Bonus Track_105-2 勇士と雄姿~ミッドガルド史第三巻終章『王の帰還』より~
投稿しようとしたら画面が閉じた……?
とりあえずもう一度投稿いたします。
その日、そのとき。
ステラ領星都ステラマリスの一角、イングラムの茶屋にて。
お昼のお茶を楽しんでいた者たち、すべての茶碗に茶柱が立った。
「これは……!」
ソリス領陽都インティライムの南、森の中たたずむベリーズの村で歓声が上がった。
かつて、イツカとカナタによる視察のさいに贈られたハーブの種。
それと同じものが、こどもたちのちいさな菜園に蒔かれていたのだが……
すべてがいっせいに発芽。見ている前ですくすくと成長し、開花したのだ。
「イツカさんたちとカナタさんたちが……!」
月萌国月都高天原。
上空をわたる太陽のまわりを、あざやかに囲む虹の輪が観測された。
「もどってきた!!
『聖なる大魔王』がもどってきたぞおお!!」
ひとびとに歓呼の声があふれたそのとき、心の中にふわりと届く声、沸き上がる決意。
こんどこそ、王たちの導いた、優しい願いをカタチに。
そのために、自分ができることは――
『みなさんに、あとひとつだけお願いがあります』
『俺たちは明日の昼、もういちどGMに会いに行く。
倒すためじゃなく、助けるために』
『あいつも、好きで戦争なんかさせてるわけじゃなかった。
世界を滅ぼさないために。ただ、そのためだけに、全力で世界を支えてる。
あいつも、俺たちが助けなきゃなやつだった』
『だからもう一度だけ、みなさんの力を貸してください。
祈ってください。優しい時が来ることを。
だれも、戦いを強いられることなく。愛するものたちとともにしあわせな時を過ごしながら、ゆっくりと成長していけるだけの、悠久の時の流れが得られることを』
『いまからでもいい。あとからだっていい。
祈ってほしい。願ってほしい。
みんなの心の優しいチカラを、あの月に向けてそっと投げかけてほしいんだ』
まもなく全世界に向け放送されたのは、天空神殿をバックに、堂々と立った四人の『王』の勇姿。
かれらの語る『願い』が、幾多の人々の決意をみちびいた。
中つ国ミッドガルド。
その戦いの歴史が終わるまで、あと一日。
次回、明日への準備と追加メンバー!
どうぞ、お楽しみに!!




