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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_89 蘇るチカラ! 第六陣に向けて!

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Bonus Track_89-1 高天原の一幕~『ユーさん』の場合~

 ハジメ君は、優しくてつよい男だ。

 落ち込むようなことがあっても、笑顔を絶やさない。

 ただ、うそのつけない人物でもある。

 結果、彼のやわらかな笑みには、あきらかに心配の色がにじんでいた。

 ほっとけるわけがない。いつもの茶房にお招きし、お茶と『ももまん』をお出しした。


「……このところ、辞任や辞職が相次いでいて。

 お見舞いに行っても皆さん、疲れてしまっただけだよ、心配ないよとおっしゃるばかりで……」


 水仙の香りの岩茶をすすり、ほうっと息をつくと、ハジメ君はぽつんとそう言った。

 これ、彼の党のことじゃない。最大の敵といっていい『立国党』、それも管理派のことなのだ。

 もはや神か仏だ。おひとよしとかそういう次元じゃない。


 けして悪くはない、悪くはないんだがこれだとユウミとの結婚生活が心配だ。結婚前には絶対に、政治家を辞めさせておかないと。

 そのために、彼の夢を早期にかなえなきゃならない。

 この戦いを、正義の魔王の勝利で締めくくる。そして、あらたな月萌の実現へのレールを盤石なものにし、新たな世代に実務を引き継がせるのだ。


 もちろん夢と理想だけの脆い世になどしない。健全な財政にもとづくサステナビリティ、これこそが最も大切なものだ。

 それを実現させるには、勝利までの道筋を、サイコーに盛り上げなければ。


 でも、その間にも、彼には笑っていてほしい。

 だからわたしは、お茶とお菓子で彼をもてなし、こうして言葉をかけるのだ。


「皆さん、ご自分なりに世を思い、その実現のために職務を果たしてこられていますからね。

 さらに『大神意』で憎しみを吹き込まれ、『魔王軍』との戦いになり――疲れない方がおかしいというものですよ。

 いいんじゃないですか。ここまでいっぱいがんばってこられたんです、もう、ゆっくりしても。

 彼らの志はきっと、ちゃんと後進に引き継がれていますから」

「そう……そう、ですね。きっとそうですよね」

「政治的立場を越えて、心配してくれる友もいることですしね☆」

「……ありがとうございます」


 わが心の友は、はにかんで笑った。

 心温まる、この笑顔。独り占めしてしまいたくもなるけれど、後ろでユウミがじーっと見てきてる。

 わかってるから、と目配せを送り、さりげなく交代だ。


「さて、それではあとは若いお二人に任せてっと。

 わたしは野暮用で外しますけど、なんかあったらコールください♪」



 顔を赤くしてあわあわしてる可愛いふたりを残して、るんるんと茶房を出た。

 歩を進めればふわふわ気分はじきに、胸の奥へ。

 あの二人の笑顔を守るために、やらねばならないこと、考えねばならないことはたくさんある。

『護国派』への対処がその筆頭だ。


 我が国の現与党である『月萌立国党』。その多くを占めるのが『赤竜管理派』。

 それに属する小会派のひとつが『護国派』だ。

 モットーは『原点回帰』。失速してゆく『管理派』内において、正すところを正し、『立国党』設立の本来の目的であった『立国・護国』を実現しようというのがその設立理由だ。


 かれらの主張は『御大』――ルク・タカシロのお眼鏡にかなったようすで、有形無形の優遇を受けている。

 そうして、党内外の御しがたき者たちを次々『整理』しているのだ。

『ハグレドリ隊』まわりの動きも、まさしく彼らの仕業だ。


 実際『管理派』には老害もいた。

 安定与党権勢へのおごり。『管理』の自己目的化。

 それらによる失策と、正当化、責任転嫁。

 全員が全員好きでやっているわけでもない。これを好機にと、ハッピーリタイヤを進んで受け入れたものもいるし、受け入れざるをえない気持ちにさせられた者もいる。


 ともあれ彼らにはそれなり実力があった。それがリタイヤするとなれば、我らにとっても動きやすくなる。悪い話ではない、むしろ渡りに船だ。

『護国派』の方も、我らに親和的な顔を見せている。


 けれど、彼らはいずれ我らも潰しにかかってくることだろう。

 立脚するものが、優先するものが違うのだ。


 彼らの優先事項はミッション『エインヘリアル』の円滑な遂行――ただし、自分たちの優位を確保しての。

 そのためには『味方』でも切る。最終局面ともなれば、β居住区にも戦火をブッこむことだろう。

 対して我らの最優先事項は、我らがホームたるβ居住区の繁栄と平和。

 それを守るためならば、ミッションなんかブッ潰したって一向にかまわないし、悪魔に魂だって売る。

 

 だからわれらは、クールに立ち回らねばならない。

『風見の党』とともに戦況を分析し、進言を重ね。

『小さな芽吹きの党』のやり方を否定することなく、ときには支えて。

 そうしながら、『立国党』ともつかず離れず。



 そんなことを考えていればさあ、ついた。

 ドアをノックし、陽気に開く。


「みなさんおまたせしました。はじめましょうか――我らのミーティングを」


 お茶はすでに行き渡っている。今日の議題もまた。

 ドアを閉め、ゆったりと歩を進め、議長の席に着いた。


あついよ暖房けしてーな神様(錯乱)

ねこ動画でなんとか命をつないでいます。にゃんにゃん。


次回、かえってきたカルテット(予定)!

どうぞ、お楽しみに!

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