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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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105-4 月の照る夜の、甘いお茶会~ライムの場合~

糖分オンリー回です!(`・ω・´)

 この夜は、最後のチャンスだと聞かされています。

 すなわち、反対派の方々が、カナタさんたちを非公式な武力でとどめるための。

 だから、この夜はもっとも守りのかたい場所、すなわち、アルム島で休むこととなりました。


 ほんとうなら、天空神殿よりもどってすぐに、領主館から出ずにやすむべきだったのでしょう。

 それでもみなさんは、カナタさんたちがきゅうくつでないように、それをもとめることはありませんでした。

 

 そのお気持ちに、わたしもほんのすこしだけ、甘えさせていただくことにしました。

 館のお庭の一角で、一杯だけ、お茶をたしなむことにしたのです。


 大きなまるい月が昇ってすぐ。

 カナタさんはわたしを迎えに来てくれました。

 もちろん、準備は整っています。

 インベントリにいれたお茶入りポット、ティーセットを確認して、わたしはカナタさんがさしだす手を取ったのです。

 わたしとおそろいの指輪を薬指に輝かせた、やさしい左手を。



 お庭の一角にそっと立つ、小さな木製のテーブルでふたり、お茶をいただきました。

 この島のハーブでつくった茶葉と、この島の水で淹れた、アルム島ならではの特別な一杯を。


「うれしいですわ。

 わたし、ずっとこうしたかったのです。

 カナタさんと、アルム島に来て。

 満天の星を見ながら、ここならではのお茶をいただいて」

「おれも。

 ずーっとこうしてみたかった。ライムとふたりで」


 すこし苦めのハーブティーに、そっとおとしたはちみつよりも、カナタさんのほほえみは甘くって。


「でも、これからはいつでもこうできるよ。 

 あした、かならず成功させる。

 そうしてぜったいに、ライムのもとにかえってくるからね」


 けれどこの手を取って言い切ってくれることばは、このゆたかな大地のように確かなもので。


「そうですわね。

 これからは、いつでもふたりで……

 カナタさん。あした、わたしずっとお祈りしますわ。

 そのリボンを通じて、わたしのちからがあなたをまもってくれますように。

 もしも助けが必要になりましたら、いつでもお呼びくださいませね。

 この翼ではばたいてゆきますわ、時空を超えて」


 その確かさにそっと寄り添いたくて、わたしは誓いを語るのです。


「うん。たよりにしてる。

 ライムはいつも、かげからおれを、おれたちをまもってくれていたものね。

 初めて出会った時からずっと」


 いまのカナタさんは、わたしよりずっと強い。

 それでも返してくれる信頼が、この胸を熱くします。

 あした。わたしのもてるすべてのチカラで、きっとあなたを、イツカさんをミライさんを、ともにゆくみんなをまもります。

 わたしはもういちど、こころの誓いを新たにするのでした。



 最愛のひととの、あまいあまいひととき。

 このままいつまでもこうしていたいけれど、あすはたいせつな日です。

 やくそくどおり、用意した一杯ずつのお茶を飲み切ると、わたくしたちはそれぞれの部屋に戻りました。


 道すがら見上げれば、大きな満月のなかを、ふたつの影がよりそって飛んでいます――もうひとりのカナタさんと、ルカさんです。

 月あかりに照らされたこずえでは、白リボンのイツカさんとルナさんが語らう姿もちらり。


 そして、赤リボンを首に結んだイツカさんは、礼拝堂からひとり出て、館に戻っていきました。

 とても、とても、神聖な静けさをまとった姿で。


次回! ついに新生アタックチーム、出動です!

どうぞ、お楽しみに!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 甘い!はちみつよりも甘い! [一言] 月明かりと星空とカナタとライム。 ゆっくりと、 でもあっと言う間に月は居場所を移す。 甘い話だからこそ これからの緊張感を高めます。
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