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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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<Stage_105 帰還、そして> Bonus Track_105-1 おかえりなさい! 王の帰還!! ~レイジの場合~

おつかれさまです! 大規模メンテナンス!!


2023.02.06

章タイトルをサブタイに入れさせていたたきました。

また、誤字や一部表現を修正いたしました。

ミライツカナタのアトリエ←イツカナのアトリエ

最強でサイコーて←最強でサイコーで

「どけ! どきやがれてめえら!!

 大魔王どもは復活させねえ! 絶対にだ!!」


 ミルド近郊は一時、パニックに近い騒ぎとなった。

 (いも)うさちゃんこと、ソナたんさまが例のアイデアを開陳してすぐ、ファンとアンチとメディアと野次馬がおしよせたからだ。

 ティアブラ運営の最高責任者というポストをお持ちのセレネちゃんさまが、ほぼ名誉職という現状を蹴っ飛ばして対応くださった――具体的にはイベント対応という名目での通行規制をほぼ即時におかけになった――からいいようなものの、すでにそのときルク派の残党が入り込んでいたのだからハンパねえ。


 それでも、俺たちだってハンパじゃねえ。

 イツカナたちは、絶対絶対に、復活させる。



 RMPアタックチームがGM(グランドマザー)のもとに殴り込んだ時、俺たちは当然、イツカナたちに宿っていた。

 俺は、イツカに。バニーは、カナタに。

 二人ずついるんで、分体を作って赤白それぞれに一体ずつ。

 だが、バトル開始から間を置かずしてルクが『大女神の審判』。

 こんなんで、俺たちの大事な大将を消されてたまるか。レジストしようとした俺たちだが、半ば強引に憑依を解かれ、身体から出された。

『すぐ戻ってくる!』『みんなをお願い!』そう、告げられて。


 分かってた。『審判』はスキルじゃない。不適切な行動を取るキャラクターをGM権限でオミットする『手続き』だ。彼女の『ゲーム』のもとにある、なんぴとたりとも逆らうことなどできやしない――そう、AIレベルでグランマを凌駕しているライカをもってしても。


 これに強硬に抵抗し続ければ、もろともに『消されて』しまう。

 それでも。いやむしろ、ついていけるならと激情に流されかけた俺たちを、イツカたちとカナタたちは救ってくれたのだ。

 まさしくいのちの恩人である、四人の復活。何をもってしても、邪魔なんざさせねえ!

 燃え上がる激情のままに俺は吠えた。


『っだっとゴラァ?!

 あいつらは命の恩人なんだよ!

 ぜってえええに取り戻す!!

 邪魔かますんならぶっ飛ばす!!』


 すると奴らの一人が鼻で笑った。


「ハッ!

 イーパラで詐欺に加担してた野郎がなに正義ヅラしてやがんだよ!

 どんだけカネを返そうが、てめえらのしたことは消えやしねえんだよ!

 わかったらとっとと……」

「おだまりっ!」


 そのとき、横合いからの飛び蹴りがそいつを沈めた。ええええ。

 哀れな……いやなんかちょっと嬉しそうに見えるがきっと気のせいだ……蹴られ男のうえで仁王立ちしているのは、バトルヒロイン全開のサクラちゃん様だ。


「あんたたち、ルク派よね?

 だったら全員おじいちゃまのカタキよ!

 降伏して許しをこうか、あたしに死ぬほどぶっ飛ばされるか、今すぐどっちか選びなさい!!」

「なあああ?!」


 ビシッと指を突きつけるチワワの女王さま。その暴君ぶりに俺までぶっ飛んだ。


「まあ『やったことは消えない』みたいだけど!

 ちゃんと謝るんなら、3回ぶっ飛ばす程度で許してあげる!」

『どっちにしろぶっ飛ばすんかああい!!』


 いやほんとなんつう暴君。優雅にやってきたリンカ様が笑顔で優しくたしなめる。


「サクラ。謝ったのに3回ぶっ飛ばすなんて、可哀想でしょう?

 2回程度で許してあげなさい」

『あんたもかああい!!』


 もう止まらねえ。ツッコミが止まらねえよこのお二方。


「しゃらくせえ! たった3人でかなうわけがねえ!

