88-6 おれのターン! 対ソリス、決戦前夜!
まあ、時間帯は昼間なんですけどね!(爆)
2022.09.05
アルム島平和条約←ステラマリス・アルム和平条約
表記統一しました。申し訳ないですっm(__)m
『アルム島平和条約』。
その調印式は、金曜日。『ステラ杯』の最終戦を行ったフロート上で行われることになった。
ここまで行ってきた調整協議が、ようやく終わりをむかえたのである。オンライン会議室から出てきたメンツはもちろん、知らせを受けたチームの全員がほっとした顔。おれも口からため息がもれた。
まあ、残念ながらイツカはこういうことではあまり役に立たないのだが。
赤リボンのほうはそもそもここにいないし、白のほうも思いっきり伸びをして言う。
「んあ~~~!!
やっと俺のターンだあああ! ちょっとトレーニングしてくる――!!」
そのままとんでもない勢いでスタタターッと走って行ってしまった。
「脱兎の勢いとはこのことか……」
「ははは、猫装備なんで脱走子猫の勢いですかね?」
「ふふっ。イツカさんらしいですね」
エルメスさんがちょっとボーゼン。アークさんがはははと、レムくんがふふっと笑う。
まあ、問題ない。こうなると思って、もともとトレーニングの時間にしてあったのだ。
白リボンのおれはやつを見送り、ふうっと大きく息をつく。
「ほんっとバトル大好きだよねイツカ。心強いって言えば、そうなんだけどさ」
そう、協議の間の大半は『会議室にネコ味を添える担当』に徹していたやつだけど、このあとに大切な役割を担うのだ。
ソリスとの『再戦』ならびに、月萌軍の撃退である。
実のところ、協定の内容そのものに特殊な点はなかった。
問題となったのは、ソリス領とのかねあいだった。
『ステラ杯』の当日、ソリス領軍は魔王軍に挑戦してきた。
しかし、その終わり方が問題だった。『ハグレドリ隊』救助の成功で盛り上がり、そのまんま和やかに、悪く言えばうやむやに、ソリスのみなさんは引き上げてしまったのだ。
それは、イツカとの直接対決を指折り数え、楽しみにしていたライアンさんも。
彼ら的には、いっそ主力全員ボコボコにして支配下に置いてくれれば本望ッ! な勢いだったのだけれど、その図は成立しなかった。
また、ステラ領がおれたちとの講和にむけて動いていく関係で、どうしてもおれたちと戦ってみたいと思うものたちのうち、一部がソリス領に流れているが……
ステラとの講和が成立し、ソリスもこれに合わせるとなると、彼らの出番はなくなってしまう。
すでにさっさと月萌についたものもいる。その状態で、彼らまでさらに月萌に、となるのは、ステラ領にとっても嬉しいことではない。
つまりなにかというと、遅くとも和平条約が発効するより前に、ソリス軍(ステラ志願者入り)と戦い、彼ら全員がおれたちにひれ伏したくなるレベルの勝利を収める必要があるということだ。
水曜には、月萌から第六陣が来ることとなっている。この日に、彼らもやってくる。
『独自に』展開した『ステラ月萌開戦派』に月萌軍を足止めしてもらっている間に、魔王軍はソリス軍との雌雄を決し、そののち月萌軍が残っていれば、それも撃退する。
ステラ杯後バトルの『おかわり』(※ハードモード)というべき戦いが、あともう二日後に迫っていた。
本来ならこの第六陣には、ステラ杯後の戦いで『従えた』ソリスの民に加わってもらえる目算だったが、それがなくなったのだ。
よって先頭に立つふたりのイツカには、今もてる全力を発揮してもらわねばならない。
それはもちろん、おれたちもなんだけど。
ただ、対ソリスの戦いには、別の味方が今はいる。『かもめ隊』だ。
動けるものが無理のない範囲でだが、バックアップをすると申し出てくれた。
彼女らはベテラン、心強さは満点だ。
おれたちには、イツカたちほどのパワーはない。けれど、作戦や連携を考えたり、アイテムを作って活用することはできる。
お茶を一服、ひとやすみしたら、今度はおれの出番――すなわち、作戦会議である。
ステラ杯前、うさぎ姉妹と夜明けのティータイムとしゃれこんだあのテーブル。あそこが空いてたら、今日はそこでおやつにしようと考えながら、おれは歩き出した。
『会議室にネコ味を添える担当』?! 最重要の役職ですよね(*´Д`)ハアハア
……あっ、つまみ出さないでください。
次回、新章突入! 第六陣に向けて動く各方面の予定です!
あまりトロトロしてるとよろしくないのでサクサク行くことを心がけます^^
どうぞ、お楽しみに!




