92-7 決め手は昼ごはん? わんこ天使の優しい解決!
2022.09.20
朝じゃなくって昼ごはんですね!! サブタイ修正しました!m(__)m
おれはもちろん、間髪入れずに答えた。
「ええ、大いに。
月萌政府にとって『魔王』は、経験値の源たるモンスター。『テロリスト』は罪を償わせなければならない罪人。
つまり前者に裁きは必要なく、後者には必要。峻別は必須です――月萌が現代の法治国家であるならば」
するとトウヤさんは小さく笑みを浮かべ、うなずいた。
「よし。お前はカナタだな。
だが、それをもってそちらがカナタでないと言い切ることもまたできまい。
峻別は必須。だが『魔王』は身分をはく奪されており、『テロリスト』はそれを打ち捨てているだろう。よって、身分証による証明は不可。
容姿は同一、戦闘力も伯仲している。
ならば、申し出通り、呼ぶしかないな。
……ミライ」
「はいっ!」
トウヤさんが背後の扉に向けて呼びかければ、制服姿にまめしば装備、見慣れた姿のミライが現れた。
いっしょにミズキが付き添っているためか、緊張はしていても、委縮はしてない様子。
直に会うのは数週間ぶりだ。ほんわかとうれしくて、こんなときなのに笑顔になってしまう。
イツカも、向こうの二人もやっぱり笑顔だ。
ミライもえへへと笑い返して、おれたちを見まわした。
「これから、四人のにおいをかぐね。
……そのまえに、ひとつ言っておきたいの。
おれたちはね、ゆうべのこと、気にしてないよ」
そして、こんなことを言ってきた。
「あれは、覚悟してたうちのことだから。
これはゲームだから、こんなこと言えるのかもだけど、でも、あれでだれかを怒ってたりはしないから。
きのう会ったイツカとカナタは、おれたちが撃たれた時、本気で怒ってくれてた。
そのあとはちょっぴりやりすぎだったけど、でも、きもちはちゃんともらったよ。
だからね、おれたちにとっては、昨日会ったふたりもちゃんと、ともだちだから。
こわがらないで。おれたちは、みんなの味方だからね?」
「ミライ……!!」
ぐっ、と込みあげるものがあった。
ミライは、謀略で自分たちを撃たせた者にすら、優しさを見出し、助けてやろうとしているのだ。
なんて、でっかいハートのもちぬしなんだろう。
つよくて、ピュアで、どこまでも優しくて。
それはミズキも同じだ。
ミライの意思を大きな愛で受け入れ、見守ってくれている。
心の底から思った。おれたちは、このふたりと出会えて。本当に良かったと。
『それじゃ、ごめんね』とかわいらしく言って、くんくんとおれたちのにおいをかぐわんこ天使をぎゅーっとしたいのをがまんして、お達しを待つ。
目を閉じて待っていれば、はたして答えはこうだった。
「おれね。赤リボンと白リボンのふたりもかぎわけられるの。
けれどそれだけだと、納得してもらえないと思うから、……四人のたべた、おひるごはんのメニュー、言うね。
こっちのふたりは、お雑炊と串焼きと、浅漬けの小鉢と、ハーブティー。どれもみんな、アルム島のにおいがする。
そしてこっちのふたりは、……たべてない。わかるかぎりで、なんにも」
「!!!!」
あっちのふたりが、驚愕の顔になった。
「…………お、俺たちは、……」
「昨日会見、して、それから……えっとっ………………
ちがう、ちがうんだよ! 昨日とかの記憶ははっきりしないけど、でもミライもミズキも、みんなもおれの仲間だよ。それは神かけてほんとでっ!!」
あわてて言い訳をする二人。けれど、完全に墓穴を掘っていた。
トウヤさんは大きく息をつくと、宣告した。
「そちらの二人、同行願おう。
お前たちは記憶、おそらくは姿をかぶせられているのだろう。
そのあたりを詳しく調べる。
そして、そちらの二人」
トウヤさんは澄んだイチゴ色の瞳で、まっすぐにおれたちを見据えると、腰を折るようにして頭を下げてくれた。
「このような事態となってしまったこと、詫びさせてほしい。
現代の法治国家として会見を申し込んでおきながら、だまし討ちにするような真似を許したこと。心底恥ずべきことだ。
すぐに下手人、ならびに黒幕を洗い出す。そして然るべき沙汰につかせる。
どうかそれをもって、我々にいま一度、……」
「お前だな!!」
そのとき、入り口のほうから怒鳴り声が聞こえてきた。
扇風機壊してしまってショックです……
いい加減古くて動きが悪くなってたものだけどまさかひっくり返って首が折れるとは……
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2022.09.20追記
器用な家族が直してくれました! 感謝!!
次回、続きです。
落としどころをつけるのは……やはりあの人?
どうぞ、お楽しみに!




