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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_93 学園闘争とバカンスと? 第七陣開戦前のあれやこれ!

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93-4 自由をかけて! 最強剣士の本気対決!!(3)

 神狐の戦士は駆ける。

 降りかかる火の粉を払いつつ、否、降り注ぐ破壊の花時雨を切り払いつつ。


「お前もわかっているはずだ。

『これ』はいま、断ち切らねばならないと。

 もはや遅すぎるくらいだと!!」


 真新しい、白の軍装のまぶしいうさぎ剣士は、力をみなぎらせ静かに待っている。

 届いた剣を、続く言葉を、無言のうちに受け止める。


「高天原の『実習』は、学生たちのためのものじゃない。

 職業訓練の度を超えた量と質のノルマを課せられる、その理由はなんだ。

 年度ごとに決まった人数のΩを出すため。『無償の労働力』を利用するため。

 だが、Ω制は廃止となった。年度別目標を強いていた元凶はその座を追われた!」


 銘刀『青嵐』が、その主が激しく吠える。

 うかんだ笑みは、いつしかまったく、消えていた。


「その体制はまだ変わりきっていない。まあ移行期間は必要だな。そんなことはガキでもわかる。

 だがそこにさらにノルマを積み増しされた。誰よりがんばる仲間が倒れた。

 つまりはいま断ち切れと、そういうことだろう?

 だから、俺たちはやることにした!

 トウヤ、お前はどうだ。お前はいま、どんな思いでここにいる?!」

「ノゾミ。

 お前はそれを、どうつなぐつもりでいる?」


 対して『月閃』はしずかに応える。


「なにかが真に独立を果たすには、武力では足りぬ。

 そこにいるものを食わせ、楽しませ。

 新たな成員を迎え入れ育てる。

 学園がそこで陸の孤島となったとして、それらを果たせるか?

 俺は、」


 ガシン、ふたつの剣が真っ向から交わる。


「それをつなぐために来た!

 取引だ、高天原学園。

 俺には、その権限がある!!」


『青嵐公』の顔に笑みが戻った。


「いいだろう。

 ――茶とコーヒーと、どちらがいい?」

「コーヒーで。

 お前たちは戻れ。

 危機は去った。休息し、明日に備えよ」


『月閃』は納刀し、包囲網に解散を命じると、さくさくと方向転換。

 ふたりの最強はさらっと校門をくぐり、迎賓館へと歩いていく。


「はいはーい、おしまいおしまーい。

 いい絵も撮れたし、あたしはかえろーっと。

 じゃまたねー、ミソラちゃん♪ 画像は送っといたから♪」


 アカネさんは空中でくるんとまわってみせると、鼻歌交じりに飛んでいく。

 いやですから、短いスカートでそれをやるのは卑怯じゃないでしょうか。地上の皆さんが動揺しまくってます。


「それじゃ、そういうわけで。

 みなさま、お騒がせをしたことをお詫びします。

 協議の結果は、本日中に責任もって発表いたします」


 ミソラさんが丁寧に一礼すると、しずしずと校門が閉じ、高天原学園前の決闘騒ぎは終息したのだった。




「……おわったな」


 タカヤさんがふうっとため息をつく。

 イツカもどっと息をはくとシートにもたれかかる。


『やー眼福がんぷく~。月萌さいきょー剣士ふたりの第一第二覚醒がぎゅっとつまってるとか永久保存モノっしょ、これ♪』


 ペンダントライカはゴキゲンだ。

 なるほど、こう落着するというわけか。

 これは、おれたちがいかなくて正解だ。


 今日の昼、会談のためアルム島を飛び立ってから、ようやくおれたちは今回のことを知らされた。


『さーてっと。もう予定変更はできないだろうからいいかな。

 アスカからの伝言〜。今日の協議が不調に終わったら、のぞみんブチ切れるよ』


 ライカがへへ~と笑いながらのたまったことに、驚き半分納得半分。

 イツカは身を乗り出した。


『マジか、だったら』

『きみたちはいっちゃだめだ。

 そのために、ここまでひっぱったんだかんね。

 きみたちはいちおう、敵だ。それがいま入っていったら、話がややこしくなる。

 だいじょぶ。トウヤぴょんとのぞみんなら、ちゃんっとまとまるよ。

 ……この勝負、最後までやったら九割がた、トウヤぴょんが勝つ。

 アカネちゃんが新装備あつらえたんだ。第七陣にむけてさ。

 タイマン勝負だと、バディの支援がないぶん装備の性能差が浮かび上がってくる』


 その予測は、みごとに当たっていた。

 ノゾミお兄さんはトウヤさんを倒せるならば、倒していただろう。

 そうすれば、天下に示した強さをもって、月萌軍への影響力を得ることができる。

 すなわち第七陣を戦うなと命じれば、ほとんどの兵士がひざを折ることだろう。


 けれど、和解の申し出を受け入れた――ということは、この先に勝ちがないことを悟ってのことだろう。


 逆にトウヤさんも、ノゾミお兄さんがそう判断してくれるだろうとふんで、あそこで和解を申し出たのだ。


 学園生が明日の第七陣に出陣、もしくはサポートに回ることは、どちらにせよ変わらないだろう。

 けれどそれが終われば、高天原はまた一歩、変わるのだ。

 勝ったにしても、負けたにしても。

 もちろんおれは、おれたちは勝つつもりだけど。


「それじゃ、帰ろう。

 計画は変更なし。

 勝とうね、あしたも」

「おうっ!」


 笑ってこぶしを打ち合わせ、おれたちは明日の勝利を誓い合ったのだった。


おかしいな、ちょっと足りないから足したら二倍になった(白目)

トウヤさんの第一第二覚醒をようやく出せたので満足です。


次回、協議の結果の予定です!

どうぞ、お楽しみに!!

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