 こっちは残り5人だ、まとめてやっちまえ!!」

「マジにそう思ってんのか、おまえら?」


 するとさらに横合いから現れるトラオとサリイの姉貴。

 そして、ゆきまるさんとおナナ様、レンレンとちあっちゃん。


「何っ? トラオハーレムかっこ広義かっことじるだとおお?!」


 その言いぐさにこんどはレンレンがぶち切れた。


「っだっとゴルァ誰がミルクのみにゃんこのペット様だァ?! ぶっ飛びやがれ、『レッツ・パ」

「わーレン! やめたげてー! テラフレアボムやめたげてえええ!!」

「それはマジやめろ――!!」


 ちあっちゃんは一生懸命。トラオも血相変えて叫んでる。

 だが俺にはわかる。すくなくともいまのレンは、森の中で火炎系ボムをぶっ放すようなイカレ野郎じゃない。

 ぶっちゃけこれらは、渾身の名演技、というやつだ。

 それでも残り5人のうち3人はホールドアップ。リーダーらしき男も渋々と手を上げた。


「ちくしょう……てめえら状況わかってやがるのか。

 数を頼みチカラで横車通しやがって!」

「うん、最初にそれしようとしたのは君たちなんだな?」


 おナナ様も笑顔でよーしゃない。リンカ様といっしょにさくさくと聖静籠サイレントケージを一人ずつにかけ、やつらを拘束していった。

 それでも、リーダーはブツブツ。


「くそ、……クソックソックソ!!

 どいつもこいつも、……

 やらなきゃいけねえんだろうが。世界が滅ぶんだぞ。だってのにふざけやがって。ふざけやがって。ふざけやがってふざけやがってふざ」


 うつむいた奴のオーラが、赤黒く染まる。奴の顔に、手に、禍々しい文様が浮かび上がる。これは。


『離れろ! 3Sが――『憤怒』が生まれてやがる!』


 俺はとっさに声を上げ、トラオハーレム(広義)に距離を取らせる。

 なんでわかったか。それは俺も、『憤怒』だからだ。

 そして、だからこそ、俺ならばこいつに対処できる。

 俺は、煮えたぎるオーラにむけて手を伸ばした。


『世界が滅ぶ、か。

 そいつは捨て置けねえな。やるっきゃねえな。

 たとえば、クッソ気に食わねえ奴らがのさばってる、クソみてえな世界だとしてもな。

 ……俺もそう思ってんぜ』


 すると、リーダーの体のうえ、人のカタチを取りつつあるオーラが、こっちを向いた。


『俺は、ガチの世界の敵だ。

 俺たち調整者は、生まれながらに敵視される。

 そういう役回りになってんだ。

 それでも、それが世界のためと、壊して、壊されて、繰り返してきた』


 震えだすオーラ。そりゃ、生まれてソッコーこんな未来予想図聞かされたらたまらんわ。

 しかも口先だけの脅しじゃなく、経験者の生実話として。

 それでも淡々と、俺は続けた。


『なんで、正義が負けるんだ。そんな怒りは尽きることなかった。

 俺は正義の怒りの化身。なのになんで負けるんだっても思ってた。

 けれど、壊して、壊されて。最後にゃケースに入れられ実験動物。

 俺ら、なんでこんなことしてんだろう。そう思ってた頃、俺はこいつらに出会った。

 こいつらは、俺たちを受け入れてくれた。

 俺たちの正義の怒りが、ほんとうに解消されるために戦ってくれているんだ。

 なあ。こいつらがどんだけ、滅びそうになる奴ら救ってきたか、知ってるか?

