89-5 開花せよ、先祖パワー!『先祖返り』組のスペシャルレッスン!!(4)
『先祖返り』組のスペシャルレッスンは成功に終わった。
イズミをのぞく全員がけも変化を身に着け、装備がグレードアップ。さらには『ギフト』といわれるスペシャルスキルを開花させたのだ。
『サンドランナー』系の上位種『ドラゴン・イーター』を前身とするソラは、『Gravi_Stepper』足もとに重力を発生させるわざを。
大型アントを狩るモンスター『スピアドレイク』を前身とするイザヤは、全身からゴツゴツのトゲを飛ばす『Pric_Scatter』を。
有毒アントを捕食する『フラッフィーアントイーター』が前身のユウは、足ダンで水の障壁を立ち上がらせる『Burs_Barrier』を習得した。
イズミはすでにけも化を覚えていたけれど、たぶんこれも『先祖返り』によるものではと推測されている。前身は『ヒプノスラビット』、スペシャルスキルは幻惑技の『Hypno_Step』。
ニノは『シフターフォックス』が前身と判明。
さらにめでたいことに、好奇心から参加してみた『かもめ隊』メンバーからも判明者が出た。
そこまでいかずとも、ちょっとパワーアップした人や肩こりが治った人、気分がすっきりした人、かわゆい先生たちにもえもえして元気が出た人もたくさん。
そんなわけで『うさぎ先生の先祖返りレッスン』は大成功。
スケジュールを調整のうえ、後日ふたたび開催されることになったのである。
しかし、喜び合い、祝いあう人の輪の中から、いつのまにかリンさんの姿は消えていた。
リンさんは、海を臨む岬にいた。
「別に、なんでもない。風にあたりたくなっただけ……だから。
大丈夫、心配しないで。私はもう、割り切ってるから」
けれど彼女は、振り向かない。
「悪いけどしばらくひとりにして。休み時間が終わったら戻るから」
「ごめんね。母さんの、せいかもしれないね」
そのとき、後ろから聞こえてきた声。振り返ればそこにはアークさんと、リンさんに似た女性が立っていた。
この方は、セラさん。アークさんの奥様で、リンさんのお母上だ。
リンさんはあっと振り向いた。
「母さん!
なにいうのっ、母さんがわるいわけ、……
わたしが翼をなくしたのは、わたしが無茶をしたせいだし。
ほかの子にからかわれたって、あんな天気の悪い日に飛び出したりしたわたしがバカなだけだしっ!!」
「ううん。
母さんは、ステラの民でしょう?
だからそのぶん、リンは『空の民』の血が薄くなって、……
リンが飛ぶ練習をあんなに頑張ってた、頑張らなくちゃいけなかった理由は、たぶんそのせいなの」
「母さん………………」
「だからね、母さんなりの方法を考えた。そして、その準備をしてきたわ。
リン。
……ステラの星霊と、契約をしてみなさい」
アザミのわたげがめっちゃ飛んできます。
暑いです。
次回、リンさん翼復活なるか?!
どうぞ、お楽しみに!




