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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_94 開戦、第七陣!!

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Bonus Track_94-4 父娘でのぞむ、ラストバトル?! ~ベル→『グリーン』の場合~

 浜をのぞむ丘の上、トラオさんがこぶしを突き上げる。

 トラオさんのとなりで、婚約者のサリイさんが。

 後ろで姉上のリンカさんと、友人のサクラちゃんが、ご先祖様のアルムさんとレクチェさんが。

 そしてそのまわりで、わたしたちみんな、みんなが続く。


 この島の全員が認めていた。トラオさんたちが大将をやることを。

 かれらの旗振りのもと支えあい、イツカさんとカナタさんの留守を、なんとしてでも死守しようと――

 そのために、それぞれの位置で全力を尽くそうと、心を燃やしていた。


「月萌の少年たちのポテンシャルは驚異的だな。

 このように細く、小さくて大丈夫なのかと思わせておいて、大人の男顔負けの働きをする。

 イツカもカナタも――そしてトラオも。

 あの体にぐっと詰まっているのだな。体の力も、そして心の力も。

 トラオの求心力は、六獣騎士にもけして劣らぬ」


 こぶしを下ろした父さんは、まぶしいものを見る目で言う。


「正統の血筋にあって美しく、たくましく、しかして気取らず親しみやすいあの少年は、我らの心をしっかりととらえていた。

 さすがはイツカとカナタ。そこのところをちゃんと見ていたのだ」

「そうですね……父さんたちトラオさんに会ったその日にファンになってましたからね……」


 トラオさんはあの整った顔とすらりとした体躯で、泥だらけになることもいとわずにバリバリと露天風呂の整備をしていた。

 それを見た瞬間、たくましいの大好きなやろうどもも、シュッとしたのが大好きなおねえさま方も、同時に胸を射抜かれた。

 サリイさんという素敵婚約者がいなかったなら、父さんの『うちの婿にならないか攻撃』が炸裂してもおかしくなかったところである。


「も、もちろん父さんが息子にしたいのはイツカだからな? そのあたりのきもちはけっして」

「はいはいわかりましたからっ。

 でも結婚はできませんからね?」

「むう……まあそうなんだけど……」


 そう、どっちのイツカさんももう好きな人がいる。しっかりくぎを刺すと父さんの頭の上でライオンの耳がぺこんと垂れた。かわいい。

 母さんは父さんのこの姿にハートをもってかれたって聞いているけど、そのきもちはよくわかる。


「もう父さんてば。元気出してください!

 今回は防戦になります。そうでなくとも父さんには苦手な戦いでしょう?

 ルリアさんパレーナさんによる空海防衛ラインが破られない限り出番はありませんけれど、父さんがにらみを利かせてるってだけで、威圧にはなるはずなんですからね!」

「そうだな!

 よしわかった。いつもよりぐっと気合を入れていくぞ!!

 ベルもがんばるんだぞ。だが無理はするなよ。

 マルキア殿にあとを託されたのだ。お前たちは、父さんたちがかならず守るからな!」


 大きく温かい手でわたしの肩をやさしくたたき、父さんは歩いて行った。


 わたしと父さんの絆は、一度ぶっつりと切れてしまった。

 それを、イツカさんたちがつないでくれた。

 何年も胸をふさいでいた誤解も、すっかりとけた。

 おかげで、今のわたしたちがある。


 だから、今度はわたしがイツカさんたちを助けるのだ。

 イツカさんが、そしてカナタさんが帰るこの場所は、絶対絶対、奪わせはしない!


 幸いわたしは『カードキャスター』。『延長(エクステンド)』を用いれば、ここから沖合いへと攻撃や支援を届かせることも簡単だ。

 リンは狙撃、レムちゃんは管制。ミルちゃんは父上とおなじく陸戦で。

 そしてジュジュは、無敵の捕獲網を使った対ミサイル防衛で、この島を守る。


 なお、マールは今回こられなかった。

 この間『エルメスの家』に加わった朱色の髪の赤ん坊が、なんでかマールにめちゃくちゃなついて、引き離そうとするとギャン泣きするのだ。

 そのため、しばらくマールはその子――シャルについていることになったのである。

 

 ステラ領内は、イツカナがんばれでほぼほぼまとまっている。

『チームB’s』もいてくれるし、心配はない。

 すでに水平線からどんどん月萌軍の機影が近づいてきている。いまはこの場に、全力集中だ。


 わたしは薄緑の液色をすかすカプセル――無害化済み3Sフラグメント『虚栄バニティ』だ――を口の中に放り込んだ。

 かみつぶし、のみこめば、一気に上がるギア。

 これを使うことも、この先はなくなっていくのだろう……という思考が、一瞬だけ脳裏をかすめるけれど、潮風ひとつで飛んでった。


「っしゃあ! やってやりますよォ!!

 この天才カードキャスター『グリーン』さまの腕前を、そのおつむにしっかときざみこみやがれってんですよ全世界のてめぇらよッ!!」


 そうしてワタシは、両手いっぱいにカードを展開。愛すべき『もと敵』どもの背中にガンガンと強化をブチこみ始めたのであった。

寒すぎて肩は凝るわ頭痛はするわのどはかすかに痛いわ……てなわけで昨日まで半そで着てたのに、今日は長そで重ね着です^^;


次回、ひきつづき島サイド。海と空に出ていくものと、後ろを固めるもの。

どうぞ、おたのしみに!!

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