96-4 将のつとめを!『ハイキャビ』VS白リボンズ!!
ソーヤたちを西門付近に下ろして戻れば、リアルの東門前も静かなにらみ合いとなっていた。
門の内側には月萌軍部隊。門の外にはイズミとニノ。
どちらも、動こうとはしない。正確には、相手が動いたら動くべく、互いを注視している。
おれたちも加勢しようか。いや、それは無粋というもの。
双方、待っているのだ。尊敬するうさぎ剣士の帰りを。彼の言葉で『待て』が解除されるのを。
刺激しないため、距離をとってホバリングすることしばし。
トウヤさんは、静かな足取りで基地から出てきた。
白い軍装もりりしい白うさぎの剣士は、白いドレスローブの相棒を従え、太陽のもとに堂々と立った。
『ありがとう、皆。
状況はもう知っていることと思う。
俺は、ここで責を果たす。
ここで、皆の盾となる。剣となる。
俺のもてる、全力をもって。
その後、皆の忌憚なき声を聴きたい。
裏切り者と、被害者を出してしまった俺が、この座にあり続けてよいものかを』
月萌軍部隊が、歓声を上げる。敬礼をする。
答えなんてもう明らかだ。
けれど、トウヤさんはそれに甘えない。
すっと手を掲げてそれにこたえると、一歩を踏み出す。
基地の門に向けて。決戦の場所に向けて。
アカネさんは笑顔だけれど、軽口をたたくことなくそれに続く。
静かに門が開かれる。イズミとニノは動かない。
門が閉じる。ニノが口を開いた。
「一軍の長としての責任……か。
どうもこの大舞台、相手が俺たちじゃ役者不足だな。
イツカとカナタを呼ぶのがよいかと思うのですが。どうです」
「うむ……そうだな。
お前たちとは改めて、ゆっくりと剣を交えたい。
ぜひまた訪ねてくれ」
なるほど、魔王の出番というわけだ。
白リボンのおれたちが立ち上がる。
不安はない。この二人のボディはくぐつだが、アスカの手になる特別製。
ライカと同じ素材を用いて生み出されたそれは自在に変幻し成長し、おれたちとまったく同じポテンシャルを発揮する。まさしく、もうひとりのおれたちなのだ。
「がんばってな!」
「まかせろ!」
イツカが言えば、イツカがこたえる。
「よろしくね」
「うん」
おれが言えば、おれがこたえる。
肩をたたきあい、白リボンたちは地上へ。おれたちはそれを見送った。
「やっほー!! 来たぜトウヤぁ――! アカネちゃんもヤッホ――!!」
剣も抜かずにヒャッハーととびおりる白イツカ。すっごいいつも通りだ。いや、正直めっちゃうれしそう。まるっきり『あそんであそんでー』と友達のうさちゃん(大)に突撃してく子猫である。
いやおまえ、昨晩トウヤさんとノゾミお兄さんのホンキバトル見て毛並みブワッしてなかったっけ。順応力高すぎだ。
それを見上げるトウヤさんはというと、やはりいつものポーカーフェースだ。
イチゴ色のおめめはめっちゃキラキラしてるけど。
よくみれば、白のしっぽもかすかにフリフリ。
なんだろう、このはかいりょく。全世界のうさ好きのハートにもれなくギャップ萌えがこんにちわである。ぶっちゃけずるい。うさかわいい。
「お久しぶりです、おふたりとも」
けれどもちろん、もうひとりのおれはしれっとうさプリスマイルだ。
大きなおみみをはばたかせ、ふわりと着地して軽く一礼。
おれたち二人を、アカネさんはおっきな、トウヤさんはかすかなスマイルで迎えてくれた。
「やっほーふたりともー! おひさー!」
「こうして相対するのは、しばらくぶりだな。
……強くなったな。
俺たち二人、全力で行く。いいな」
「おうっ!」
「お願いします!」
あいさつは短く。
トウヤさんとイツカは、抜刀して軽く剣先を合わせ。
アカネさんとおれは、日傘と銃を掲げあって。
まるで、闘技場での立ち合いのように、それははじまった。
布団干すと曇るのなんでかなっ!
結局干しなおしだよHAHAHA!!
だがしかし寝具を使う猫の可愛さは異常ッ!!!
次回! つづき!!
どうぞ、おたのしみに!!




