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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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105-1 復活、祝福、そして成長! うさぎ妹の守りのチカラ!!

 フィルさんは、プロジェクトリーダーの一人。

 豪放磊落、大胆不敵なフリーダム男である。

 その自由っぷりはイツカとタメをはるレベルだが、有能さはホンモノで、プロジェクト全体を統括するグレートマネージャーのセレストさんにも頼りにされている。

 ただ、たまーに大人げなくもしょーもないいたずらを仕掛けてくるのが玉に瑕で。


 ミッドガルドに戻ったおれたちは、さっそく大慌てするハメになった。

 ここがティアブラ・ミッドガルドにあるおれたちのアトリエ前であることはまあいいとして……

 でかいのだ、みんなが。

 視点変更で自分を見れば、なんとかわいい小さいぬいぐるみ。

 この間、ソナタたちがサプライズでつくってくれたやつだ。


 やられた。今頃ぜったい笑い転げてる。あっちにもどったら覚えてろ。一瞬そう思ったおれだけど、ライムのあたたかな胸にぎゅっと抱かれたら、それはむしろありがとうにかわった。


 もうひとりのおれは、ルカに。白イツカは、ルナに。

 そしてイツカはなんと、どうみてもここティアブラ・ミッドガルドをつかさどる守護女神・ティアラ様(ただし髪は水晶色に変わってる)にしか見えない人にだっこされている。

 いや、いいのこれ。と思ったら、うまいかんじのシメがきた。


「ありがとう、ことなる大陸からの友たちよ。

 そして、ありがとう、この大陸の我が子らよ。

 あなたがたみなの力をもって、この世界はかけがえなきひとたちをとりもどすことができました。

 この世界に新たなめぐみを、そして救いをもたらす、われらが救世主を」


 女神様らしく微笑んで、ソリステラスからの参加者をはじめとしたプレイヤーや、これを見ている視聴者たちに大きく頭を下げ、感謝を告げる。

 なるほど、行うべきパフォーマンスなのだ、これも。


『心あるモンスター』イベントからつづく一連の動きは、月萌国内向けにはすべて、ティアブラの大型ゲーム内イベントという皮をかぶせられてきた。

 それでも、GMによって世界からの追放を受け、肉体も失ったおれたちの復活は、彼女の一存だけでできる域を超えている。

 ぶっちゃけいうと、大量の署名と、膨大なTPとをもって、はじめて運営が動くレベルのことだ――が、集まったのだろう、それが。

 ミライたちアタックチームのぶんもあるとか考えると世界経済がヤバそうだけど、とりあえずそれはあと。

 

 まずはおれたちも、愛するひとの腕から抜けだして、まわりのみんなに、そしてこれをオンラインで見ている人、動画で見るはずの人、書き起こしや伝聞で知るはずの人、全てに向けて感謝を伝えた。


「みんな、ありがとうなー!!

 今はまだチビだけど、すぐ元に戻っからな!」


 見事に声を合わせてお手々フリフリのダブルイツカにゃんこ。かわいい。


「みなさんのおかげで、戻ってこれました。心よりありがとうございます!」


 みじかい手足でボウ・アンド・スクレープを決めるもうひとりのおれ。キラキラのきずなの輪がおはちにはまって、まるでたれみみうさぎの王様だ。かわいい。


「おれたちはもう、ただの流れ星じゃない。みんなと同じ、大地に根ざした身体をもらった、星と大地の子供です。

 だからもう一度、がんばれます」


 萌えをふりはらい、おれも頭を下げた。おれはやつらほどかわいくないけれど、その分誠意が伝わればいい。


「明日の正午キッカリ。俺たちはもっぺんグランマに会いにいく」


 赤のイツカが言う。


「そして今度こそ、世界の平和を認めてもらう。大丈夫、俺たちとみんなの力を合わせれば!」


 続けて白のイツカが。


「みんな、あと少しだけでいい。俺たちといっしょに!

