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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_89 蘇るチカラ! 第六陣に向けて!

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89-4 開花せよ、先祖パワー!『先祖返り』組のスペシャルレッスン!!(3)

あれ……イズミさんのパワーアップは……?

 ニノがオレンジ色の子ぎつねになった。

 そして、人の姿に戻れなくなった。

 つねに忙しいニノが動けなくなる一大事に、しかしイズミは冷静だった。


「ソリス領訪問のときにハヤトが一時的に戻れなくなったことがあったし、まあそう長くもないだろ。

 とりあえず、営業と顔見せ系はむしろこのままでいいな。決済や会議はおれが翻訳するから問題はない。

 問題は法務とデザイン系だが……」


 そう、ちっちゃい狐の姿で関係各所を訪問したり、端末を操るのは厳しいだろう。

 イズミの腕の中、おっきな三角のおみみを垂らしてきゅんきゅんと鳴いているが、こればかりは。


「大丈夫っ! だいじょうぶよニノくんっ!! そのかわいい姿を見たらお姉さん1000倍働けるからっ!!」


 芸能部のアイラさん、トトリさんは魔王軍の法務を担ってくれており、ニノはその補助をしていた。しかしそのあたりの心配は当面ないようだ。

 こぎつねニノを一目見て、アイラさんがなんかハイパーモードに。他の人たちもみなほっこりほっこりだ。


「デザインの納期も、ヤバそうなのはこの姿の写真を送って頭を下げよう。それでもヤバい場合には……」


 イズミが決意の表情で口を開いた。


「おれが描く。

 ニノのデザインはたくさん見てきた。おれがドラフトを作ってニノが監修。それをとりあえず会議に回すことで時間を稼ごう」


 ニノ狐がふっさりしっぽをさらにぶっとくし、ぶるぶるぶるっと首を横に振る。この場にいる人たちも、事情を知るものは一様にひきつった表情だ。

 イズミの作品といえば、お手製の『フォーチュンうさぎまん』。だがそのカタチは、ぶっちゃけ悪夢の具現化だった。というか何度か夢に出てきてうなされた。


「やってみればいんじゃね?」


 しかし、イツカがサラッと言った。


「さっきので『先祖返りパワー』なんか開花したんだろ?

 とりあえずなんか一番ラクそうなの描いてみたらさ!」

「それじゃあ……うん。とりあえずイーパラで発売予定の記念ピンバッジ描いてみるか。あれなら小さいしたぶんラクだ」


 しかし10分後に出来上がったのは。


「素晴らしい! なんという名画だ!!」

「これは……意識が異次元にいざなわれるような千年に一度の超名作だ!!」

「ええええ?!」


 数名の匠がめっちゃ感動しているが……うん。

 ぶっちゃけおれたち小市民には、その価値を理解しがたいもののようだ。

 しかも、なんかデカい。とても小さいピンバッジにおさまるスケールじゃない。

 というか、こぎつねニノがその場でコロッとぶっ倒れた。


「やっぱりダメか……

 ニノのやつ、むかしっからおれの絵をみると頭痛に見舞われたりおかしなことを口走ったりするんだけど、まさかぶっ倒れるとは……」

「………………」


 いや、だってのにドラフト描くっていったんかい。

 そうは思ったが、口には出せなかった。イズミの大きなうさ耳が、すっかりしょんぼりと下を向き、いつもあまり表情の出ない顔が、誰でもわかるレベルに悲しげかつ、すまなげだったからだ。

 イズミはぐったりしたこぎつねニノを優しく抱いて、途方に暮れた様子。

 いいだしっぺのイツカも、黒いねこみみをしゅんと垂らして謝っている。


「あの……ゴメンふたりっとも……まじにゴメン……」


 そのときだ。

 こぎつねニノがぱちっと目を開けた。

 あたたかなオレンジ色した体が、内側から光を放つ!


『Regression! Gift『Des_Listener』Opened!!』

『マリアージュ発生:プレイヤー・ニノとけも装備『クルペオギツネのしっぽ』のエンゲージレベルが限界突破しました。

 スペシャルスキル『狐の火花《レヴォントゥレット》』が解禁されました』


 交差するシステムアナウンス。まばゆい光が引けばそこには、人の姿となったニノがいた。

 ただし、なんか大きい。ちょっとだけ大人になった、そんな感じだ。

 さらに、オレンジと金をたして二で割ってさらに華やかにしたようなオーラを放っている。

 一番光が強いのは、ふさふさふかふかのみみしっぽ。


「だいじょぶ! だいじょぶだ!! おかげでニノさんなんか覚醒したし!!

 っしゃ、いまのデザイン把握したぞー!

 ちょちょ~っとデフォルメするが、こんなでどうよ?」


 そういって空中に手を伸ばせば、その手の先に七色のオーロラカーテンがあらわれ、光の粒子がさらさらと形をとる。

 まるでおれがプラチナムーンの力で描くときのようにして、一枚の絵が現れる。

 先の絵よりもサイズを小さくしたそれには、デフォルメしたノルン山をバックに、イーパラの本社ビルとルーレアさまのお姿、さらには記念の文字までうまく配されている。ぶっちゃけ素人でもわかる、ナイスなピンバッジデザインだ。

 イズミが声を弾ませる。


「そう、それっ! そうしたかった!

 さすがだなニノ。おれのぐちゃぐちゃな絵から、よく……」

「自覚あっもがもが!!」


 怖いもの知らずが未然に制圧され、感動のシーンはつづく。


「自覚あっ……んん、ごほんごほん!!

 いや、なんか、わかるんだ。たぶんこれが、俺の『先祖返りパワー』だな。

 いやーまさかこうなるとか思ってなかったけど、結果オーライってなっ!

 なんか第二覚醒までしちまったけどまあ、これでしごとも早くなるし、イズミに苦労ももふっ?!」


 しかし、イズミがくりだしたのはうさみみパンチだった。

 眼鏡のおくの瞳をキランと光らせて言うことには。


「おまえな。

 いま『これでもっとしごと増やせる』とか考えてただろ?」

「えっいやっその、けっしてけっしてソンナアハハハ?!」


 ニノは目が泳いでる。お手本のようなバレバレだ。

 ついでに、いつのまにか姿も元に戻ってる。


「……まあ、ちょっとだけならな」

「イズミさんっ?!」

「素案までなら、おれでも出せるということが今ので判明したし。」


 しかしイズミはふうっとため息をついて、少しだけ譲歩。

 そう、さっきニノが出現させたイラストのはじっこには『ニノ&イズミ』というサインがついていたのだ。


「ただし度が過ぎるようなら、おれが壁面いちめんにいろいろ描いたお仕置き部屋に入ってもらうからそのつもりでな?」

「ひええそれはかんべんしてっ!!」


 イズミが提案したのはいまいち笑えないお仕置きだったけど、それでもニノがおどける様子を見たら、明るく笑いが広がった。

……えーと、はい、次回です!

島のメンツの先祖返りパワーアップキャンペーンは次回で一度まとめます。まとめたいです。

どうぞ、お楽しみに!!


今年の夏はしんどいですね……めずらしく食欲がないのです。

まあだからといって痩せやしないことはわかってるんだよフフフ( ̄ー ̄)←

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