99-3 ウキウキ! 校外学習はサプライズゲストとともに!!
「お目覚めになりましたのね、カナタさん」
まぶたを開けると、花のような笑顔でおれを見下ろす天使がいた。
「あれ、ライム……どうしてここに……?」
「ミユキさんからご連絡をいただいて。
日曜からずっと、眠っておいででしたのよ」
「『母さん』から……って、いまいつ?!」
「月曜日の午後ですわ。
どちらかというともう、ばんごはんに近い頃ですわね」
「ええええ゛?!」
やってしまった。
それだけの時間があれば、土日で会えなかった方にもごあいさつ回りにも行けたし、イツカの装備も見てやれたし、消耗品も作り足せたし。RMPのミーティングも行きたかったし……
「いいのですわよ。
ここまで二か月間。ご自身では自覚なくとも、ずっと気を張っていらしたのですわ。
いまはまず、ご自分をいたわってあげてくださいませ」
一瞬ガーンとなったおれだったけど、やさしい笑い声と、頭を撫でてくれるあたたかな手の感触にほっとチカラがぬけた。
そのとき、ライムのポケットから小さなバイブ音。携帯用端末への着信。ミライの端末からだと、画面を見る前にわかる。
それはライムも同じで、パールホワイトの携帯用端末をすっとおれに差し出してくれた。
「んにゃ……ミライとミズキ?」
ちょうどイツカも目覚めた様子なので、通話口に引っ張り出す。
スピーカー越しに歓声が聞こえたその時、隣の部屋からも歓声が響いてきた。
おれたちはぱっと立ち上がり、隣の部屋のドアを開けて歓喜しているソナタたちに合流した。
そんなわけで、今夜のばんごはんはライムもいっしょ。
その席でおれたちは、茶目っ気あふれる笑みのカナン先生から、うれしいお達しをいただいた。
「イツカとカナタたちには言ってなかったな。明日は学校だからな。
明日八時、サテライトの校庭に集合。
弁当はミライたちが作ったから手ぶらで来てくれということだ」
「まじー!」
「それってピクニックー?!」
「まあ専門用語でそうともいうな。
なお父兄参観アリなので、ハメを外しすぎないように」
ぱっと立ち上がるイツカたちにしっかりくぎをさすカナン先生。
つまり、明日は『母さん』たち、それにもしかするとカコさんたちもご一緒らしい。
『魔王戦争』のはじめ、星降町に逃げてきたときは、急なことで『母さん』たちは出かけられなかった。でも、今回はご一緒できる。
さらには今回はライムも一緒。こんなうれしいことはない。
なんかもう、めっちゃ笑顔になってしまったおれなのだった。
それからはあっという間。
校庭に集合したおれたちは、みんなで近くの河川敷まで繰り出して、レジャーシートに色鮮やかなお弁当をひろげたのだった。
けれど、いただきますの直前に。ミライが満面の笑みで言い出した。
「では! ここでサプライズゲスト登場です!
みんなだいすき、ルカお姉ちゃんとルナお姉ちゃんでーす!!」
かわいい手ではいっと示す先には、タカヤさんのリムジンが。
ズボンスタイルとキュロットスカート、ピクニックにぴったりのカジュアルな服装でおりてきたのは、ルカとルナ。
もうひとりのおれと、白リボンのイツカがぱかっと口を開けている。
イツカはちょっとうらやましそうだったが、隣に座る少女にちょいちょいと袖を引かれて「にゃあああ?!」と鳴き声を上げた。
そう、そこにはかわいい白のワンピースで普通の女の子のフリをきめこんだ、セレネさんがいたのだった。
キュロットってかわいくて好きです^^
漢には、取らねばならぬセキニンがある――
次回、イツカの正念場?!
どうぞ、お楽しみに!!




