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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_11 ようこそ、けもの同盟へ!(仮)

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11-7 『クラッシュクラフターズ』のミルククエスト~イツカの場合~(3)

2020.01.03

はやくも直し初めになってしまい申した……

赤と金一色→赤と金

 そして、金曜日がやってきた。

 学園闘技場、定例試合の第一部。

『クランレパード』が『おこんがー!』とドローで決めた三戦後。

 チアキとレンの『クラッシュクラフターズ』は、相手チームと対峙していた。

 チーム名『トーラス』。あの猫耳ハンターと、とりまき女子の黒髪の方――白猫トラオとツバメのサリイからなる、臨時のダブルハンターユニットだ。


「よく逃げずに来たな、カラス野郎。

 いっとくが、先週の作戦じゃ俺たちにゃ勝てねえぞ!」


 挑発的に笑うトラオの隣で、奴に腰を抱かれたサリイは誇らしげに杖を掲げた。

 青の翼を際立たせる、きらきらと赤いローブ。ルビーをちりばめた銀の杖と、髪飾り。どれもみるからに高級品だ。

 さらにはトラオも、いかにもよさげな鎧と剣とを身に着けている。

 赤と金でまとめられたそいつは、奴の明るい金髪と、白の耳しっぽに映えている。

 つまり二人の装備は特注のセットものなのだろう。

 とても二ツ星とは思えない、金回りの良さだ。


 対する『クラッシュクラフターズ』の装備は、あきらかにワンランク、へたしたら2ランクは下。

 クラフターとして随所に手を入れてはあっても、どうしても使える資材――つまりチームの財政状況――に差があることが浮き彫りな軽装だ。


 それでも、レンは余裕だ。

 ガーネットの瞳を輝かせ、あからさまに挑発する。


「ほーう? それはどうかな?

 まっ、確かに全く同じ作戦で行く気はねーよ。もっと単純なやつで充分だ。」

「っだとォ?」

「宣言するぜ。

 お前はチアキをワンコと呼んだことを頭下げて詫びることになるっ!」

「ぶはっ! 何かと思えばお犬様頼みかよ!!

 そいつが『超一ツ星級・期待の新星シリウス』だったことなんざどんだけ前だ?

 そーいやそのころ『爆殺卿』ってのがいたはずだが、一体どこでどーしてんだろなー?

 なんかほんっの一瞬だけ人気だったみてーだが、もしかして爆死しちまったのかねー?」


 ヒートアップする言い争いを、サリイは面白そうに見やる。

 一方、チアキはいたたまれない様子で止めに入った。


「あの! あのっ、けんかはやめようよ!

 今は試合はじめよう! みんな待ってるよ!」

「……

 おお、わかった。サクサク片付けてやるよ、『ミルクのみワンコ』。

 その間抜けと組んじまったことを後悔しなっ!」

「レンは間抜けじゃないから後悔しないっ!」


 トラオは一瞬、何かに気づいたようだが、すぐにそれを気のせいと放りすててしまったようだ。

 それがチアキの小さな矜持と優しさだ、ということにも気づかずに。

 コーヒー色の犬耳と瞳が、小さく伏せられた。


『早くも両チーム、ヒートアップしてまいりました――!!

 これは熱い戦いが期待できそうだ!!』


 実況がさらにあおれば、スタート位置につくよう求めるサイレンが鳴る。

 この十秒後には、問答無用で開始のゴングが鳴らされることになっている。

 不穏な笑みを浮かべたトラオ、決意の表情のチアキが前衛スタートラインに。

 それぞれの十メートル後方に、くつくつ笑うサリイ、不敵な笑いのレンがつく。


 ぶっちゃけた話、この試合はラビットハントだ。

 結成したて、かつかつの状態から這い上がりつつある無星バディに対し、二ツ星の金満ユニットを当てるとか。

 理由は明白。トラオは、レンがまだ『爆殺卿』だったころ袖にした、もと仮バディなのだ。

 盛り上がる、その理由があれば、ラビハンはいくらでも降ってくる。


 だがレンたちが『金星』をあげる公算はそれでも充分すぎるほどにあった。

 なぜなら――


『はじめっ!』


 まずひとつ。チアキがパワーアップしていたこと。

 ゴングと同時に動いたチアキは、あっという間にトラオを圧倒し始めた!

 というのも、いまのチアキのパワーとスピードは、入学時よりずっと上。

 トラオが高級装備に身を固めていても、そんなのはまったく問題にならない力量差があるのだ。

 実況が驚きの声を張り上げる。


『おおっとこれは驚きだ――!!

 不振の続いていた『シリウス』、突然の復活!!

 いやこれは、復活どころじゃない!! 超新星爆発!! もはや三ツ星でも十分やっていけるレベルだ!!

 強い、強いぞ『シリウス』! トラオ選手抵抗するも押し込まれていく――ッ!!』


 後方にいるレンが、両手をぷらぷらさせつつトラオをからかう。


「おいおいどーした白にゃんこー? なーんか俺の出番いらなそーだなァオイ?」

「くっそっ! サリイッ!」

「わかってるわよ。……『スプリンクル・フレア』!」


 サリイはチャージしていたチカラを杖の先に集め、バスケットボールほどもある真っ赤な火球を形成。

 ぶん、と杖を振り、ぶん投げてきた。

 対してレンが『追い風のオーブ』を投げて迎撃を試みるが、火球はオーブが当たるより先、トラオの頭上で炸裂。

 降り注ぐ炎の雨は、風に吹かれてほとんどがトラオに、そして一部はサリイ自身に降りかかることになってしまった。


『対して出た、サリイ選手の必殺ッ!

