Bonus Track_88-4 闇の御大と、月の杯~とある男の場合~
今回短いです……!
宴は静かに始まった。
表向きは、健康上の理由での退職。内向きには、無謀な作戦の責任を取っての更迭。
その真相は、御大の命を果たした報酬としての、表舞台からのハッピーリタイヤ。
派手に騒ぐものでもない。知る者たちが静かに呑めれば、それでいい。
幾度も列席したその席の主人公に、今度は私がなった。ただ、それだけのことだ。
御大のご命で動いた者たちを、私は討たんと動いた。
それも、御大のご命で。
その後、責を問われて閑職への更迭となるところまで、ご命の通り。
これで、家族のこの先は安泰だ。
息子たちも充分なポストを約束された。妻も、タカシロの庇護を受け何不自由なく暮らせることとなった。
私はそして静かに、月からのお召しを待てばよい。
前線でバトルをするには三十代、指揮を執るなら四十代が上限といっていい。
私は四十で将校となれたので、今日までこうして務めてきたが、αの平均寿命まで生きられるかは微妙だ。
私の本体は、長年の激務により傷み、胸の病を繰り返すようになっていた。
手術や投薬、魔法による回復を重ねても、再発までの期間は短くなるばかり。
医師には幾度もリタイヤを勧められている。
だが、妻は私より若い。ようやく巣立ったとはいえ、息子たちもこれからだ。
私亡き後を案じていた私の前に、御大の使者が現れた。
そして私はあの更迭劇を演じ切った。
『魔王たちはじきに月萌にやってくる。そのときには明らかになる。君が行った無謀な指揮は、より上からの『命令』によるものと。
安心したまえ。私が犯させた罪は、すべて私が。
ただほんのしばらくの間だけ、それを預けさせておくれ』
慈愛に満ちた瞳で御大は言ってくださった。
月萌のαの平均寿命、五十まで、あと二年。
池の上をゆく月を見上げ、私はもう一度酒杯をあおるのだった。
えらい短いのですが、むりに水増ししてもしゃあないところ……
なのでこっちで水増しです!(おい)
最近、ざまあを勉強するためにざまあ系のまとめ動画をちらほら見るのですが、だいたいパターンは決まっている感じですね。
悪役が、情報不足からイキり失敗して自滅する。もしくはその形に誘導するという構造になっているようです。
ただ構造まとめても具体が付いてこない、それが私です……引き出し少ないな……。
余談終了ッ!!
次回、また島に視点戻って、楽しい上映会の予定です!
どうぞ、お楽しみに!




