Bonus Track_90-4 カワイイはせいぎ! アイドルパワーで盛り上がれ!! ~イザヤの場合~
「っしゃ!『クリムゾン・ブラスター』!!
からのっ、『Pric_Scatter』、からのっ、『Pric_Scatter』――!!」
ぶっちゃけ俺らは打ち上げてもらった新入りだ。つまりまっ先にぶちかますに限る。惜しみなく必殺技、先祖返り技と乱れ撃ちした。
HPにBP、ガッツリと持っていかれるが、こんなんチマチマやったところでどのみち持っていかれるもの、もってけドロボーってなもんだ。
もちろん空の民からの射撃がのきなみ俺に向く。大丈夫、俺にはしっかり者の相棒がいる。
「『Burs_Barrier』!!」
やつは空中で器用に足ダン、発生した水の障壁で俺を守ってくれた。
なんで空中でも水がわくのかというと、じつはユウの足からわいてるそうな。相変わらずワケわかんない。
ともあれユウは俺にビシッと説教をかましてきた。
「ちょっとムチャ! いきなりヘイト全部集めるとかっ!」
「へへ、お前がいるからな!」
「そんなほめても何も出ないよっ! ほら回避!」
「どぉうわっ?!」
さらに続く船上からの射撃は、ユウが俺をつかんで振り回して回避。ちょっと遠心力でうげっとなる。
いや、それよりよくないのが、今のでバランスを崩してしまったこと。
アンナに飛び方は教えてもらったが、俺たちはまだそれだけのにわか。これだけ崩れちまうと立て直しは難しすぎる!
これはやられると覚悟した、その時だった。
「それじゃわたしも、いっきま――すっ!『もももももももももんがー』っ!」
いきなりまとめて撃破というみっともない退場の危機を救ったのは、高天原の誇るフレッシュ・プリティアイドルたちだった。
モモカちゃんが上空でチャージを始めれば、場の注目は一気にそっちへ。一斉に逃げだす空の民と海の船。
さすがに、なんの仕込みもなしに直撃はない。巨大モモンガ型光弾は俺たちのわきを通り抜け、一直線に海面にざばーんだ。
けれど、それでいい。
どぼんと起きた大波が、面白いように海の民の船を転がす。
原因は主に、甲板の前半分に集まってわれもわれもとはやってた平原の民だ。
「だ・か・ら下がれっていったんだろーがてめーら!! あとで覚えてろおおお!!」
笑いながら海面ダイブし、泳ぎ始める平原の民たち。それを叱りつける海の民の船長はブチギレ状態。
でもモモカちゃんミクちゃんに「ごめんねーっ!」とかわいく手を振られると一転笑顔になってしまう。
「あーお嬢ちゃんたちはなんも悪くないからー!」
「むしろありがとおおう!!」
海面からニコニコ手を振ってもえもえしている様子。これがアイドルパワーか。
感心してるとすっ飛んできたソラが、水の巨鳥の体をうまく使って俺たちを回収してくれた。
「おっサンキュー!」
「ありがと、助かった!」
「『どったま』!
どうする、もう一度行く?」
「いやーさすがに援護回るわ、ちょっとかましすぎた」
「おれもやっぱり陸のほうがやりやすいかも。さすがにここでアースクェイクってわけにもいかないしさ。悪いけどあとお願い」
「了解!」
ソラは今度は水でできた冠羽で、俺たちを陸まで飛ばしてくれた。
そうして臆することなく、水の上を走っていく。
ソラの行く先では、すでにイツカが海の民の船に飛び乗り、チャンチャンバラバラというかバッタバッタの無双バトルを始めている。
あっちもなんかえっらい楽しそうだ。あれがアイドルパワーか。
「偉大だなー…………」
着地もそこそこ、ボーッとつぶやいてしまうと、すかさず飛んできた。
ねぎらいの声と、HPBPの回復ポーションが。
「おつかれさまっ!
すごいねイザヤ、前線であんなにどんっとHP使っちゃうなんて!
ユウも回避かっこかったよ!」
「お、おうっ」
はじける笑顔で俺たちを出迎えてくれたのはエルマーだ。
なんか、可愛い。
「ありがとエルマー! ……って、イザヤ?
どうしたのボーッとして?」
「どこか痛い? 回復、たりてない?」
……いや、えらい可愛い。
小首をかしげて心配してくれる様子が胸にブッ刺さる。
いやおちつけ。おちつけ俺。
エルマーは野郎だ。めったくそ可愛いけど、野郎なのだ。
「い、いいいいやその、ゴホン、なっ、なんでもねえ!
っしゃあ援護はじめっぞー!!」
「おー!!」
愛用のバトルピック『デザートストーム』を空に掲げ、声を上げた。
ユウとエルマーが、アオバとミツルが、そしてカナタとタクマ、かもめ隊のメンバーまでもが、ノリノリでこぶしを突き上げてくれる。
ホントいえば俺は近接戦のが得意なんだが、これは頑張らねばと気合が入る。
俺たちの戦いは、始まったばかりである。
ho<まるで打ち切りみたいニャ……
それいっちゃだめえええ。
次回、大将戦始まる! 予定!!
どうぞ、お楽しみに!!




