103-6 じれじれカッポゥをくっつけろ! お料理対決の秘密ミッション!! ~クロートーの場合~
「……で、『あたし』だってことはつまり、そーゆうことね?」
「ええ。
トトちゃんでなければ、この任務は果たせないわ。
お母さんでも、ほかのきょうだいでもだめなの。
ひきうけてもらえる? ソリス杯で、お母さんの代行を」
おかーさんはニコニコわらってそういいました。
あたしのおかーさん、クローリンは策士です。
優しそうな顔をして(いやほんとに優しいんだけど)、さりげなく策を練っています。
今回のソリス杯だって、抜かりなく利用するつもりなのです。
「トトちゃんのソイスープの味は、ベルちゃんに微妙に近くて遠いわ。
これならルゥちゃんもね、言えると思うの。
『結婚してください』って、ストレートに」
そう、おかーさんは、あのじれじれカッポゥをこの機会に、えいやっとくっつけてしまうつもりなのです!
あたしのいとこであるルゥちゃんは、ベルちゃんのことが好きです。
ベルちゃんが一時期行方不明になったこと、再会後のベルちゃんが「わたしはバリキャリ志望、結婚なんかしない!」と公言していることもあって、すっかりこじらせちゃってますけれど、いまもこうさぎのころにもらった『やくそくのリボン』を大事にしています。
女の子だーいすきなルゥちゃんだけれど、恋してるのはベルちゃんだけです。
男の子でもいける疑惑がはんぱないけれど、愛してるのはベルちゃんだけです。
まわりはみーんな知っています。ばれてないとおもってるのはルゥちゃんだけです。
それでも変装してこっそりおかーさんに相談に来るんですから、かわいいなんてもんじゃありません。クッソかわいいです。これはなんとかしてあげなくちゃと使命感が沸き上がるのです。
ベルちゃんもそんなルゥちゃんが気になる様子。
一瞬ハーちゃんを気にしてるときもあったけど、すでにあーちゃんとラブラブであることを知って割り切ったようです。
そうなると、視界にはいってくるのはルゥちゃんというわけで。
ことあるごとに「わ、わたしは結婚なんてしないんだから! しないんだからねー!!」と言っています。ぶっちゃけ尊いです。
もちろんあたしはおかーさんにいいました。
「イエっス! マームっ!!」
おかーさんのマームもかけているのです。あたしのインテリジェンスはこんなところにもあふれてしまうのです。罪な女です。
『ポイズンクッカーになるのは、天才中の天才。
つまりベルちゃんに対抗できるのは、おなじポイズンクッカー経験者のトトちゃんだけよ。
がんばってね。お母さんたち、みんなで応援するわ!』
おかーさんのこころづよい言葉を胸に、あたしはいざ、出陣しました。
身に着けるのは愛用のエプロン。あ、もちろん人間姿なので服は着ています。
ライアンさん一家の声援とともにやってくるのはベルちゃん。やっぱり愛用のエプロンで、もちろん服も着ています。
そしてタクマちゃんと両脇を固められ連行されてくるのは「えっえっ?! なに、なんで?! まっまさか俺が食材なの――っ?!」とおびえてボケまくっているルゥちゃんです。
タクマちゃんが「安らかに爆発しろよ……」とその肩に手を置いて、実況席へ。
マイクを手に取り、ルゥちゃんなみのノリノリぶりで実況を始めました。
『それではこの試合! 実食と判定を担うわが友ルゥ君に代わって、タクマが実況いきますっ!
美少女二人にお料理つくってもらえるなんて正直うらやましい! クッソうらやましい!
けれど、ここは涙をこらえて盛り上げていきたいとおもいま――っす!!』
涙っていうか、明らかに笑いをこらえてるタクマちゃん。
そのたくましい様子に、また笑いが起きました。
次回! お料理対決、決着!
うさぎたちの恋の行方は?
どうぞ、お楽しみに!!




