Bonus Track_92-6 ブチ切れました! 高天原学園、独立します!! ~ノゾミの場合~
俺たちは誓っていた。
『いずれ、高天原の理不尽を、ぶっ飛ばす』。
大きな視点から言えば、やつも志を同じくする者だった。
そんなわけでファン ィユハンとは、知らない間柄ではなかった――馴れ合う仲でもなかったけれど。
レモンたちとは昔から面識があったようで親しく付き合っていたが、共通項のあまりない俺は、直接にやりとりをするというわけでもなく。
だから俺に茶会への招待状が来た時には、やや面食らったものだ。
だが同時に、そう悪くない機会と思った。
なぜなら、やつはイツカとカナタに接近している。
弟とも思う二人をいいように利用される事態を防ぐためにも、俺もやつに近づいておかねばならないと思っていた折のこと、それはまさしく『渡りに船』だった。
話してみればなかなかに自由な男で、悪い印象は抱かなかった。
なにより、友や家族を想い、大切にする精神性を備えている。
だが、それだけでないこともはっきりと感じ取られた。
想っていても、信用していても、それによって疑義を生むおそれがあっても、手を尽くして手綱を、網をかけておこうとする。
非常に慎重で、周到。情は懐に置きつつも、つねに策をめぐらす。
そして、利用できるものは何であろうと利用する。
それが俺の、やつに対する印象だった。
果たしてやつは、俺を『秘密の茶会』に招待してきた。
『いずれ月萌政府、そして軍は、高天原学園に戦時協力を求めてきます。
それは学園生たちに負担をかけるものでしょう。
魔王軍に籍をおきつつ、学内の仲間を守るためと残留をきめたミライ君、ミズキ君には、特に大きな負荷がかけられることは避けられない。
そこでです。
私に、ダメージコントロールを請け負わせてもらえませんか。
イツカ君、カナタ君たちを、友と思う者として』
そして、この度の策を明かしてくれた。
ほんもののイツカとカナタにはあらかじめ、アスカ・ライカを通じリークを。
そうしておいて、エクストラを使っての『にせ』会見。
ミライとミズキはもともと疲れがたまっていたので、あえて気を抜いてそのままぶっ倒れてもらう。
ルカ・ルナの『夏休み』もやつが計画し、船で一日かかる南の離島へ……と見せかけて、チャーター船のエンジントラブルを理由に港内に待機させておき、会場へと突入してもらう。
そして、俺たちは。
『ミライとミズキはいいといったが。
俺たちは正直、頭にきている!
けなげな子供たちに苦労を強いて、はいごめんなさいで済ませというのがいい大人のやり口か!
一言でいうなら――もうこんな無茶苦茶に付き合っていられるか!
高天原学園は、独立を宣言する!!』
形だけの和平協議、そのゼロ回答を受け、瞬時にブチ切れることができたのである。
しっかりと、籠城の準備を整えきったそのうえで。
雨すごいし雷なるしえらいやっちゃ^^;
昨日までで用事済ませといてよかったです。
次回、新章突入! 平行線に終わった協議と、高天原学園の紛争開始の予定です!
どうぞ、お楽しみに!!




