表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1214/1358

102-3 めいっぱいの愛の歌を! 正統派・アイドルの戦い方! ~ルカの場合~

おじいちゃんおばあちゃんカップルってかわいいですよね*^^*

「は~。アルム島はいいところだな!

 海はきれい、ごはんはうまい、温泉露天風呂まであるなんてまるでこの世の楽園だ!」


 父さんがうーんとのびをする。

 アロハシャツに麦わら帽、カーゴパンツにビーチサンダルでキメた姿は、どこからみても『南国満喫真っ最中』。

 つい昨日まで、『我が家に客人がくるならば、それが刺客でも出迎えねばならん。それは、タチバナ流の師範として』なんていってた人と同一人物とは思えないくらい。


「ほんとうね!

 ありがとうねふたりとも、わざわざ『二度目の新婚旅行』をプレゼントしてくれるなんて!」


 そのとなりの母さんはというと、花を飾った麦わら帽子にカラフルなワンピースとサンダルで、これまたお手本のような『南国楽しんでます』姿。


 ちなみにおじいちゃんたちとおばあちゃんたちはもっとはじけていて、ただいま絶賛サーフィンしてたりムームーに花輪装備でフラダンスしていたり、かと思えばひとつのグラスのトロピカルジュースをふたりで飲んでラブラブムードまっただなか。


 大丈夫、これならみんな、しばらくここにいてもらえるはずだ。



 あたしたちはあらかじめ、ライカを通じてアスカに伝えられていた。

『万が一、のハナシじゃあるけど。

 つぎの謁見が失敗したら、面倒な奴らがご実家にやってくるかもしれない。

 ご家族に圧力をかけ、きみたちに戦意高揚の歌を歌わせる目的でだ。

 おれたちのほうでも目は光らせとくけど、できるならご家族を避難させておいてはもらえないかな。場所は……そうだね。アルム島あたりがいいかな』と。


 そんなわけであたしたちはみんなを避難させようとしたのだけれど……

 ひとり難物がいた。父さんだ。

 敵が来るなら黙っておれない、ここはお父さんが守るから安心するがいいなんて張り切ってしまってどうにもならない。


 まあ、父さんの性格は知っていた。よく言えば硬骨漢、悪く言えば強敵ほど燃えるバトルマニア。

 なのに馬鹿正直にまっ正面から話してしまったのは、血は争えないというべきか。

 口げんかになりかけたところで、ルナが機転を利かせてくれた。


『わたしたち、やっと社会人になれたんだし、いままでのご恩返し、したかったんだけどなあ……

 おとうさんとおかあさんに、二度目の新婚旅行をプレゼント。

 ちょうどいい機会だなーって思ってたんたけど……』


 その瞬間父さんは落ちた。

 どばーっと目から涙をあふれさせて、あたしたちを抱きしめて。


 父さんはこんなところが憎めない。

 ときどきちょっとお調子者、だけど、そこがかわいくって大好きな父さんを、あたしたちもぎゅーっと抱き返した。



 そしていま、あたしたちはここにいる。

 実はあたしたちもこれを機に、しばしアルム島に本拠地を移すことにしたのだ。

 現役エクセリオンであるレモンさんの家はどこより安全だし、居心地もいいのだけれど、いつまでも居候をきめこんだままではいられない。


 もうひとつの要因は、なにをかくそう、ライムだ。

 カナタを待って二か月間、笑顔を絶やさずゼロブラ館をまもりつづけてきたライムだけれど、再会後たったの一か月でまた引き離されてしまった。

 気丈に『だいじょうぶ、カナタさんたちなら必ず帰っていらっしゃいますわ』なんて笑っていたけど、背中の翼がしょぼんとしているのは隠し切れない。 

 放っておけずに、レモンさんがライムを連れ出したのだ。

『せっかく行けるようになったんだからさ、カナタたちの島を見てみようよ。ちょっとでもいいからさ』と言って。


 結果は大正解。

 いっぱいの日差しときれいな海に迎えられたら、「まあ!」とライムは歓声を上げた。

 農場で畑を手伝って、動物たちと戯れるライムは、いっぱいの笑顔だった。


 きっと今夜、みんなで女子トークするときには、あたしたちも一緒に、泣いてしまうのかもしれないけれど……

 それでも、ほんのひとときだけでも。親友の気持ちを軽くしてあげられたことは、あたしの気持ちも軽くしてくれた。



 さて、あたしとルナ、そしてレモンさんはというと、これからさっそくお仕事である。

 こんな事態を見越して、ソレイユプロのほうで、あたしたちのスケジュールは押さえておいてくれていた。

 このきれいな南国の海と空をバックに、めいっぱい歌って踊る。


 たとえこの後、ルク派の圧力で、戦意高揚の歌を歌わされる羽目になったとしても……

 そんな気持ちのこもらない歌なんて、桁違いの再生数で押し流せるくらい、めいっぱいにキラキラした、愛の歌を。


 カナタ。きっと、届くよね。

 あたしは、あたしたちは、あなたを待ってるよ。

 歌よ、風となれ、翼となれ。

 あなたの城を、あたなの歩みを、あなたの夢を。

 あたしたちできっと、守り抜くから。


 マネージャーのタカハシさんが呼ぶ声に返事を返し、あたしたちは駆け出した。

 青い青い、南国の空の下で。


次回はちょっぴり趣向を変えて、ルク派の暗躍です!

どうぞ、お楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