Bonus Track_90-2 迫る月萌航空隊! 島北の攻防!(1) ~とある『森の民』の場合~
今回、筆が進まず妙に苦労しました^^;
とりあえず投稿まで!
2022.08.07
ナンバリングをさらっと間違えとりました……誤字なども修正させていただきましたm(__)m
われら森の民は、平原の民の覇権争いのとばっちりを受けた関係で、地形を生かした防衛にたけている。
それゆえに、この防衛拠点を手掛けたのであるし。
だがそれでも、空から直接来られるのは分が悪い、と言わざるを得なかった。
空の民は、地に覇権を求めてはこなかったから。
それでも、やるしかない。
我らが守る『王』たちは、まだあどけなさすら残る姿で、世界を相手に戦っているのだ。
大人の我々が、先にくじけるわけになどいかないのだ。
理想は、島に近づけぬまま撤退させること。
次善は、上陸されても数人という状態で、戦いの終わりを迎えること。
そして現実的なのが、ここを『無事』明け渡すことだ。
野生を大いに残すこの森は、最良の自然のとりでだ。
島の主の加護を得た我らにはまだ安全な場所だが(それでもうっかりモンスターに会えば危ない)、敵である彼らはここを無事に出ることはない。つまり、内陸側へのルートを森におおわれたこの崖上は、占拠したところで行き止まり。
撤退命令が出るまでの間、動けぬままににらみを利かせつづけ、南海岸での戦いを有利にしてくれれば、それでいいのだ。
「っしゃー! やろうぜみんなー!!」
「おー!!」
金狼装備を無自覚にフサフサさせつつ、ルーファスが気合を入れる。
ここのまとめ役として抜擢されたとき、えええ俺リーダーとかそういうのがらじゃないんだよなーといっていたものだけれど……
防衛拠点の真正面に立ち、航空隊にむけ剣を突き上げる姿は、なかなかどうして決まっている。
そのまま高らかに『戦咆哮』を上げれば、あるいは同じく『戦咆哮』が、あるいはときの声がかえる。
それは、オンラインでつながった島の各所からも。
銀色のエンブレムがいくつか、宙に浮かび上がった。
レンのとなりでかわいく吠える、チアキの頭上に。
いま私の隣で吠える、わが相棒の頭上に。
森の向こうでひかるのは、南担当の工兵のアッシュと、平原の民・コヨーテのキアラ、そして『かもめ隊』のクルミとレアのものだろう。
呼応するようにして、南の海上でもキラキラと輝きが上がる。
群れの仲間と感応強化しあうイヌ科の特殊スキル『友群強化』の発動だ。
おなじイヌ科でも、群れないタテガミオオカミのクレハはこれにくわわってないけれど、それでも『戦咆哮』で気合十分の様子。
私も、よし、勇気がわいてきた。
今日のためにとつくったアイテム、全力で投げるとしよう。
ふたたび空を臨めば、水平線にぽつり、月萌航空隊の機影が現れたのだった。




