Bonus Track_100-1 騎士たちの下剋上? 決意のジャック大作戦! ~ミキヤの場合~
今回ちょっと短いです^^;
「もうっ、下剋上しかありませんっ!」
だれも、このままでいいと思ってなかった。
第七陣の前夜にミズキさんとミライさんは倒れたのだ。
おふたりはだれよりもだれよりも、働いていた。
健康管理がどうこうとか、そういう範囲をもう超えてるのは明らかだった。
ノゾミ先生、シルヴァン先生からも注意は受けていた。おれたちもしごとをセーブして、少し休んでとお願いした。
そのおかげで水曜日だけはお休みしてくれたけど、木曜には完全通常運転で戻ってこられた。
おふたりがいてくださるのは、そして優しく気遣ってくれるのは、正直うれしい。
よく『実家に帰ったような安心感』というけれど、ある意味でそれ以上。
ゆるされるならいつまでだって、こうしていたいくらいだ。
だからこそいま、動かないといけない。
戦時協力体制がなくなったと思ったら、今度は学外プロジェクト。
学園と研究所をいったりきたり、どっちもでみんなの世話を焼いて、こんなの持つわけがない。
お二人のご負担をへらし、いまもっとも必要とされる舞台に送り出すために、なんとか特例での卒業を決意していただかねばならない。
でも、いったいどうしたものか。
みんなでの幾度目かの話し合い。その席で俺は仰天した。
こんなことを言い出した奴が出たのだ。しかもそれは、誰より温厚な我がバディだったのである。
ロアンはこぶしを震わせ、綺麗な目に涙までためて俺たちに訴えた。
「おふたりはとても、優しい方たちです。そしてだれより魅力的です。
だから『いいんだよ』って笑って言ってくださると、ぜったい負けてしまうんですっ!
かくなるうえは、思い切った手段をとるしかないんです!
そうでないと、もうおふたりをお救いすることはできないんです……!!」
「何か策があるのか?」
「ええ。
ずばり、ダイジャックです!」
「……………… はい?」
ミライさん、そしてミズキさんは、こんどの土曜にまた星降町に行く。星降園のこどもたちとの約束があるからだ。
決行は、そのとき。
おふたりが、星降町の友達やかわいい弟妹たちに癒されて、心も体も元気なタイミングを狙うことにした。
念のため、先生方にもお伺いを立て、全面的なご協力をいただくことができた。
いつもの迎えの車に乗っておふたりが学園を出るのを見送る。
つやつやの黒い車の姿が見えなくなって、即座に俺たちは走り出した。
次回、ミズキ視点で事の顛末が語られる予定です!
どうぞ、おたのしみに!




