105-2 再生、プロジェクトチーム! 追加メンバーもいるよ!!
直前まで赤いにゃんこと黒いにゃんこズはテーブルの上で遊んでいました。
会議に集中できません(叫)
おれたちのアトリエは、錬金用のアトリエにダイニングキッチン兼居間と、一人用のベッドルームみっつがついただけのもの。
ぶっちゃけ応接は庭の丸テーブル、お風呂は裏手の露天風呂という、こじんまりとしたものだ。
3Sたちはドール化。新入り『憤怒』の赤い子猫はイツカのひざの上で、丸くなって眠っているからいいものの……
ここに残ってるだけでも、前回アタックチームにミツルとアオバ、ホシノーズとリュウジさん、ルカルナライムにソナタ、さらに加えて軍師チームプラス――ノゾミお兄さんミソラさん、シルウィス兄弟と詰め込むのは確定で無理。
なので、再生プロジェクトチームのミーティングは、そのまま庭で。
念のため『はるかな愛のコンチェルト』と、ミライとミズキの第二覚醒『ぴょこりんグリーティング』で周囲の守りを固め……
RMP本部のミーティングルームと通信回線をつないで、スタートだ。
居住まいを正しつつも微笑みを絶やさぬ緑狐紳士・エルカさんが画面の向こう、作戦を発表しはじめた。
『作戦はシンプルだ。
ライカネットワークと我々のハッキング技術、前回の謁見のさいのデータを使い、GMの城にショートカットを作成し、直接乗り込む』
画面の向こうで『クオン』『シエル・ヴィーヴルプラス(レム君たち以外)』のメンバーたちがうなずく。
『あくまで行うべきは説得だけれど、武力による抵抗が強く予想されるため、向かうのは前回同様、選抜アタックチーム。
今回は本人の希望により、ルク・セレナ両氏と前世のかかわりをもつ、ミツル君が加わる』
ミツルが立ち上がり、ぺこりと一礼。
となりの席にはアオバがいるが、彼は立ち上がらない。
ただ互いに、信頼のこもったまなざしを交わしあうだけだ――アオバは今回も信じて待つと決めているのだ。自分と相棒の大切な人たちを、地上に残って守りながら。
そんな二人に優しい目を向け、エルカさんは先を続けた。
『GMたちの抵抗は強力なものと考えられるが、もっともヤバいのは『リアルの月面などの宇宙空間に放り出される』という攻撃と考えられる。
GM本人はそんなことをしないだろうが、ルクの激昂ぶりと、持てる力を考えればないとはいいきれない』
アオバをはさんでミツルの反対どなり、ソラがうんとうなずく。
かつて信じあった友の変わりぶり。それを目の当たりにしてしまった彼には、特に辛いはずだ。
それでも、ソラは揺らがない。
こんとこそ、絶対止めると前を向く。
『これについては、月-地球圏を包んだライカネットワークにセーフティーネットになってもらえば、万万が一の時にも大丈夫だ。
まあイツカ君、カナタ君たちがレジストできるはずだから、念のためだね。
さっきライカネットワークから再インストールしたスキルは、ライカ君がコピーし、リビルドした上位互換バージョンになっているから、『通用する』というより、むしろ上を行けるはずだ』
そのつよさの支えに、おれたちもなれている。そのことは友として誇らしい。
もっともそれも、彼やライカや、仲間のおかげなんだけれど。
いざってときには絶対守る。こんとこそ、消滅なんかさせられずに。
おれたちは、皆を見回しうなずいた。
『だがさらに念を入れて、月面および周辺宙域に、『そらふねIII』および両国連合の航宙隊、そして非公式の戦力ではあるが、超合金合体変形巨大ロボ・グランドラゴンズを送り――
最後の命綱として、アタックチームの回収や救護、そのほかバックアップを担ってもらう』
つづいて目礼するのは、チーム『ソラフネ』と、トウヤさん、ルキウスさん。
同じソリステラス連合国に属していても、ソリス領軍は航宙戦力を有していない。
