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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_96 戦闘終結?! 降伏の月萌軍、挑戦の月萌国議会!!

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Bonus Track_96-4 思ってた。誰もわれらの道行きを止めることはかなわないと ~とある研究者の場合~

これが『星くず』だとイイカンジなのに、はて。

 まったく、理解に苦しむとしか言いようがなかった。

 われらのやり方が一番なのだ。費用対効果においても、期待される戦果という観点からも。

 というのに、あの若造どもは。


 人道だ、倫理だ、そんなもんは邪魔なだけのお題目。

 とっとと排除するに限る。すくなくともわれらの道行きからは。

 そのために、勝者とならねばならぬ。この、逆転の策で。

 けものの魔王どもを見事仕留めて。



 第三覚醒『アメノイブキ』を発動し、六翼を有したルカ・タチバナのポテンシャルは、黒猫魔王に匹敵する。

 さらにそれをルナ・タチバナにも拡張、その状態を3,742ミリ秒間維持させられれば、魔王バディを打ち取ることがかなうと計算された。

 問題は必要とされるTPBPの大きさだが、そこは補充すればいい。

 それが、プロジェクト『改造天使』。われらの虎の子の策だ。

 だが、そのままでは軍議を通らぬことが予想された。

 理由は『アメノイブキ』維持に必要な膨大なポイント、否、それを補う手立にあった。

 ポイントそのものは簡単に捻出できる。クズ星ども――二ツ星以下の高天原生だ――を祈らせ、TPBPを供出させればいい。

 まあ一人二人はくたばるかもしれないが、そこはお国のためだ。


 だがそれが反対されるのは想像に難くなかった。

 あの、若造どものせいだ。


 エクセリオンの権力をもって軍のトップに座ったピンク兎と、研究所の長になりかわった緑狐、そして奴らに与する『銀河姫プリンセス・ミルキィ』、『青嵐公』。

 やつらは理解のあった先代たちを放逐し、『アイドルバトラー』を利用して金の緒を握り、はては魔王どもを『マザー』に取り入らせ――

 そうして、やつらの好むクソぬるい施策を是とさせた。

 やつらの私怨を晴らすために。


 バカなことだ。一番効果的なのはこれなのに。

 警護のたしにもならないクズ星どもなど、ウロウロしているだけ邪魔だ。

 ならば、電池にするのが効率的。その程度、ティアブラを始めた頃のガキでもわかることだろうに。

 だからわれらは一計を案じた。

(セント・)(フローラ)(・アーク)』の遠隔投射陣、それへのポイント供給回路にバイパスを設け、余裕ポイントを使うとしたのだ。


 余裕ポイントを捻出するには、SFAの損耗を抑えればいい。

 手立てはあった。チカ・サワタリ――魔王軍のダメージソースの一角、チナツ・サワタリの妹だ。

 彼女が「仲間が犠牲になるかも、抵抗しないで」と懇願すれば、やつの、そしてやつの使役する第三覚醒どもの矛先は確実に鈍る。

 信憑性を高めるために、クズ星どもには『かたちだけの』電池役として集まっておいてもらう。

 もちろんそれまでにも戦闘がある。当然足が出るが、なに、問題はない。

 万一にも本当に生徒たちを犠牲にしないためにと『銀河姫ミルキィ』が率先してポイントを供与してくれるはずだから。

 その姿を見せれば、クズ星どもも自発的に祈りをささげる。

 すべて、若者たちが優しい気持ちで自発的に行ってくれたこと。そのポイントをありがたく頂戴したところで、いったい何の罪に問われようか。

 結果オーライなのだ。結果さえ出てしまえば。



 モニターの中、二組の恋人同士が相まみえた。

 なんというかイマイチ悲壮感が足りない。もっと刺激的なセッティングにするべきだったか。

 それでも『アメノイブキ』によるダブル変身にはテンションが上がった。

 われらの研究が、魔王どもを打ち取ったとなれば、国立研究所は再びわれらのものに。

 こんな軍施設の一角で、つまらん頼まれ仕事をこなす日々はもう終わりだ。

『ソアー』改造の件では不覚を取ったが、今度はそうはならない。

 あのいけすかないキツネどもを追い出し、ふたたびわれらの素晴らしい研究を自由にできる日が返ってくるのだ。

 さあ、やってしまえ。使える電池ならばいくらでもある。

 お前たちならばあのばけものどもを、仕留められる!


 そのときだった。突然『しろくろ』へのポイント供給が途絶えた。

 興をそがれるのは趣味ではない。イラッとしつつモニター担当に問う。


「何事だ?」

「は、パワー供給用の回路が断線しております!

 場所はA-22とC-48。保安員が急行しております」

「さっさと直させろ!

 ったく、あのピンク兎に感づかれたらどうする! 一刻も早く決着を」

「その『ピンク兎』とは俺のことか」


 そのとき、背後から静かな声がした。

 いや、まさかそんな。振り返るとそこにやつがいた。

 トウヤ・シロガネ。桃色の髪、イチゴ色の瞳、真っ白なうさぎ装備に軍装の、背の高い男が。


「な、……シロガネッ?!

 な、な、なんだってここに……」


 いや、嘘だろう。奴はいま、東門に出て狐どもと戦っているはずだ。


「現場の様子に異常を感じた。よってその源をたどった。

 持ち場の門は閉ざしたままだ、問題はない」

「問題しかないだろう!!

 こんなところで油を売っていないでとっとと国賊どもを片付けてこい!! それが今日の貴様の仕事だろうが!!」


 勢いで押し切ろうとした。が、シロガネは動じない。


「俺は、人間を『電池』にすることを認めてはいない。

 最高司令たる者を欺き、軍の資産を私することが対処に値せぬこととぬかすか。

 国賊はよほど貴様のほうだ! その場に直れッ!!」


 それ以上の勢いでの一喝。さらには抜刀してきた。


「ま……待て、こ、ここでそんなことをすればSFAが」

「大丈夫だよ。君が動かなければ、ね」


 そのとき背後から、やんわりとガッシリと取り押さえられた。

 首を回して確認すれば、そこにいたのは緑狐。


「もっとも、回路が直ったところでもう無駄だ。

 ルカとルナは降参してしまったし、SFAチームも『過労で』倒れてしまったからね。

 そもそも――見たまえ、アレを」


 緑狐はアルム島の戦いをうつしたモニターを長い指で示した。


「『魔王軍』はとっくに、SFAの攻略法をものにしている。

 もともといらなかったのさ、今回の作戦に、SFAは」


 聞こえてきたのは耳を疑うような言葉。

 そしてモニターごしに見えたのは、目を疑うような光景だった。


次回! チナツの第二覚醒がついに発動!

大変お待たせしました。どうぞ、お楽しみに!!

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