 クソみたいな高天原の現状にやられそうだった生徒や教師。

 放校になって売られたもと高天原生たち。

 俺らに詐欺られてた何人ものプレイヤーたち。

 実験体や、安い労働力として好きに使われてたΩたち。

 秘密主義と身分制に引き裂かれる恋人たち。

 一生病院暮らしになるかもしれなかったハートチャイルド。

 心を病んで百年苦しんだ女神と、彼女を救おうとしていたやつら。

 戦いの血潮を持て余してたやつら。

 国のためにと、ココロを壊して働いてた女の子。

 自爆の憂き目に合わされそうだったアンドロイド・エージェントたち。

 自分を憎むしかできなかった哀れな幽霊ジジイ。

 したくもない作戦で使い捨てられかけてた軍人たち。

 戦争させられてた2つの国。

 翼をなくしたお姫様。

 ……つか、俺たちもだな。

 こんだけ、こんっだけ助けてんだぜ。

 世界だって、助けられると思わねえか。

 お前らのことも、ラクにしてくれるたぁ思えねえか?』


 いつのまにか、ほかの仲間たちも集まってきていた。

 ノゾミのダンナに、ミソラちゃん先生。

 イザヤとユウ。ケイジにユキテル。

 ビーグル犬装備がなんかかわいいハジメちゃん(※アラサー♂)と、おそろい装備が初々しいユウミちゃん。

 銀子ちゃんとそのダーリン。アンドロイドエージェント部隊『ナイツオブラウンド』のまとめ役トニー。

 精霊っぽいのや獣人っぽい姿をしてるのは、ライアンやリン、タクマといった、ソリステラスからの連中だ。

 さすがに幽霊ジジイは来れなかったようだが、かもめ隊の奴らもいた。

 そのほかいろいろの中にはなんと、俺らが過去に詐欺った冒険者までがいた。

 詐欺の弁済は、済んではいるけれど。

 どきりと心の腹筋が固くなったが、やつらの目は暖かかった。


「……ほんとうに、やれるんだな?」


 生まれたての3Sが、それに包まれたリーダーが、俺をまっすぐに見る。

 おうと迷わずうなずけば、やつらの手が俺の手を握った。


 3Sがするりとリーダーから抜けて、俺の肩に駆け上がってきた。

 小さな赤い子猫の姿をしたそいつは、俺の肩に陣取る。

 一方、文様とオーラがきれいに消えたリーダーは、深く頭を下げてきた。


「一つ、頼みがある。

 御大と御前も、救ってさしあげてくれ。

 あんたたちにきつい目を見せた人間であることは重々わかっている。だが、それでも世界を救うために誰より労苦を引き受けていた人たちだ。

 御大は――ルクさまは、俺たちの罪もすべて背負うと、言ってくれたんだ」

『ったぼーよ。

 俺らみたいなクズ野郎でさえ救ったやつらが、断るわけねーだろう?』


 そのとき、風がかわった。森の小鳥たちがいっせいにさえずり始めた。

 はじまるのだと直感した。


「行くぞ。始まる。もう止まらない」


 ダンナが静かに告げる。

 俺たちはみなそろってしずかに、ミライツカナタのアトリエへと向かった。



 木立の最後の角を曲がれば、もうそこは奇跡の空間だった。

 アトリエの前のテーブルに、四体のぬいぐるみ。

 ルビーの瞳の黒子猫と、アメジストの瞳のたれみみ子うさぎ、二匹ずつ。

 それぞれ、赤と白のリボンを目印にしたやつらの身には、色とりどりの星霊の紋章がいくつも、まるで勲章のように輝いている。


「間に合いましたね!

 今から兄が、白のカナタさんとの絆を呼び起こします。

 白のカナタさんに続いて、赤のカナタさんと、イツカさん二人がやってきます」


 おれたちを見つけたこいぬレムちゃんが、かわいくもてきぱきと説明をしてくれた。

 シスターズを筆頭とした、ほかのメンツはもうそろってる。グリの野郎にはおせーぞという目で見られたが、忙しかったんだよと見返しておく。


 その間にも、神聖な儀式は進む。

 白モフの狼獣人(片眼鏡つき)姿のシグルドが、白のカナタのぬいぐるみに右手を添え、左手にきらきらとした光の輪を呼び覚ます。


「それでは、呼ばせていただきます。

 これなるは、我らが絆。

 たどり給え、我があるじ。

 汝を呼ぶものはここに。

 汝のあらたな宿りはここに。

 いざ、求めん――」


『王の帰還を』。


 促されるまでもなく、皆で合わせた声とともに、光る左手がぬいぐるみの頭に触れた。

 金色の王冠のような、天使のリングのようなきらめきの輪が、たれみみ子うさぎの頭に宿ると、そこを起点にまばゆい輝きが広がり……

 呼応するかのように、天から一条の閃光が下りた。


 それから、たっぷり数秒後。

 視界を圧した神光が引けば、そこには求めてやまなかった『聖なる魔王たち』がいた。


「うえっ?!」「やった?!」

「ここ……みんな……」

「帰ってこれた……んだよね?」


 戸惑う姿もほほえましい。

 俺たちはせーので告げた――『おかえりなさい』と。

 慣れないちっちゃなぬいぐるみの姿でうちゃうちゃと動いている、モフモフかわいくて、最強でサイコーで、大好きな大好きな大将たちに。


ももも申し訳ございませんっ!!(スライディング土下座)

ギリに来て投稿できなかった阿呆はこちらです……orz


そして投稿してみたら長かった。どうしてこうなった。


ともあれイツカナ復活。ハッピーエンドまで、あとすこし。

次回はカナタ視点で、ちょっと説明と完全復活を描きます。

どうぞ、お楽しみに!!

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