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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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102-5 めいっぱいの逆襲を! 邪道うさちゃんの戦い方! ~ミズキの場合~

もふもふっていいですね!

 結論から言うと、俺たちはあの戦いに負けた。

 戦端を開く直前に、イツカたちとカナタたちが『消されて』しまったのだ。

GM(グランドマザー)の審判による、この世界からの追放だった。


「よし無理だ。降参しよう!」


 アスカが秒で降伏を申し出たが、だれも異を唱えなかった。

 全員が直感したのだ。残った俺たちでは、どうやってもあの大兵力に抗せない。

 無駄にオーバーキルを食らって傷口を広げるよりはと判断したのだ。

 おかげで、四桁低減されたと計算された――俺たちに課せられた賠償金は。

 それでもそれは、天文学的な数字。地下で一生働いたところで、とても返済などできえぬもの。


 もちろん、それは懲罰的レバレッジがかけられた後のもので、つまり、人件費を除いた部分は請求者の胸先三寸でいかようにも増減するものだった。

 すなわち俺たちは、請求額の減免と引き換えに要求された。

 ルク派の御用歌手となることを。

 ゆくゆくソリステラスへ宣戦するため、これまでの恨みを想起し、それを晴らそうと思わしめるような戦意高揚歌を歌えと要求されたのだ。


 それが嫌ならば、ご家族に手紙を書くといい。自由をあがなうお金が必要ですと。

 それらはもちろん、高天原の壁を越えて届くようにしておこう。

 そんなことを言われて、ミライたちはうつむいてしまった。

 こんな額、『御三家』にだってムリゲーに近い。ごく一般的な暮らしを営む家庭には、とても支払えるものじゃない。

 口を開いたのはアスカだった。


「あー。そいつはタカシロの払いにしてもらおうか。

 だってそうだろ?

 ルクたちは『いなくなった』。生きてここにいんのはおれたちだ。

 この状況、どっちを勝ちというんだい?」

「『御大』は生きている!」

「ああ、そうかもしれないね。

 でも、イツカとカナタも生きている。

 ……まあ、そのあたりはいい。

『僕が』動くといっているんだ。君に、不都合はなかろう?

 ミツル・サヤマを呼んでくれたまえ。彼の歌ならば、歌ってもよい」


 一つ息をつき、足を組み、アスカは口調を変えた。

 ひどく見覚えのある、ほの暗い笑みを浮かべてじっと交渉人を見た。

 その瞬間、彼はハッと目を見張る。

 小さくブルブルと頭を横に振り、再びアスカを見る。

 アスカはなお笑んだまま、じっと相手を見据えている。


「あ、……はい、すぐに……しばしお待ちを……」


 交渉人はぼうっとした表情のまま、素早く頭を下げると走って面会室を出て行った。

 超強化ガラスの向こう、扉が閉まり、足音が遠ざかる。

 見送るアスカは悠然と動かない。


「えーっと、アスカ……?」

「ぷっはー!!」


 それでもミライがおそるおそる声をかけると、アスカはぐーんと伸びをした。


「やールクのまねっこつかれるわー。あんま息しないんだもんあいつ。

 やっぱショタジジイだからねっ!!

 ごめんねミーたん、心配させたねーいいこいいこ。もふいこもふいこ☆」


 そうして返す刀でミライをなでもふ。驚きと安堵があふれたのだろう、ミライのかわいい口からちいさく、こいぬらしい声が上がった。

 そんなミライはあんまりにかわいくって、思わず抱きしめてなでもふしてしまう。

 ミライのまとう、甘いお菓子とひなたの香りを吸い込んだら、緊張がどっかに飛んでった。

 アスカはついで、後ろに控えていたハヤトのほうも、背伸びしてなでもふ。

 こっちはさすがに『きゅん』は言わないけど、明らかに耳の角度が緩くなった。これはこれでほのぼのである。


「うおおおびびったー!! ルクが乗り移ったのかとおもっちまったぜ!」

「もー! びっくりしたよー!!」


 それを契機に俺たちは、めいめいに狼狽を吐き出しわちゃわちゃ。

 そうして、問いかけた。


「でも、ねえ、アスカ。

 ミツルに作らせるの? その……戦争しようって歌を……」


 最初に問いを言葉にしたのはソラ。

 いっぱいの不安に、ちいさく不満をにじませた顔でアスカを見あげる。

 するとアスカはほろ苦く笑った。


「『ここに呼んだらもしかしたらミツルも、いっしょくたにつかまるハメになるかもしれない』。

 そのことは、わかってるんだ。

 それでもミツルじゃなきゃ、ダメなんだよ。

 この件にかかわりがあって、おれたちがちゃんと話をできて、サイコーの曲が作れるやつ。

 大丈夫。これがおわれば、ミツルはもう利用されなくなる」


 アスカはいつものうさぎ軍師の顔で、自信たっぷりに笑った。



 ソラの懸念は当たりすぎるくらいに当たった。ただし、ナナメ上の形で。

 ミツルはすぐにかけつけてきた。

 強化ガラスの向こうに通された彼は、係員と交渉人をじっと見てひとこと。


「俺も向こうに」

「「え、あ、はい」」

「っておおおおい?!」


 俺たちが盛大に突っ込みを入れる中、ミツルはすたすたと檻の中にやってきたのだった。


次回、続きです!

どうぞ、お楽しみに!!

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