おい後ろ! きたぞ!!」
そのときハーちゃんがするどく声を上げる。きたのだ、バックアップ部隊が。
山岳地帯みたいなフォートレスゴーレム軍団、そのうしろにおばけやしきスタンピードみたいなアンデッド軍団が召喚されてきた。
でも、心配はない。
「そのへんは俺らにお任せだぜ! せんせー!!」
「はーい!」
「いくよ!」
「『ぴょこりんグリーティング』ー!!」
まず、ミライとミズキがさいきょーかわいい第二覚醒発動。
その効果はここでも衰えず、ふみこんだアンデッドたちをふわふわ溶かしていく。
光でできた、かわいいうさぎとわんこに送られて天に還っていくアンデッドたちはみんなしあわせそうだ。むしろおれもわたしもとどんどん『ぴょこグリ』フィールドにはいってく。オレたちもちょっとはいりたい。
「『ホワイト・ミグレーション・プラス』!!」
さらに、ナイスタイミングで前線からとんでくる支援。
ミツルだ。さらなるパワーアップを遂げたホワミグで、大神意すら吹き払えるようになったのだ。
このモンスターたちを召喚したルクはいま、GMの一部。彼による召喚とバフは、大神意と同等のものとなる。
けれど、ミツル相手ではぎゃくにそれがあだとなる形だ。
ゴーレムたちはぼろぼろと崩れ、あるいは小さくなってしまう。
そこに、ニノとイズミが仕上げを。
ぴょんぴょんっと身軽にはねて、のこったゴーレムのコアをつぎつぎ抜き取る。
かくして、残るのはドラゴンだけに。
文字どおり、大きな大きなドラゴンは、のっそりと首を上げた。
・こんだけ書くのに支度に一日以上かかりました( ノД`)
・主に『戦わずに退散させるやつらとそうでないやつら』を決めるのが大変でした。
・スパマンの設定をもっと早期に詰めときゃよかったんだギャー。
・すきとおる羽とからだをもった、若い羽シロアリの姿はまさしく妖精。うつくしすぎる。
・ターン制ばんざい。
次回、続き。
ドラゴンさんがナレ死しそうな予感。やめたげて!
どうぞ、お楽しみに!!




