Bonus Track_87-2 間に合った援軍、もしくは、もっと力が ~チナツの場合~
銀の飛竜になったるっしーのブレスが、空の民からの投射攻撃を叩き落とす。
まゆりんは超音波攻撃を飛ばして、射手たちの感覚を狂わせジャマしてる。
その近くではソーちゃんがとくいの『ダブルアーク・スラッシュ』をガンガン打って攻撃だ。
「っしゃあっ!! 俺らもいくぜ!!」
「了解よ!!」
「『コメットブラスト・アクア』!!」
やがてルリアちゃんを先頭にした斬りこみ隊が動き出せば、トラっちとサリイ姐さんも新バージョンの合体必殺技で先陣を切る。
そのあとに続く空の民義勇兵も、イヤッハーと歓声を上げつつ続く。
「やーソリスのみなさんてほんっとこのへんサッパリしてるよなー。同士討ちとかそういう悲壮感ゼロ! 完っ全にお祭りだわ!」
「ああ…………」
あえて軽口をぶったたく俺だけど、クレっちゃんの返事はさえない。
ほんとなら、ここに俺たちも加われていたはずだからだ――スゥちゃんとシャーさんの力を借りて。
しかし、シークレットガーデンへのチャレンジは長引いていた。
つまりそれはクーちゃんと神獣たちはこっちにこれないってことで、召喚士としてバリバリ働いてたはずの俺たちは、すっかりションボリアニマルズと化していた。
「まーしゃーないしゃーない! その分アイテム投げた投げたー!
おりゃああれっつぱーりー!!」
「ちょっそれテラ出ちゃうからだめええ!! れっつぱーりーらめええ!!」
隣でアイテム投げ部隊のクーたんことクーリオが冗談を飛ばしてくれるのに全力で乗っかるが、クレっちゃんはやっぱり沈んだまま。
ボソッと「俺って無力だよな……」とか呟きなさる。
「んなこたないって! 無力だったらここ来てないって!!
ていうかクレっちゃんできることあるでしょ、ほらションボリオオカミのにらみ落とし、ハイ!!」
「……………………」
「ぎゃあああクーたんっ!! いまのなしいまのなしね!!」
「オーノーオーノー! イッツアジョークね!
よしっここはクーたんが、楽しくなっちゃうおくすりを」
「そのネタあぶなすぎるからやめてええ!!」
「…………それもらえるか」
「えっ」
うっかりの言い間違いでどよーんとしてしまったクレっちゃんは、危ないジョークに乗っかってきた。マジな顔になって。
「え、ええええーと……」
「こんな沈んだままじゃ俺はもっと役立たずだ。
ポーションで何とかなるんなら……」
「ええええ……」
クーたんのカオには『やばい』と書いてある。
たしかに気分高揚のポーションは、ある。
でもそれは半分プラシーボのようなもので、ガチに沈んでる人への効き目なんかないのだ。
クレっちゃんだってそんなのは百も承知のはずだけど、ってことはほんとにマジに落ち込んでるのだ。
よしここは、と思ったときに、携帯用端末が鳴った。
音声通話。相手の名前は『シーラ』。
なんかどっかで聞いた名前だが、これは。
「もしもし?」
『力が欲しいか、少年よ』
「……はい??」
「ほしいっ!」
いつの間にかスピーカーモードになってた携帯用端末からは、聞き覚えのない女性の声が流れ出てきた。そしてなんか厨二なセリフを言ってきた。
なんだいたずら電話か、と思ったその時、横からクレっちゃんが返事しちまった。
「ちょおおおクレっちゃんんんん?!」
『よろしい。ならば我と契約せよ。
我は白虎、名を『シーラ』。虎神獣『スゥ』の先代を務めしものなり』
ええええ、と出かけて俺とクーたんは互いに口を押さえた。ここは静かにするとこだ。
「どうすればいい」
『わが名を呼べ。それを持ちて仮契約としよう。委細面談だ!』
「わかりました!
白虎『シーラ』!! 俺、クレハに力を貸してください!!」
『合点承知よっ!!』
頼もしい返事とともに、天に轟く雷鳴のような咆哮。
空を破り、稲妻とともに現れたのは、家ほどもあるホワイトタイガーだった。
びりびりと震える空気、はっきりとわかる、三女神レベルのつわものだと。
「いけるっ! シーラさん!」
『呼び捨てでよい! 乗れ、クレハ!』
「はいっ!!」
クレっちゃんの目はチラッと俺にはしった。
俺は『きづかいオオカミ』の背をぽんっと押した。
暑すぎてふらふらする……
昨日、薬もらいに行ったのに受け取り忘れ→薬局もう終わってたのコンボを決められましたのでまた行かないとなのです。
もーだれか日本にクーラーかけて(爆)
次回つづきです……お楽しみに!




