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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_90 決着と、挑戦と?! 第六陣は覚醒続き!

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Bonus Track_90-7 Terrible War Game!!~とある月萌軍人の場合~

 この対決のためにあつらえられたのだろう、防衛用フロートの一つに飛び乗った黒猫魔王と女神ソレアの戦いは、もはや別次元と言って差し支えのないものだった。

 まず、目で見てとらえきれない。

 女神の張った結界でそとへの波及は防がれているものの、ときおり上がる赤ポップアップが示す拳と剣撃の威力は、ちょっとした砲撃にひとしい。


 女神はそういう存在だからまだわかる。だが、猫魔王は一応人間だ。

 スターシードであること、うさぎ魔王らの手になる神器を得ていることなどをさしひいても、そのパワーとスピードは人の域を超えていた。


 さらに恐ろしいことに、そんな戦いぶりを披露しつつも、やつは笑っている。

 かつて何万の観衆を幾度も魅了した、少年らしい快活な声で。

 一国の女神をまるでただの女友達のように呼び、話しかけ、笑いあう。


 なんなんだ。我々はいったいナニを相手にしているのだ。

 狩らねばならぬ存在。そんなことは百も承知だ。

 だが、いったいどのようにしたらいいのか。

 ぶっちゃけ、見当もつかない。

 それどころか、徐々に魅入られていくようで。


 やめよう。それは、今、我らが、考えることではない。

 われらが行うべきは、ソリス軍が撤収したタイミングで斉射を浴びせ、全力で逃げかえることだ。



 引っ剥がすように視線をそらし、もうひとつの激戦を見る。

 そちらはまだ普通だ。なにより、ふつうに目で見える。

『灼腕』対『絶地』。赤い毛並みで上半身を覆った、獅子を思わせる男と、黒衣の少年が一対一の攻防を繰り広げている。

 力感あふれる、胸躍る戦いぶりだが、周囲の何人もが戦いをほっぽり出してやんやと観戦に回っているのは何度見ても目を疑う。

 国民性の違いと言ってしまえばそれまでなのだが、この程度の緩い連携にしておいて正解だったのだろう。


 おそらく彼らはこの戦いを契機に魔王に下る。それゆえに遊び気分なのかもしれない。そういえばなんだか遊んでいるような顔だし、『おこんがー!』とは手を振りあっていた。

 そう考えるといま砲撃してやりたくもなるが、それをしたら大変なことにしかならない。そっと舌打ちしつつこらえた。



『ティアブラ』でAランク100万を達成して、高天原に入り。

 卒業後、カレッジに通うかたわら軍務について、どれほどが経ったのか。


 この月萌がじつは、戦争をしていたことを知り。

 ただの楽しいVRゲームと思ってやっていたことが、このさき戦いに加わることができるかどうかのテストだったと――

 国が認めたαプレイヤー養成校は、実はVRバトルでの兵士を育てる軍学校だったと知り。


 こんなん詐欺だろ! と時に相棒と愚痴りあいつつ、奮闘しての卒業。

 バトルのほかにとりえもなかった自分は軍務につくことを選び、いまは何の変哲もない軍の歯車だ。


 あの魔王たちは、自分たちと同じように高天原に入ったはずなのに。

 いったい、何が違ったのだろう。

 時の運。めぐりあわせ。

 それとも、現状を受けいれたか、歯向かったか。


 やめよう。いま考えたところで、どうにもならないことだ。

 一つ頭をふって、気持ちを切り替えた。

 どれほど考えにふけっていたのか、ソリスと魔王軍の攻防は終わりかけていた。


 わらわらと船に飛び乗るソリス兵らを、魔王軍らは追撃しない。

 しんがりをつとめる『灼腕』は名残惜しげに『絶地』と打ち交わしていたが、仲間たちがみな船に乗ったことを確認すると、自分も一撃残して撤退。

 例のフロート上からも、女神ソレアがニコニコ笑って飛び立つところ。

 周囲では戦友たちが、慌てた様子で動き出していた。


日向も『ヒーローを見ているほうの人』なんでこのひとは他人に思えない^^


次回、カナタ視点で第六陣の終わりを描きます。

どうか、お楽しみに!

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