101-2 人間らしすぎ? ミッドガルドの友の謎!
2022.12.21
今読み返したら言ってることがおかしい……orz修正いたしました。
『だとしたらすげーな、こんな生きた人間みたいなハナシ、ふつーにしてくんの。
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『だとしたらナットクだけど……すげーな、ふつーの一市民のにーちゃんまでが生きた人間みたいによ。
俺は……てーかまあ、ユリア越しにしか見てねーからアレだけどさ……ティアブラそんな、マトモにやってなかったからびびったわ。
丸い形をした、ティアブラ・ミッドガルドのワールドマップ。
ミルド平原はその、東の端にある。
けれどこの平原を東に抜けても、月の砂漠にはつながっていなかった。
マップを見ながらすすんでゆけば、自分の位置を示すドットがぴょんと西の端に移動して……
『ああ、ミッドガルドも丸いんだね。おれたちの暮らす、地球と同じく』
二年ちょっと前のおれたちは、そんなふうに言い合ったものだった。
けれど今おれたちが体験したことは、そんな思い出を粉砕せんばかりの驚きだった。
月面裏の東はじ。何もなかったそこと、かつての思い出の草原は、見えない壁一枚で『隣り合って』いたのだ。
幻ではない。耳をすませばおれにはわかる。
いま目の前でキョトンとしているのは、まちがいなくアレン。
おれたちが困っていればなにかと助けてくれた、帰還で門の前に帰ってくればいつも明るい笑顔で迎えてくれた、大切な先達にして友人だ。
とりあえず、まずは彼に説明しないといけない。いや、おれもまだ混乱してはいるのだけれど。
おれはミッドガルドの住民であるアレンを混乱させないよう、理解できる言葉を選び、なおかつ警戒を解くためにこちらの素性を先に明かした。
「えっと、おれたちはクエストのラストダンジョン目指して移動中なんだけど、なんかここに出ちゃって。
一緒にいるのは仲間たちだよ。ほら、これなかみソラでしょ。で、このおふたりは初めてだよね。アスカのおじさんのリュウジさんと、リュウジさんの同僚のアリアさん。
みんな、この人はアレン。ミルドでおれたちがお世話になった人だよ」
ソラの顔は確定で知っているはすだが、会うのは初めてだろうからご紹介。逆にライカを紹介しないのは、さきの凱旋イベントのさいに会っているからである。
『あっ、どっどうもですっ! ソラですっ!!』
『初めてお会いします。剣士のリュウジと申します』
『えーと、あー、おう……』
「こちらこそ初めましてみなさん。ミルドで門衛やってるアレンです。よろしくです」
ソラがぺこりっと一礼。リュウジさんが丁寧に会釈をし、アリアさんがちょっとどうしていいかわからない様子で「おう」。
対してアレンは如才なく一礼してニッコリ。白い歯がキラリッと光る。男子もみとれるイケメンぶりなのに、彼女募集中がいまなお継続しているのがマジで不思議である。
ともあれ四人が挨拶をし合うと、おれはさきを続けた。
「今着てるこれは、おれたちのセカイで使われてる特殊なアーマーなんだ。変に見えるかもだけど、簡単には脱げないからごめんね」
「なるほど、そーいうことか……
いやごめん。あんまり見慣れないデザインだから、驚いちまってさ。
だいじょぶ、変じゃない。トモダチが着てるもんだもんな?」
そう言ってニッコリ笑ってくれるさわやかさ。絶対確定ホンモノだ。
「街によってくのか? だったら多分みんな驚くと思うから、クロークとか被ってった方がいいかもな。俺からもハナシ通しとくけど」
「ありがとう。とりあえず、おれたちのアトリエに行ってみて後のこと考えようかと思ってるんだ。街にも行くかもだから、話通しといてもらえるとありがたいよ」
「了解〜。
いつも忙しそうだけど、無理すんなよ。
他になければ俺、採取したもん納品しに行くから」
「うん。ありがとう。みんなにもよろしくね」
「おう! じゃ!」
最後はイツカとおれ、ライカとハイタッチ。
ソラとリュウジさんとアリアさんに笑顔を向けて、採取に戻っていった。
『おい。あいつ……プレイヤーなのか? それともNPC……?』
その背中が街のほうへと遠ざかれば、なぜかアリアさんが神妙な顔で聞いてくる。
これはもしや。イツカもピンときた様子だ。
が、おれたちには煮え切らないこたえしか返せない。
『んー。リアルの話とかてんっで通じねえから、NPCかとは思うんだけど……』
「絶対にボットじゃないよね。たぶんナカノヒトはいるはず……て思う」
『だとしたらナットクだけど……すげーな、ふつーの一市民のにーちゃんまでが生きた人間みたいによ。
俺は……てーかまあ、ユリア越しにしか見てねーからアレだけどさ……ティアブラそんな、マトモにやってなかったからびびったわ。
ってかリュウジはそのあたり知ってんじゃねえの?』
リュウジさんは、怪訝な顔で首をふる。
『……いや。
確かに総理としての俺はティアブラ運営の一員ではあったが、そのあたりの話が俎上に上がったことは一度もない。
そのあたりは一括して『ツクモエマザー』が司っているものでは……?』
「それは違うな」
その時、笑いをまぶした声がした。
風の中からにじみ出るように姿を表したのは、あの男。
喪服のような黒のマントと、食えない笑いをまとった、ルク・タカシロだった。
遅れ気味で申し訳ないですが、明日もこのあたりには投稿できるようがんばります!
明後日はワクチン接種後ですため、大事を取って一日お休み致します。m(_ _;)m
次回、ルクの口から明かされる真実。
どうぞ、お楽しみに!