 しかし狙いをはずしてしまったか! 火球はトラオ選手の頭上で爆発してしまった!!

 真っ赤な炎の雨が、チアキ選手というよりはトラオ選手、そしてサリイ選手自身にも降り注いでいる――!』

「えっ、これ?!」


 飛びのいて距離を取り、ダメージをおさえたチアキだが、その顔には驚きと警戒の表情。

 チアキとトラオ、サリイの頭上には、被ダメージを現す赤のポップアップがいくつか上がっている。

 しかし、トラオとサリイに上がったものには、すべてマイナスの符号がついていた。

 つまり……

 

「ご明察。

 俺たちの防具にゃ炎属性吸収がついてるんだよ!

 つまりサリイの火球は、俺たちを回復させ、お前たちにだけダメージをくらわすって寸法だ。

 お前らがボムに変なモン仕込んでたって、余裕でまとめて焼き払ってやれるぜ!

 さーて、どう攻める?

 お前らのやっすい貧弱なボムなんざ回復にしかならねえぜ。

 ま、ギガフレアボムでも連発すりゃ―多少は効くかも、ておっと失敬、『破産卿』サマ相手にそいつは無茶ぶりってやつかァ、ハハハハ!!」

「へええ? いーのかそんなこと言っちまって?

 それ言ってギガフレアボム受けなかったらただのはずかしー口だけおネコちゃんだぜー?」

「なんだと?」


 それでも、レンはにやりと笑みを深める。

 それは、二人の勝因となるべき、もう一つの理由からだ。


「チアキ!」

「うん!」


 チアキは俊足で駆けてレンのもとへ。

 くるっと振り返って剣をおさめ、マジックポーチからよいしょと取り出したのは……


『ん、これ、は……スイカッ?

 チアキ選手が取り出したのはなんと、抱えるほどの大きさのスイカであります!!

 つやつやとしてなんだかおいしそうだ! しかしどうしてこうなった!!』 


 客席からどっと笑いが起きた。


「は? なんだそれ? ギャグか?」

「まーァそんなこったな~」


 あからさまに嘘ついてますという笑いでレンがとりだしたのも、やっぱりスイカ。

 二人は巨大なスイカのヘタをぷちっとはずすと、声を合わせてぶん投げた……


「ここで問題です。どっちが本物でしょ――うかっ?」

「っ!!」


 ここでトラオたちも気づいたようだ。

 これは、おれとハヤトの決闘……そのときのアスカとカナタの行動のオマージュだということに。

 すなわち、この『スイカ』はスイカ型のギガフレアボム。二つ同時に投げられたそれらは、どっちも『本物』だと。

 さっとサリイの前に跳び、チャージを開始。来るべき衝撃を和らげるため、必殺技を撃つ気だろう。

 サリイは炎ワザによる回復のためだろう、再びチャージを始める。

 いっぽう、レンは両手で『強化のプチグレネード』を投げて『スイカ』を強化。

 チアキがスキル『瞬即塹壕クイックトレンチ』で塹壕を掘り、レンをひっぱりこむ。


 直後、フィールドはまばゆいスイカ色の火球となった。


 爆炎と轟音が引けば、トラオは剣を地につき肩で息をし、サリイはその場に座り込んでいた。

 トラオの必殺技『ホワイト・ソニック』で迎撃しての衝撃緩和、サリイの『スプリンクル・フレア』での回復を重ねてかろうじてしのいだようだが、どう見てもこれ以上戦える状態じゃない。


『これは……まさかの――!!

 なんと、レン選手、チアキ選手が投げたものは『スイカ型ギガフレアボム』だったようです!!

 みんな大好き『爆殺卿』、衝撃の復活です!!』


「ちょっ、トラ! どういうことよっ!

 なんで『ミルクのみわんこ』があんな強いのよ?!

 やっすいボムしか作れないはずの『じり貧卿』がへんなギガフレアボム二つもよこしてくるのよ?!

 あーっもう降参よ降参! わたしもうBPないからね! もう!!」

「じり、びん、きょう……。」


 サリイがトラオを怒鳴る声はめっちゃ元気そうだったが、そこは『VRだから突っ込んじゃいけない』って奴だろう。

 一方、塹壕から顔を出したレンの頭上には、赤いポップアップが上がっている。地味に心をえぐられたらしい。

 そんなレンをやさしく抱えてチアキが抗議。


「あの、ふたりとも!!

 まえのレンは確かに、お金の計算ができない子だったよ。

 仲間の大事さもわからない、孤独な子だった。

 でも、今は違うの。もう、後先を考えられないレンじゃない。そうでしょ?

 だからもう、そんな風に言わないであげて!

 トラオくんには、僕からも謝るから……!」


 しばらくの沈黙。

 そののち、毒気を抜かれた様子で、トラオが言った。


「…… あー、その、チアキ?

 とりあえずさ、お前の言葉で一番ダメージ食ってるぞ、レンの奴……」

「えっ」

「い、いや……だいじょぶへいきドンマイ……」


 すっかり涙目になった『爆殺卿』の頭上には、赤いポップアップが上がりまくっていた。

俺たちの新年は……まだこれからだ!!


旧年中はお世話になりました。

今年もよろしくお願いします♪

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