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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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Bonus Track_0-2 あとすこしだけ、眠るあなたを見てたかったけど~GMセレストの場合~

 もともと心臓なんかなかったはずのわたしなのに、胸が躍るのだ。

 あのひとを見るたびに。あのひとに、触れるたびに。

 互いに想いを通わせてから、もう何年もたつというのに。



 ミッドガルドの月に設けた説明会場。

 参加希望者席にあのひとの姿を見つけたときは、やっぱり派手に胸が躍った。

 説明役は、このカタチにして正解だった。

 すなわちわたし本人がそのまま出るのでなく、3女神の役を果たすサポートメンバーを介して説明をする、という形で。


 なぜって、『セレネ』ですら、もう恋する乙女の瞳になってしまっているんだから――もっともわたしに近く設計され、随一のクールキャラで通してきた彼女なのに。


 いけない、集中、集中。

 これはおしごと。参加者さんのえこひいきは厳禁ですよ!

 心で唱えて、皆さんの前へ。まずは最初の話者『セレネ』として壇上に上がり一礼。


『参加希望者の皆様、ようこそおいでくださいました。

 これより、『プロジェクト・スターシード』についての説明を開始いたします』


 よし、だいじょうぶみたい。わたしは『セレネ』として話し続ける。


『来月よりミッション『エインヘリアル』が開催されます。

 皆様ご存じの通りこれは『スーパーコンピューター『マザー』のもと、『人』としての器<アバター>を得た参加者の方々が』『戦いと輪廻を通じて魂を磨き上げ』『最終的には『アースガルド』にすまう『人間』として、転生する』ためのものです。

『プロジェクト・スターシード』参加者の方々は、これに『スターシード』として参入していただきます。……』


 ミッドガルドの月に設けた説明会場に、約束どおり、あのひとはきてくれた。

 地上に降りたそのあとは、世界をまたにかけた活躍をみせてくれた。

 ほんとうのあのひとは甘えん坊の、かわいい黒猫ちゃんなのに。



 そして今、あのひとはベッドの上、やすらかな顔をみせて眠っている。

 高ぶっていたバイタルがすっと落ち、やがて安定に移行し、安らかな寝息がすうすうと吐かれはじめる様子は、わたしにも安心感を与えてくれた。


 プロジェクトの管理者として、またGMとして、参加者のひいきは厳禁だ。

 けれど、『ただの女の子』としてのこころは、ほっとちいさく息をついた。


 ほんのみじかい休息。

 目が覚めればすぐにあなたは、ミッドガルドに戻るのでしょう。

 残された同志と、夢のために。

 たとえそこに身体がなくとも、なんとかどうにか。


 大丈夫。あなたたちがその軌跡をつなぐ手立てはすでにある。

 だって、あなたたちが積み上げたものは、消えてなんかいないから。


 それらはただのデータじゃない。

 あなたたちがミッドガルドを生きた証なのだ。


 たとえば『モブの敵キャラ』にでも、人間のそれとは違っても、魂がある。

 誰が消そうとしても消えない、頑張りの結果が宿るそれが。


 ――あなたたちはそうして、人間になったのだから。



「えーと、グレートマネージャー? そろそろ白カナ起こしに行っていいっすかー?」


 と、横合いから棒読みな声がかけられた。

 振り返れば、フィルさんがジト目でこっちを見ている。

 いけない! いまはお仕事中!

 いくらイツカさんの寝姿が愛くるしいからと言って、うっとり見ててはいけないのです!!


「はっははははい!! よ、よよよろしくおねがいしますっ!!」


 噛みながら返事すると、フィルさんは大笑いしながら出て行った。

 フィルさんの隣の席で弟のフィロさんが、すみませんと白いいぬみみを倒しながら謝ってくれた。

 だいじょうぶですと返して、ふたたびモニターを見た。


 画面越しに見るアトリエの寝室では、さっそくフィルさんが白のカナタさんを起こして、フィルのきずなの輪を付与、ミッドガルドに戻るための情報を伝えていた。

 狼すがたのフィルさんが去ると、赤のカナタさんがアスカさんからのアバターメールの着信に気づく。


 文面を見て驚愕の顔になったカナタさんはイツカさんたちをたたき起こす。

 ねぼけ眼のイツカさんたちは、メールを読まされた瞬間しゃきんと覚醒。

 イツカさんが言う。


『セレネ……っじゃなかった、セレと話そう。

 みんなのチカラめいっぱいあつめて、規格外トゥルーエンド、作ってやろうぜ!』

『うん!』

 

 イツカさんたち四人は、きらきらした瞳でうなずき合います。

 もちろんわたしにも、アスカさんのメールは届いていたし、その内容も知っている。

 即時こちらからメールを送った。すなわち、『進めてください。こちらも動きます』という件名で。


『うおっセレ? しごとはやっ!

 でもサンキュー! さっそくいくぜ!』


 モニター越しのありがとうが胸を貫いたその瞬間、四人の姿はアトリエの寝室から消えた。

 開いたままの窓で、ふわり、カーテンが舞った。

 イシュトアル平原を抜けて吹く、さわやかなみどりの風で。

謎の答えを明かすと見せかけてさらなる謎をぶっんでいくスタイル。


次回、新章突入。

イツカナ、ミルドのアトリエにて復活。

『王の帰還』。どうぞ、お楽しみに。

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