そのためそちらはルキウスさんチームひきいるステラ領勢力に任せ、パレーナさんチームは大気圏内の警備という分担になっているとすぐに分かった。
しかし超合金合体変形巨大ロボ・グランドラゴンズっていったいなんだ。なんかサラッといわれたけど。
頭上にぽんとでてきた?マークとともに見回せば、みんながおれたちを見ている。そろってえっらいいい笑顔だ、とくにタクマとエルマーが。
なるほどあとで発表会というわけだ。楽しみに先を聞くことにする。
『地上に残るメンバーのすることは、大きく三つ。
警備チームは、軍や警察、自警組織等と連携して、各種妨害に目を光らせ、これを封圧する』
トウヤさんのとなり、統合幕僚長エイジ・ツヤマ氏が一礼。パレーナさんも頭を下げる。
『プロモーションチームは、適宜バトルや謁見の様子、ならびに関係者コメントを伝えつつ、みんなの祈りを束ねる』
タンジェリンさん、アイリーンさん、シグルドさんが静かに一礼。
ルリアさんと『リアちゃん』も、それにならう――なんと今日はピースなしだ。
それでも、その顔に浮かぶのは自信に満ちた明るい笑顔。
近くに座したルカとルナもアーティストとして「がんばります」と一礼した。
『そして総合バックアップチームは、作戦中のけが人、避難者や、成功後帰還したものたちを速やかに受け入れられる体制をぬかりなく整える』
最後に一礼したのは、なつかしさすら覚える顔ぶれだ。
コトハさんやクローリンさんたち、アッシュとトビー。アルムさんご夫妻やエアリーさんたち四女神までふくめた、島の仲間たち。
ロアンとミキヤ、イツキとザインといった、学園にもどったもと『魔王軍』たち。
学園を守っていたアキトやセナ、『カルテット』や先生たち。
『魔王戦』終結後に加わってくれた、『ハナイカダ』をはじめとする仲間たち。
月萌やソリステラス、あちこちの町や村の人たちの顔もある。
なんと、職務上顔出しをほぼ絶対に避けているチェシャたちエージェントまでが、めちゃくちゃ変装してだが映ってくれていた。
もちろん、おれのとなりのライムも、清楚で優美な一礼を見せてくれた。
『画面に映り切らない仲間たちもまだまだたくさんいるが、想いは一つ。
『戦争なき世界、誰もが幸せになれる優しい世界を』。
RMPチームを母体に再編された新プロジェクトチーム、『FMM<フライミートゥザムーン>』チームは、特別な誰か、強いチカラや優れた頭脳をもつ、一握りだけのチームではない。
この世界に生き、イツカとカナタの志に共鳴する、すべてのひとびとからなる世界的チームだ。
仲間はこれからまだ、どんどん増える予定だ。
みんな仲良く、力を合わせていこう。
アタックチームの出発は、いまから22時間後――』
エルカさんが、おれたち四人に視線を送る。
もちろん、準備はできている。
「みんな、かならず成功させよう!」
明るい笑顔で。声を合わせて呼びかける。
『おうっ!!』
オンライン、オフラインに、笑顔と歓声があふれた。
みんな、明るい未来を夢見てる。おれたちを信じてくれている。
そのことが、こころにからだに、力をくれる。
だいじょうぶ。みんなの力があれば。
こんどこそ、ミッション『エインヘリアル』は、哀しい『ウォーゲーム』は、終わりを迎える。
規格外の、トゥルーエンドに導かれて。
おれたちもみんなと一緒にこぶしを突き上げ、めいっぱいの「ファイト!」を送った。
それからおれたち四人は、天空神殿へ。
新たなデザインの装備に身を包み、あらためての決起宣言と、世界じゅうの人々への『お願い』を配信したのだった。
次回、ロボとゴーレムとでかいモフ。
……はい、いちおう、アタックチーム準備回です。ソーヤの第二覚醒、おめみえです。
どうぞ、お楽しみに!!




