103-5 Take Off! ふたつの夢をかなえるために! ~リンの場合~
白状します。寝不足で文章おかしいかもしれません……
気づき次第直します……orz
なにもかもが急展開だった。
だから私たちは、いつもの装備で出場するつもりだった。
だけど、ルリアさまは不敵に笑った。
「ふーっふっふー。こんなこともあろうかとー! じゃん!!」
なんと、なんと。
こんな時のためにと、あつらえてくれていたのだ。
わたしたち三人の、同じデザインラインの戦装束を。
ルリアさまのは青。わたしのは、髪に合わせて赤。
ミルちゃんのは、温かみのあるアンバーの瞳にあわせてオレンジ。
どこか変身ヒロインものっぽい、夢のあるデザインだ。
ミルちゃんは「わあ~! かわいい!」と目を輝かせる。
わたしも思わずテンションが上がってしまい「これ……着ちゃっていいんですかっ」と口走ってしまった。
「もっちろん!
じつはねーもーうちょっと露出があってもいっかなーって思ってたけど、侍従長と執事がうるさくってさ!」
ルリアさまが言うと、侍従たちを束ねて後ろに立つセバスチャン、ルリアさまのすぐナナメ後ろに控えたバートのふたりが同時に咳払いをしたので、思わず吹き出してしまった。
けれどティールームを満たした笑いが収まると、ルリアさまはこの上なく真剣にわたしたちに告げた。
明日の試合に勝ったなら、わたしたち『ふたり』を、後継者候補として指名すると。
ほんの少し前、ソリス視察に来たイツカとカナタたちを迎えて、ここで開かれたお茶会の時。
明るい笑顔で語った夢を、ルリアさまはひたすらまっすぐ、実現しようとしてくれているのだ。
ならば、わたしたちも全力だ。
実はいまもってなお、わたしは完全に一人では飛べない。
さすがにもう、助走をつけてもらったり、蹴り上げてもらったりはしなくていいけど、どうしてもまだなんらかの後押しが必要だ。
それでも、わたしたちは食らいつくと決めた。
フィールドに出ると、すさまじいばかりの歓声がわたしたちを包んだ。
ルリアさまは「やっほ――! 今日は楽しむぞー! みんな応援ヨロシク――!!」なんて、満面の笑みで両手を振っている。
さすがにわたしたちに、あのまねはできない。ので、ミルちゃんとふたり、手をつないで一礼した。
すみきった空の下、実況のルゥが明るくまくし立てて、盛り上げてくれている。その声が、クリアに耳に入ってくる。
いいコンディションだ。これなら、いける。
これからわたしは、『そらとぶガンナー』としての集大成を。
ミルちゃんは、『空跳びエミュー』としての新境地を披露する。
わたしは、カナタに。ミルちゃんは、イツカに。
それぞれならい、作り上げたバトルスタイルだ。
そいつで戦い、勝つことで、世界中の人々の中にかきたてるのだ。
サイコーにかっこいい、四人の『魔王』たちを想う気持ちを。
そうして、すこしでも引き寄せるのだ。かれらがふたたび、この大地に復活する瞬間を。
そのきもちは、ルリアさまもおなじのよう。
勇気づけるように声をかけてくれた。
「よっしゃあ! がんばろーね!」
「よろしくおねがいします!!」
その明るい笑顔で、不思議と肩の力が抜けた。
自然にわきあがってきた笑みを返して、わたしたちは一礼。
すこし短めの距離50mを取り、戦いをスタートさせた。
「てぇーい、やあっ!」
ミルちゃんがわたしをジャイアントスイングの要領で、ナナメ後方に振り投げる。
私は勢いのままテイクオフ。
翼を広げひらり。大きくタテに一回転、逆さになったまま発砲し、ミルちゃんに迫る風弾の群れを撃ち散らす。
「さすがに対策バッチリか!
でも、これはどうかしら?」
ろうろうと響くバートの歌声が風を呼ぶ。
そのさなか、『蒼穹の女帝』が青の翼を広げる。
そらのまんなか大きく大きく、空に同化するほどに大きく。
「『天翼・ダウンバースト』!!」
ルリアさまがソウル発動を宣言すると同時。天空から蒼い、圧倒的な気団の滝が降り注ぐ!
容赦なく地をえぐる大技がさく裂したところにはしかし、もうミルちゃんはいなかった。
エミューの脚力をすべて推進力に変えたミルちゃんは、地をけり、宙をけり、空を蹴って高く高く舞っていたのだ。
エミューかわいいですね。モッフモフです。
ひなどりちゃん時代はあたまはぽちぽち、体はシマシマです。
かわいいですね^^
次回、決まるか大技!
『正義の魔王』にちなんだ、二人の合体技とは?
どうぞ、お楽しみに!




