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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_98 終結・魔王戦!~あの月を目指す、その前に~

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98-2 戦い終えて! 元・魔王、再始動です!(2)

 ここアルム島を出たのは、今日の朝。

 なのに、ずいぶんと離れていたような気さえする。

 心地よい南の風のなか、スーツなんか暑すぎる。おれたちは装備チェンジでいつものかっこに。二手に分かれて島を回りはじめた。


 みんな、無事だ。ダメージを負った者たちもいたし、少々壊れた施設もあったけど、手当ては終わり、修繕も超速で進行している。

 同時進行で始まっていたのが、今夜のご飯と、週末の戦勝パーティーの準備。

 イツカはお手伝いしたがったが(特に味見を)、おれたちにはおれたちのしごとがある。

 顔を合わせられる限りのみんなに会って、お互い無事を確認しあい、ありがとうとおつかれさまを告げること。

 もちろん戦勝パーティーでもそれはするけれど、二か月にわたる長丁場の作戦がやっと終わった今、そうしておきたいのだ。

 そんなわけでイツカにちょびっとだけ味見をさせたり、みんなと声を掛け合い、ときにはハグを交わし、おれたちは島内の拠点を一周。領主館前で合流した。


 四人パーティーで向かったのは領主館、アルムさんとレクチェさんの部屋。

 今回もかなりがんばったらしく、アルムさんは深い眠りについていると聞いた。

 はたしておれたちがご訪問した時も、アルムさんはベッドで昏々と眠っていた。


『戦勝パーティーには起きてきますわ。ご心配をおかけしてしまっいまして、申し訳ございません』


 レクチェさんは丁寧に頭を下げてくださったが、とんでもない。逆にそろって頭を下げた。


「いえ、頭を下げるのはよほどおれたちのほうです!」

「亡くなった方を、こんなにこき使ってしまって……」

『あら。そういわれてみればそうね。わたくしたち、よく考えたら死んでたわ!』


 レクチェさんはころころと笑う。


『あなたたちの仲間に加わってから。毎日充実して、たのしくて……まるで、あの頃が帰ってきたみたいで。

 わたくしたちでよければ、これからもこの島を守らせていただきたいわ。

 天のお召しがある日まで』

「もちろん! こちらからもお願いします!」



 ほんの少しだけ燐光をまとったたおやかな手と握手をかわし、『それじゃあまた』と別れを告げると、おれたちはとなりの島へ跳んだ。

 通称『かもめ島』。『かもめ隊』が月萌軍にいるとき与えられた、防衛拠点。

『かもめ隊』が仲間に加わったのち、この拠点島に月萌軍が干渉してくることはなかった。そのため、設備を使わせてもらっていた。

 月萌製の艦船や装備のメンテをするにはやはり、月萌仕様のドックがよかったからだ。

 壁に描かれていた『さようなら』の文字の下には、『なんて言わないよ^^!』と書き足されて、なんだかおちゃめな雰囲気になっていた。

 もちろん拠点全体にも、おなじ空気が満ちていた。

『シーガル魔王騎士団』のみんなはおれたちをみつけると、整備の手を止め一斉に駆け寄ってきてくれた。

 そのとき気が付いた。人が増えている。そして、騎士団エンブレムが変わっている。


「えーっと、うれしいお知らせだよね?」

「はい!

 われら『シーガル魔王騎士団』は、四陛下が『魔王』でなくなったのを機に、リニューアルオープンいたしました!

 新たな名前は『シーガル聖王騎士団』! 出身地にこだわることなく、このアルム島を、そしてわれらがあるじ様方をお守りしたい者たちが集う騎士団ですっ!!」


 騎士団長ユリさんは、いっぱいの笑顔で敬礼してくれた。

 そのうしろには『かもめ隊』とルシード・マユリさん、加えてソリステラスのひとたち数名。

 ルシードとマユリさんがこれまた笑顔で解説するには。


「そもそもが命令でとはいえ、俺たち月萌軍を抜けちまってるだろ。戦いが終わったからって『ハイそうですか』ともとの部隊に、ってわけにもいかないみたいでな。

 トウヤさんたちとも協議して、当面は『島流し』ってわけだ」

「心配しないで、家族に不利益はないって保証してもらってるし、休暇にはうちにも帰れるしね!」

「トウヤしごとはええっ!!」


 イツカの言いように笑いが起きた。


「そういえば、月萌軍はここにこなかったの?」

「ええ、戦闘終結後、トラオさんたちとあいさつを交わし、そのまま月萌海域へと帰投しております。

 ここでの補給や修理は、最初からあてにしてなかったようですね」 


 なお戦闘中アルム島に上陸を試みた隊員もいたそうだが、ことごとくエルマーたちの索敵網にかかり捕獲。戦闘終了後、平和裏に部隊に戻されているという。

 問題はない。月萌はおれたちを受け入れ、戦いをやめた。その時点で、敵どうしじゃなくなったからだ。


 そう、この世界にはもう、『敵国』はないのだ。

 それはもちろん、世界のどこかに反目しあう集団は絶対にあるし、なんならおれたちにいまだ敵意を向けている者たちだって確実にいる。

 それでも、いまこのとき、確実になくなったのだ。国家間の『戦争』は。

 一歩前進。あとはこの現状が崩れないうち『グランドマザー』に再び拝謁、現状を認めてもらわねばならない。


 それを考えると、そんなにのんびりはしていられない。

 体を休めて、各方面の調整。戦勝パーティー。

 そうしたらすぐにも、動き出さないと。


 水平線そばの青空に、白く光る月が見えた。

 いま、この星の人間が到達することのできないその場所に、『グランドマザー』はいると伝えられている。


「月を、目指されるのですよね。

 もしかして、今ならできるかもしれませんね。

 敵対しあう国もなく。宇宙の守りを固めずに済む、今ならば」


 ユリさんはぽつりと、そう言った。


就寝まで行きませんでしたね……orz

そんなこともある!(オイ)


次回、つづき!!

こんどこそ月萌本土での話になる、はず!

どうぞ、お楽しみに!!

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