表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_92 もふもふな首脳会談と、すりかえられる運命と?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1097/1358

Bonus Track_92-3-2 ぐっとおなかに力を込めて! 自信のわいてくる秘訣!(2)~ソラの場合~

 パレーナさんの、きれいな海色の瞳が、すこしきょとんとしたように俺を見た。

 それでも全体としては大人かっこいいので、俺はどぎまぎしながら言葉を連ねた。


「その、落ち着いてるし、優しいし、かっこいいし、すごく大人の余裕で……

 俺はすぐあわてたり、テンパっちゃって。話すのも、へたで、……」

「私は皆によく『じじくさい』と言われるのだがな。

 そんな風に思ってくれる者もいるのか……」


 パレーナさんはベッドサイドの椅子にかけると、かたちの良いあごを「ふむ」とひと撫で。

 数秒間考えたのちに、こんなこたえをくれた。


「ソラよ。お前は、若くして多くの場数を踏んでいるな。

 苦しい目にも遭ってきただろう。

 それでもなお損なわれぬその純真さは、まぶしく、愛すべきものに思えるぞ。

 そこに惹かれるものも多かろう。

 それでも、ドンと構えてみたいなら、」


 パレーナさんはこぶしを固め、とんと俺の腹をたたいた。


「ここだ。

 腹に力を込めて、深呼吸。

 なにかを口に出す前に、そうしてみるといい。

 そして今一度いうべきこと、なすべきことを考えれば、肝の座った男になれる。

 ……そう、爺さんから教わった」


 そうして、温かい笑みと大きな手で頭をなでてくれた。


「お前はまだ二十歳にもなっていなかろう。そう焦るな。

 お前が戦場に、舞台に立つ姿は、充分に堂々として、美しい」

「あ、……ありがとうございます!」


 不思議とそのとき、子供のころのことを思い出した。

 父さんが笑って、頭をなでてくれた時のことを。

 そうしてもらうといつも、からだじゅうぽかぽかとあたたかくなって、おなかの中から勇気がわいてきたものだった。

 パレーナさんも、まるで父さんみたいに笑う。


「ふふ。

 お前たちは、可愛らしいな。

 私も自分の子を持ったら、さぞや可愛いのだろうな」


 するとメリベルさんが熱く力説し始めた。


「そのあたりは大丈夫ですよ!

 マルちゃんとのお子さんなら、絶世の可愛さに決まってますからっ!」

「っ?!

 ああ、ゴホン、そういえば首脳会議についての打ち合わせがあったな、あとはたのむぞメリベル。ソラよ、体の具合が良いようなら島まで送らせよう、手配はしてあるのでいつでもメリベルに言うがいい。では」


 パレーナさんはぱっとほほを染め、そそくさと医務室を出て行った。

 それでもしっかり用件を伝えていくその後ろ姿は、やっぱりできる男なかんじで。

 俺も、あんな大人になりたい。そう思ったものだった。




 島に帰ってその話をしたら、ミツルはこういってくれた。


「俺もカケルは、そのまんまでいいと思う。

 でも、もっと強くなりたいなら。

 俺は、応援する。

 いっしょに、強くなろう」

「よーし! じゃあ腹筋やろうぜ!」

「いやそうじゃないだろ。」


 イザヤはノリノリで腹筋いいだし、ユウに突っ込まれる。

 明るく笑ってまとめてくれるのはアオバだ。


「でも、いいんじゃないかな?

 体鍛えるのも、強くなれる方法の一つだからさ!」


 俺たちはもう知っている。

 体を鍛えていたとしても、弱さや痛みが完全になくなるわけでも、それに負けてしまうことがなくなるわけでも、けっしてないということ。

 それでも、今は思える。

 みんなとならきっと、もうすこし強くなれると。

 俺はぱんと立ち上がって、仲間たちを誘った。


「せっかくだし、ちょっと泳ごうか!

 もちろん、無理がない程度でさ!」

「賛成!」


 空にはまだ十分すぎるほど日差しが残ってる。俺たちは今日のトレーニングメニューを水泳と決めて、浜に繰り出した。




 そこからの俺は、全力でパフォーマンスを仕上げていった。

 俺は、あのひとたちに『見に来てね』といったのだ。

 それに恥じない歌を、聴いてもらいたい。


 ほんというと、ステージに上がるといまだに心臓バックバクなんだけど、そんなこともう言っていられない。

 パレーナさんに教わった通り、ぐっとおなかに力を込めて、大きく大きく深呼吸。


 そうして臨んだ本番では、不思議なくらいにリラックスして歌うことができた。

 アオバは尻尾をピンとはねさせ、ミツルは小さく羽ばたいて、俺にナイスサインを送ってくれたのだった。

次回、だいたいこのころの赤リボンたちのほう、つづきです。

レモンさんはきっと何か使命があってきているはず……はたして何か?

視点の反復横跳びじゃ!! どうぞお楽しみに!!


現状、一話書き溜めできてます。今日中にあと一話書きます!

というわけで、明日あさっては予約投稿、土曜だけお休みをいただく予定となりました。

日曜のぶんは……なんとか書き上げたい所存です。

たびたびのお休みで申し訳ございませんが、よろしくお願いいたしますm(__)m


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