 よろしくお願いします!!」


 最後は四人で声をあわせた。

 みんなの、温かい拍手と声援が、優しく降り注いだ。



 しばし再会を喜びあったおれたちは、一度解散。

 とくに関係の深いメンバーだけがそこに残って、現状把握と明日の準備をすることにした。


 とりあえず小さいままだと不便なので、『超越者』パワーでサクッと元の姿に変身。このさいだからちょっとだけカッコよくしとこうかなとも考えたけど、さすがにそれはやめといた。

 驚いたのはもうひとりのおれ。うさみみしっぽの毛並みの一部が、ゴールドのかかったプラチナにかわっている。


「それはフィルの恩寵です。

 フィルの絆の輪をたのみに復活なさったとき、あなたさまに授けられたもの。

 これにより我ら同様、あなた様も天狼フィルの力を使うことができるようになりました」

「ほんと? 助かる!

 フィルさんに、お礼言わないとね」

「ええ、この件がおわりましたら一緒に参りましょう。

 あの方はブラッシングをご所望でしたから、いいブラシを持参で」


 和気あいあいの主従。でもシグルドさんはルカと張り合おうとはせず、さっと一礼して一歩引く。こんなあたりはちゃんと紳士だ。今の姿は二足歩行のもふけもだけど。


「みなさんのそのお体には、星霊の申し子たちがもたらした、星霊全員の祝福がこもってます。

 パワーもスピードも、なにもかもぐっとあがっていますよ!」


 子犬のようなころっとしたチビ狼のレムくんが、しっぽふりふり言ってくれるのは癒やしだ。ちなみにミライがニコニコ抱っこしてるので可愛さ爆発である。

 しかしおれの理性さんがサヨウナラする寸前に、天使が、もといライムがすっとお茶を出してくれた。


「みなさん、そろそろもとのお力をインストールなさってみてはいかがかしら?

 きっとお茶もよりおいしく感じられますわ?」


 なんというナイスフォロー。おれは『元の姿に変身したのにそのうえでまた子猫に変身してにゃんにゃか走り回ってる』謎の生物どもをうさみみロールで捕獲して、ライカに声をかけた。


「ごめんねライカ、お待たせしちゃったよね。はじめていい?」


 そう、ライカの力を借りるなら。そして、第四覚醒も終えているおれたちなら。

 ライカのなかにあるライブラリから、望むスキルをダウンロード、熟練度も任意でインストール、慣らし運転もなしで使えるようにできるのだ。

 とはいえやはり体になじませる時間はほしいので、もともと持っていたものだけにとどめるのだけれど。


『ほいさ〜☆ いやーネタ出してから何ヶ月も経っちゃってっからもう使わないかとおもってたにゃん!

 ほんじゃーチカラ抜いて息すってー、えいやっ!』


 あくまで軽い、軽いノリの一声とともに、奇跡のような仕事がなされた。

 体の中に意識を凝らす。うん、ほぼほぼもとどおり。いや、前よりぐっとさえてる感じ。

 ステータス画面を確認すると、レムくんの教えてくれた通り。

 各種祝福がズラリ、なんとも華々しいことになっている。

 ありがたくもうれしい気持ちになるおれだったが、そのなかにみつけた一行は、そのうれしさをあふれさせてくれた。


『銀十字の守り+:『銀十字の守り』のチカラが、愛するおにいちゃんたちを守ります』


 なんと、ソナタの守りのパワーアップバージョンだ。

 高天原を追われた当時は、愛するミライ、ミライのバディのミズキをやっと守れるだけだったそれは、今さらにおれたちとイツカたちをも包んでいた。


「すごいよ、ソナタ。ぐっと成長したね!」


 優しくその頭を撫でれば、愛らしさも頼もしさも天井知れずのわが妹は「どういたしまして!」と、照れた可愛い笑いを見せてくれたのだった。


朝からやること多くてせわしねえ……!

次回、ふたたび立つ勇士たちと、その雄姿をみるひとびと。

『勇士と雄姿』どうぞ、お楽しみに!!


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