Bonus Track_90-1 しごと前の一服! 特製ポーション、返品されました! ~アスカの場合~
すみません普通にサブタイ間違えました……orz
『ハナイカダ』のふたりをお宅のそばまでお送りすると、僕たちは司令部へとってかえした。
『第六陣』の帰還まではここに詰めることになる。もちろんポーションだのみの完徹だ。
イツカナは二人ずついるんで、こういうとき交代に寝れる。うらやましい。
「おれらも二人ずつのまんまのほーがよかったかねー?」
「アスカが二人とか俺の胃が死ぬだろ……」
『でもハーちゃんも二人なんだよ?』
「あのな。
双子の手間は二倍じゃなくて二乗なんだぞ。
ふつうの赤ん坊でそれなのにアスカだぞ。普通の人間にどうにかできるレベルをこえてんだろ」
『たしかに!』
「ひどっ!」
まあ自覚はある。それに、僕がふたりだったら、もうひとりの僕にハヤトをとられそうな気がしちゃいそうだし、これはこれでいいのだろう。
『ハーちゃんがふたりなのはふつーにパラダイスなんだけどねー?』
「ふおお! モフモフしほうだい!! いいねえさっそく」
「たのむやめてくれめんどくさくなる未来しか見えない」
『はははー☆』
「はっはっはー☆」
ライカ本体ともども軽口をたたきあって、緊張をほぐした。
『ステラ杯』でのカナタの戦いを見て、『第六陣』の作戦は一部変わった。
『月萌軍・北隊』は、『魔王島』北の崖を航空戦力で占拠する――そこはそのまんまだが、さらに森をぬけて攻め入るパートは、なくなったのだ。
『北隊』は崖上の防衛施設にとどまり、南隊の撤退まで、内陸がわに向けて圧をかけつづけるだけになった。
ちなみに森を焼くなんて馬鹿なことはだれも提案しなかった。対国内向けには、これはゲームのイベント。そこまでえぐいことをしてしまったら、月萌軍そのものがガチのヒールポジになってしまう。
いまはまだ、その時ではない。そういい交わしていた者たちがこめた意味はそれぞれ違っていたけれど、それはまあ、いいのだ。
一方『南隊』は当初案のとおり、『北隊』が交戦する間に南の入り江に回り、ソリスの民とともに攻撃をかける。
こちらではソリスの民にどんどんイツカに向かってもらい、その注意を引くことになっている。艦の守りに着けた『セント・フローラ・アーク』を、イツカに無効化されないためだ。
沈まない、沈められない艦隊で島のそばまで迫り、その威容を見せつけたのち、砲撃をかけて退散する。これが『月萌軍・南隊』のミッションであり、第六陣の概要だ。
『魔王軍』を倒すことは目指していない。というか、できやしないのだ――たかが、国内保有の兵力の1/10程度では。
いまのかれらとマトモにやりたければ、むしろ月萌まで引っ張り出し、総力でたたくしかない。
『愛する島と民を守るため、心優しい魔王様たちが乗り込んでくる』という状況を作るために、挑戦状をたたきつける。これが、第六陣のミッションなのだ。
こんなヌルい気持ちの奴らを相手に、イツカとカナタ、そしてみんながヘマをするとは思えない。
けれど、まあ。ぶっちゃけ言ってしまえば、心配なのだ。
僕に二心がないと思わせておくためにも、ここにいて、こうして働いているほうがいい。
あえて明るく伸びをして、大きな声で気合を入れる。インベントリから昨日作っておいた特製ポーションをとりだし、一本をハヤトに渡した。
「さーってとー! 今回も特製ポーションのんでがんばっぞー! はいっハーちゃんも!」
「……また激甘じゃないだろうな?」
「だいじょーぶ! 今回は甘さひかえめ」
「俺はコーヒーでいいから。」
なぜだかつれない相棒は、間髪入れずポーションを返品してきたのであった。
アスカの甘さ控えめ=常人の激アマです。
次回、島北の攻防? の予定です!
どうか、お楽しみに!




