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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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Bonus Track_99-5B それはひとつの一里塚~ルクの場合~

耗失(こうしつ)=消耗

ルクの言葉遣いがなんか小難しいのはショタジジイだからです(爆)

『緑の大地』の風雲児は、実に思い切った方法でコマを進めた。

 だが、それがわれらにとっての『渡りに船』だったことに、気が付いているのだろうか。

 私は考えていたのだ。月萌はもっと戦う者を増やさねばならぬ。

 そのために、『導くもの』と『育むもの』の間の垣根を低くしたいと。



 この規制緩和により、β居住域におけるスキルの民生利用は加速する。

 スキルの生産性はけた違いだ。Ω制廃止により安価な労働力を失う企業はこぞって飛びつく。スキルを使える人材が求められるようになる。


 だが現状、β居住域でスキルを使用できるのは『仕えるもの』『導くもの』、そしてかれらの行使する『神域展開』フィールド内にてその監督を受けるスキル保有者だけだ。

『仕えるもの』はΩ制廃止によりいなくなるので、各現場ごとに一人『導くもの』が必要となるのだが、彼らは現状、原則的に高天原に住まわねばならぬことになっている。

 これを解決するため、『導くもの』に準じる区分が新設されることになる。


 すると、どうなるか。βたちが動く。新たな身分、もしくはスキルの取得を求め、一度離れた者たちもが『ティアブラ』のプレイヤーに戻る。

 これにあわせ『育むもの』『導くもの』の垣根を下げてゆけば、いずれより多くの『育むもの』たちが、より早き輪廻の輪に乗ることとなるだろう。

 スキル利用がされる場所、それが可能な場所とは、すなわち戦いの場(ヴァルハラフィールド)なのだから。


『緑の大地』には止められない。なぜならこの動きを推し進めるのは、ひとえにその支持母体の意向なのだ。

 そのさきに戦いが待つと知っても、かれらは手を伸ばすだろう。

 さもなければ、競争から落伍する。ひいては生きる糧を失うからだ。


『楽園』はもはや広すぎる。そこに憩うものは、もはや多すぎる。

 もっともっと、戦う者を増やさねばならない。

 この美しい国を守るには、そうせねばならないのだ。

 なぜなら戦い(ミッション)はもっと、加速させられねばならないのだから。

 上位世界(アースガルド)を、その恩恵のもとにあるこの中つ国(ミッドガルド)を、滅びの定めから救うために。


 つまりこの『譲歩』は、そのための布石であるのだ。

 そう説けばアカシたちも納得してくれた。


『そういうことでしたら、もっと早くにお知らせくださればよかったですのに……』


 けなげにも、そんなふうにさえ言ってくれた。

 いや、いいのだ。ィユハンは聡い男だ、急に変節されては何かを悟るだろう。それこそ、秘めた思惑もぶち壊しになりかねない。

 今まで通り、思うように行くがよい。わたしはいつも見守っているよと告げてその場を去った。


 アカシたちが『レジスタンス』となったのは、我らが意を最大に汲んでのことだ。

 その大義名分があるうちに『魔王』と対峙し、より己の錬磨を進めるためにそうしたのだ。

 私はそれを受け入れた。

 ミッションを進めるための行動なら、それは望ましいものだから。

 そして彼らは、万一のためにと私を逃がす役を負いたがっていたから。


『われらは最後まで勝利を目指すつもりです。ですが万一がないとはいえない。

 ですので、いざとなったらどうぞわれらに後を任せ、次なる場所へと。

 貴方様、そして御前様さえいらしてくだされば、我らはいくらでも立て直せます』


 そうだな、そうさせてもらおう。武運を祈るよと私は返した。

 そして、言った。私はおまえたちに逃がしてもらうのだ。だから、罪は私が負う。すべて、ルクに命じられたこととお言いなさい。そしてかれらの輪の中に戻りなさいと。


 けれどかれらはそれをしなかった。責は自らにありと前だけを向いて着座し、すべての批判を受け止めようとしていた。

『風雲児』のアニマへのふるまいの不束さを悔いているのだろう。

 だがそれは『大神意』による精神の耗失(こうしつ)によるもの。

 それはすなわち、彼らへの私の配慮不足。アカシたちには直接詫び、アニマには詫びの気持ちをしたためた文を送った――なぜならそのとき、私はお尋ね者になってしまっていたから。


 セレナにもいざとなったらと言ってあったが、彼女は私とともに来てくれた。

 いまはまだ『いざ』ではございませんわ。気丈にも、そう言って。

 私は、そんな彼女を突き放せなかった。



 ふたりでこっそりと隠れ家の扉をひらいた。

 すると眼前に開けたのは、見覚えのありすぎる光景。

 もちろん隠れ家の玄関ではない。


『わたしが招いた。気を使う必要はない。

 まずは近くへ。』


 この隠れ家すべてを合わせたより明らかに広い室内、その真ん中の玉座にかける尊きお方は、微笑んでわれらを招き寄せた。

日向もたまに言葉遣いが小難しいのですがショタジジイではないようです。残念。


次回、第100章突入!

イツカナ、宇宙に飛ぶ?!

どうぞ、お楽しみに!

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