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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_86 ステラ領のゆく道は! 決勝、『ステラ杯』!

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86-4 願われた講和と、ハグレドリの海!

 きらめく星々の意匠で飾られた、閉会式の檀上。

 シンプルな白銀一色のティアラとドレスで装ったステラさまが、やわらかな微笑みで語る。


『ここに、ステラ杯の勝者は決しました。

 みな、見事な戦いぶりでした。ひとつちがえば、勝敗は逆転していたやもしれません。

 それでも、結果は明らかなもの。わたしはここに、それを認めましょう。

 勝ち取りし者たちよ、あらためて願いを。

 わたしはそれを叶えるために、せいいっぱいの努力をしましょう』


 問いかけられた三人の真ん中、一歩進み出たのは、タクマだ。

 金色の瞳を明るく輝かせ、彼はまっすぐに言葉を発する。


『俺たちが願うのは、ステラ領と魔王軍の講和。

 このままイツカとカナタと戦うことになんかなったら、ステラ様の心が壊れちまう。

 そんなことにはもうさせられない。

 だから、俺たちは講和を願います!』

『願いは、ステラ領と魔王軍の講和。

 ――ええ。ここにたしかに、承りました。

 わたしの心を守るためにと。ありがとう。ほんとうに』


 ステラさまがかみしめるようにこくりとうなずくと、ティアラとドレスにみるみるきらめきが宿る。

 金色、銀色、ときには青や赤、白の星々が、プラチナのキャンバスをきらきらと彩る。

 輝く笑顔で、大きく両手を掲げれば、南国の青空に大きな虹がかかった。


 さすがはステラさま。あいかわらずの演出力だ。

 息をのむほど美しく、見上げるほどに心が躍る。

 おれも立ち上がって拍手していた。


 そうしながらもおれは、はるかな海に意識を向けていた。

 青い波の向こう、息をひそめ、機をうかがう者たちがいる。

 おれたちは彼らに勝ち、かつ、その命を助けなければならないのだ。


 * * * * *


「管理派は、御しがたい彼らを使い捨てる気でいる。

 そうして、その責を『魔王軍』になすりつけ、帰る場所をなくしてしまうつもりだ。

 絶対に助けてあげて。それが、月萌での地歩を守ることになるからね」


 おれたちはアスカに念を押されていた。

『月萌シーガル先遣隊』――またの名を『ハグレドリ隊』の人々を、必ず保護するようにと。


 最初に言われたのは、島に移る前。開発計画を練っている段階でのことだった。

 ライカの体を借りてやってきたアスカに言われたのだ。

 一個小隊がまるっと入れる療養所を一棟、必ず作ってねと。


「療養所、つってもユルめの隔離施設って性格のあるとこね。

 かれらとソリテラ民をいきなりガッツリ接触させるのは避けたほうがいいから」

「ゆっくり療養しながら、非戦闘員のひとたちからだんだんになじんでもらうってかんじ?」

「そそ。

 とくにうさの民たちはカナぴょんと見た目近いし、やさしくってかーいいから2、3日も窓から見さしときゃコロッとおちるから☆」

「たしかに!」


 草原の民たち、なかでもうさぎトーテムの人たちのかわいらしさと対人スキルは神レベルだ。あれでオチない人間なんてこの世にいない。いや、たぶん動物でもあれにはかなわない。そう、うさぎはせいぎなのだ。

 もとい。


「戦いには出さず、月萌に無事連れ帰れば、あいつらのかけてくる冤罪は晴らせる。

 そのあとは、ご家族のもとに返してあげればいい。

 かれらは疲れ切ってる。そもそもの怒り憎しみに加え、『大神意』まで吹き込まれて。

 もう、休ませてあげるべきなんだよ」


 アスカはいみじくも言った。



 このセカイの戦争は、VRバトルだ。

 多く兵士はティアブラシステムを、そのなかで生成されたアバターを通じて戦う。

 撃破されても、なくなるのはアバターだけ。体に傷も、痛みも残らない。

 けれど、アバターの操作により、生命のチカラは消耗する。

 戦いのさなかに精魂尽き果て、生涯を終えることもある。

 かつて出席した『月送り』の式典で、英霊とたたえられていた人たちが、それだ。


 彼らをしのんで涙を流し、あるいはこらえていたひとたちの姿を、おれたちはおぼえている。

 かれらの恨みを、悲しみを、『大神意』がもたらす敵意は、洗い流せなかったのだ。

 すくなくとも、『ハナレジマ』にいる人々のなかからは。


 それを察した顔で、甘い言葉をかけたやつがいる。

『魔王島』の近くの基地島にゆき、そこから、魔王軍とソリステラス、二つの敵をもろともに撃てと。

『ステラ杯』が終わるまでは、味方の顔をしてこれを守り。

 その後ソリス領からの攻撃があれば、その背後から、やってしまえと。


 だがそれをした瞬間、同盟相手ソリステラスを攻撃したとして、切り捨てられる。

『ハグレドリ隊』は、自らもそれをわかって、あの島にいる。


 彼らに負けるわけにはいかないが、自棄のように死なせるわけにもまたゆかない。

 そんな無茶を無茶でなくするためには、この力が――『卯王の(ラビット・)聖地(サンクチュアリ)』が必要なのだ。

 まあ、いくらなんでもまだ始まりはしないだろうが、暴発ということもありえないではない。

 おれは海に向けしずかに、意識を研ぎ澄ませつづけていた。


夏バテです……あたまいたいです……

まだ六月なのにー。

くそうあたまがまわらんー。


次回、ついにソリス領から仕掛けてくる予定です。

今度がんばるのはイツカです。お楽しみに!

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