97-3 それぞれの願いをかけて! 月萌最後の戦い!(1)
2022.11.08
そのときは、そんなふうに哀しく→あのときは(以下略)
ごっちゃになりそうなんで修正させていただきましたm(__)m
『ルク・タカシロ。
彼はまだ生きている、『と聞いている』。』
『伝聞形だったのはね、』
あの日。レインさんが突然、早すぎる『トリックオアトリート』で誘いかけてきたとき。
ライカが運転する車の中、レインさんは教えてくれた。
『父がわたしたち家族を守ってくれたから。
彼とそれに連なるものたちを、わたしたちにはけして接触させなかったからなんだ。
――打てる限りの手をすべて打ってね』
* * * * *
おれたちでなにかできることは。さきほどレインさんにおれは言った。
そのとき、おれたちは頼まれたのだ。
いまこそ父の『軟着陸』を決行したい、手伝ってほしい、と。
否はなかった。なぜなら、おれたちはすでにリュウジ・タカシロの真実を知っていたからだ。
『父はもう、戻れないところまで来てしまっている。
彼のために、わたしができることといえば――こうして君たちをまもろうとすることくらいだ。
わたしはダメな息子だからね。せめて、それくらいはかなえてあげたいのさ』
あのときは、そんなふうに哀しく笑っていたレインさんだけど、セレナ・タカシロ逮捕劇に続く火消しのころから、彼のことばは変わった。
『父は、わたしたちを守ろうとしてくれていた。
わたしは、そんな父を見捨てたくない。
きみたちにとっては、嫌な男だろうと思う。
だがそれは、そう思われるように振る舞っていたからで、本当の父は誰より優しく、家族を心から思いやる、あたたかなひとなんだ。
わたしは、そんな父と引き裂かれたくない。
『御大』と心中なんて、ましてや彼の捨て駒として消える未来など、来させたくはないんだ。
力を貸してはもらえないだろうか。彼に『軟着陸』を迎えさせたいんだ。できる限りでの』
アスカはもちろん、もろ手を挙げてとはいかなかった。
けれど、反対はしなかった。
『すくなくとも、ハヤトにはまじめに詫びを入れてもらいたい。
あくまで、そのためだから』
と言いながら、やるべきことは――否、それ以上をやってくれた。
その結果が、いまの状態だ。
かつて彼が救ったものたち、気を配ってやったものたちが、『リュウジさんはただの非情なラスボスじゃない!』と訴えかける感動的な場面を、いくつものうるんだ瞳、静かに回り続けるカメラがとらえていた。
ハジメさんは男泣き、イワオさんはもらい泣き。セイメイさんがイワオさんの手を引いて、呆然とした顔の親友のもとへそっと連れていく。
ユーさんはうんうんとやわらかくうなずきながら、ハンディカメラを回しつづける。
そのすべてを温かく見下ろして、セレネさんは宣言した。
『勝負あり、だな。
宣言しよう。この決闘、レイン・クルーガー・タカシロの勝利。
その望むところ三つ――すなわち『月萌国会は『魔王軍』への敵対と抗戦を辞めること』『『魔王』と称されしイツカ・カナタ両氏をふたたび、その成員として受け入れること』ならびに『リュウジ・タカシロの沙汰に可能な限りの温情を』。これらはわが名によって認められた。
――だが、』
イツカは、まだ笑わない。セレネさんは、表情を引き締める。
『我を旗印とし、最後の抵抗を、と望む民たちの声に、我はこたえねばならぬ』
そう、お祭り騒ぎのその中を、背を向けて去っていく者たちは少数ながらもいた。
アカシ・タカシロ。そして、彼に従う議員たち。
おそらくはエージェントと思しき人、一般人らしき人の姿もある。
行く手にあるのは、月晶宮。
そう、まだ納得のいかない人はいる。
軍と国会を掌握しても、つけなきゃいけない決着は、まだまだ残っている。
彼らをここで強引にとらえることは、できない。
『イツカよ、カナタよ。
これが、正真正銘、月萌最後の決戦だ。
日没とともに始めよう。舞台は、月晶宮。
傷をいやし、手勢を率い、来るがよい。
すべての力をもって』
セレネさんは玉座を立ち、宣戦布告を行った。
「ああ。
必ず勝つ!」
赤リボンのイツカが、首のリボンをスッとほどいた。
そして、ふわりと宙に放す。
一筋の赤は風に乗り、セレネさんの細いゆびさきへ。
『……待っている』
セレネさんはぎゅっ、とそれを握りしめると、虚空に溶けるように姿を消した。
「セレネ。絶対勝つ。
そうしてお前を、迎えに行く」
彼女の消えたさき――月晶宮。
イツカはそちらを、燃える瞳でじっと見つめていた。
その姿に悟った。二人の戦いは、すでに始まっているのだと。
以前洗面台のシンクにひびが……あんど、ウォシュレットが……とお伝えしたかと思いますが、両方交換が終わりました!
ぶっちゃけアップグレードしてます。すごい。
いつも「これいーなー」とながめていたやつが我が家に……!
テンションアゲアゲです!
ご心配いただいていた方々にありがとうございます!!
次回、月晶宮突入! 仲間たちが開いた道をイツカがかけぬけ、セレネさんと正面から対峙します!
どうぞ、お楽しみに!




