Bonus Track_93-7 がんばれ、お兄ちゃんたち! 動画で見守る第七陣! ~ソナタの場合~
立て込んでて遅れました、すみませぬ!
このセカイは、なにかと『ティアブラ』が優先されます。
おかげでなんと、今日はふつうの授業はおやすみ。一日、動画で自習です。
強くて、かっこいいαプレイヤーになりなさい。そのために自分はどうバトルしたらいいのかを、これをみて考えなさい、ということなのです。
わたしたちのまえいたセカイでは、ここまでゲームをすすめられることはありませんでした。ふしぎなかんじはしましたが、これがこのセカイの流儀なのです。
なにかがおすすめされる、ということは、それをおすすめしている人に、なにかとくなことがあるということだ、と聞きました。
つまり、ティアブラでαプレイヤーになって、かっこいいバトルイベントをすると、このセカイのだれかがとくをするのです。
それが、誰なのか、とか。
こまかいとこまでは、お兄ちゃんたちは、教えてくれません。
あまりいろいろ教えると、わたしたちが危なくなってしまうからと。
でも、こどもはこどもなりにいろいろ考えたり、想像しています。
たぶん、政府の人たちとか、それよりえらいだれかなんです。
セレネちゃんは、「わるいのは、みんな自分だ」といいますけれど、それもまた、ちがう気がします。
そのあたりの、真実が知りたい。
それがいまは、わたしが高天原を目指す理由の一つです。
昨日の夜、お兄ちゃんたちと月萌政府の和平協議のあと、ノゾミお兄さんがトウヤさんと決闘をしたそうで、校門前でのバトル動画(もちろんわたしたちでもふつうに見られるように、ゆっくりにしたものですが)がネット上に上がってましたが、二人が何をしゃべってるのかは、声が消されたのか、わかりませんでした。
気になります。気になるけれど、いまのわたしたちでは、調べようもありません。
だから今はただ、お兄ちゃんたちのかっこいいところをめいっぱい見ることにしました。
画面の中、お兄ちゃんたちをのせたエアビークルが、海の上を飛んでいます。
そのずっと下には、防衛用フロート。
『青嵐公』の姿をした、ノゾミお兄さんがひとり、立っています。
そこへエアビークルから飛び降りていったのは、動画で何度か姿を見たマルキアさん。
黒い、ちょっとSFっぽい服で、すたんっと着地。かっこいいです。
『マジに来たのか、お前……』
ノゾミお兄さんが眼鏡をなおしながら(びっくりしたりした時のくせです)つぶやきます。
お姉さんはふふっとセクシーに笑って(ヒトミちゃんがまねしてみてますが似てません。むしろシマリスかわいいです)言います。
『そりゃそうさ。
しばらく会えなくなるんだ。ケジメはきっぱりつけとかなくちゃね。
というわけで、あたしのたのしい新婚生活のために全力で斬られておくれ!』
『俺が負ける前提かよ!!
冗談じゃねえぞ、こっちだってこれが終わったらなあ!!』
『なんだいやっとかい!
大事におしよ。10年も待ってくれるとか、信じられないほどいい子だよ』
『お、お、おう……』
ミソラさんをほめてもらえて、ノゾミお兄ちゃんは照れてます。なんだかほのぼのです。
その流れで、ノゾミお兄ちゃんは質問します。
なんだかすごくもじもじしながら。
『あー。それでだな。
一つ、聞いておきたいんだが。
お前のだな。その。腹の中に、その……』
『こどもかい? いるわけないだろ!』
でもマルキアさんはさらっと答えて、ノゾミお兄ちゃんがあわわわわという顔になります。かわいいです。
『もしもいたならこんなとこ来ないさ。
あんたは本当に優しいね。そりゃ、あの子らがいい子になるわけだ。
安心してかかってきな!』
『嫁入り直前の生身の女に切りかかるとかすっげえやりづらいんだが?!』
『アンタも婿入り直前の生身の男だろ?
こっちもそれなりやりづらいんだからおあいこさ!』
『だったら来るんじゃねえええ!!』
ノゾミお兄さんが叫びました。
マルキアさんがアハハと笑って斬りかかっていきます。
そのまんま、剣士同士のバトルが始まったのでした。
なんだかほのぼのしちゃいましたがそこは予定通りです。
次回、セント・フローラ・アークの究極タッグ体制とその陰で……の予定です!
どうぞ、お楽しみに!
※ 実は右手が中指中心に、左手は各指の第二関節が痛むのです。腱鞘炎なりかけ……?
明日は所用もございますため、大事を取って一日お休みをくださいませm(__)mモウシワケアリマセヌ……!




